空き家問題の解決に役立つデジタル証券とは?仕組みや事例を解説

カテゴリ:
その他
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

空き家問題の解決に役立つデジタル証券とは?仕組みや事例を解説

デジタル化が加速する近年においては、空き家再生事業も「デジタル証券化」できるとご存じですか?
デジタル証券化されると、個人投資家から広く空き家の改装資金を集めることができるようになり、活用がしやすくなります。
今回は、そんな空き家問題の解決策として注目を浴びている「デジタル証券」の仕組みや活用事例、今後の見通しについてご紹介します。
ぜひご参考までにご覧ください。

弊社へのお問い合わせはこちら

空き家問題が解決できる「デジタル証券」とは?

デジタル証券とは、ブロックチェーンの技術を用いて管理する金融商品のことです。
ブロックチェーンとは、取引履歴などをデータ管理するシステムで、改ざんがされにくいという安全性の高さが特徴です。

関連記事|不動産業界でも注目のブロックチェーンとは?空き家問題の解決にもつながる!

デジタル証券は、この安全性の高いブロックチェーン上で管理したり取引履歴を記録をおこないます。
インターネット上で管理したり取引をしたりするという意味では株式と似ていますが、株式と異なる点は以下の3つです。

●権利を記載する場所
●証券を管理する場所
●取引場所


証券の内容や所有者の権利については、株式は株券という紙媒体の証券に記録します。
一方で、デジタル証券は「セキュリティトークン」という認証デバイスに記録することになります。
証券の管理場所については、株式は証券保管振替機構(ほふり)で、デジタル証券はブロックチェーンで管理します。
取引場所については、株式は証券取引所で取引をし、デジタル証券はデジタル証券取引所で取引されます。
デジタル証券取引所での取引量は株式市場にはまだ及ばないものの、世界的に年々増加しており、2025年には8兆ドルにも達すると言われています。
そしてこのデジタル証券の誕生により、これまで個人投資家が手軽に取引することができなかった、さまざまな事業への小口投資が可能となりました。
たとえば、不動産以外にも宝飾品や食品関連、SDGsなどの社会貢献につながる事業への投資もできるようになります。
空き家問題を解決するための事業についても、個人が気軽に投資することができるようになり、空き家活用のための資金調達がしやすくなるでしょう。
たとえば、これまでは「空き家をリノベーションして民泊施設にしたい」「改装して古民家カフェにしたい」と考えても、築年数が経っている家は担保価値が低いため、銀行から改装資金を借りるのがむずかしいという問題がありました。
それが、デジタル証券の発行によって誰でも少額から気軽に支援を募ることができるようになるため、資金調達の問題の解消につながることが期待されます。
こうした理由から、デジタル証券は空き家問題の解決策として注目を集めているのです。

空き家問題が解決できる「デジタル証券」の事例とは?

デジタル証券の仕組みがわかったところで、続いては実際にどのように活用されているのかが気になるのではないでしょうか。
古民家の再生にデジタル証券を活用しようと取り組んでいる事業者の事例をご紹介します。
その古民家とは、神奈川県葉山町にある「平野邸 Hayama」です。
「平野邸 Hayama」は、別荘地として知られる自然豊かな場所にあり、築80年以上の空き家を改装した1棟貸しの宿泊施設です。
この空き家を改装し宿泊施設として運営するために、事業者はクラウドファンディングとデジタル証券を活用して資金を集めるプロジェクトを立ち上げました。
プロジェクトのファンド名は「葉山の古民家宿づくりファンド」です。
デジタル証券化された「葉山の古民家宿づくりファンド」は、運営者のホームページ上で支援者を募り、多数の投資家から資金を集めています。
「葉山の古民家宿づくりファンド」の特徴は以下の3つです。

●地域の空き家問題の実践的解決
●未来を見据えた昔ながらのコミュニティの再編
●SDGsの達成事例の具現化


「葉山の古民家宿づくりファンド」では、集めた資金で歴史的価値のある空き家を地域の資産へと再生し、空き家問題を解決へと導くことを目指しています。
また、空き家を多世代交流の場として活用することで、少子高齢化社会における過疎化や世代間の溝を埋めることができます。
プロジェクトを通じて空き家を再生することで、SDGsの目標達成のうちの「11. 住み続けられるまちづくりを」「12. つくる責任つかう責任」の2つを達成することもできます。
実際に、集めた資金で空き家をリノベーションして2020年4月に開業した「平野邸 Hayama」は昔ながらの日本家屋で葉山の暮らしを体験できる宿泊施設として観光客に人気ですよ。
また、地域のコミュニティの拠点として、空き家問題の解決だけでなく地方創生にも貢献する場所となっています。
「葉山の古民家宿づくりファンド」は、2019年の11月から2020年の12月まで募集し、約1,500万円もの資金を集めることに成功しています。
ファンドの運用期間は4年3か月、想定利回りは2%以上となっています。
「葉山の古民家宿づくりファンド」をデジタル証券化することによって、クラウドファンディングに投資した投資家がこれまではできなかった「投資後の権利譲渡」ができるようになりました。
投資家がデジタル証券化によって権利を譲渡しやすくなることで、これまで出資をしたことがない層の方が投資をする機会が増えることが期待されます。

空き家問題が解決できる「デジタル証券」の今後の見通し

国内において、現在のところはまだデジタル証券を利用した取引事例は少ないですが、デジタル証券の発行を検討する企業は増えています。
地方の空き家問題解消に向けてデジタル証券化の実証実験を実施している企業があり、今後は空き家活用における新しいビジネスモデルが生まれることも期待できます。
前述のとおり資金調達がしやすくなったり、取引コストが削減できたりするなどのメリットが多いデジタル証券ですが、もちろん課題もあります。
デジタル証券は新しい仕組みの金融商品のため、株式に比べるとまだ流動性が低く、二次的に取引ができる市場が増えなければ投資家も増えないという問題があります。
現状は、アプリなどで直接取引相手を探すか、金融機関を介して取引する必要があり、売買に手間がかかります。
2019年9月以降にさまざまな企業におけるデジタル証券の発行自体は増えましたが、換金方法や売買についてはこれから整備されていくこととなります。
2023年度には、大阪デジタルエクスチェンジとProgmat(プログマ)が連携し、デジタル証券における流通市場の確立を目指すとしています。
世界ではすでに実物不動産をデジタル証券で取引している事例がいくつもあり、富裕層だけでなく一般投資家も不動産投資ができるようになったとして高い評価を得ています。
日本でも、デジタル証券が本格的に普及すれば、空き家の再生や利活用が促進されることが期待できます。
2020年5月には金融商品取引法が改正され、法的にも定義やルールが明確になったため、今後ますますデジタル証券の発行や取引がしやすくなるでしょう。

こちらの記事も読まれています|空き家を活用した事業で成功するためには?活用例やリスク回避の方法をご紹介

まとめ

今回は、空き家問題の解決策として注目を浴びている「デジタル証券」の仕組みや活用事例、今後の見通しについてご紹介しました。
デジタル証券とは、ブロックチェーンの技術を用いて管理される金融商品のことです。
空き家再生に関する事業を立ち上げる際は、デジタル証券を発行すると、幅広い投資家から資金を集めることができますよ。
現在「空き家を持て余している」「空き家活用したいが資金が足りない」という方は、ぜひこの記事を参考に、デジタル証券を利用した空き家の利活用を検討してみてはいかがでしょうか。
空き家のリノベーションや活用に向けた手続きの相談は全国空き家管理ナビお任せください。
受け付けている専門業者を検索できます。
弊社へのお問い合わせはこちらをクリック↓

弊社へのお問い合わせはこちら


空き家の相談はこちらから