空き家を売却する際には、物件の引き渡し前に売り主側が済ませておくこととして、物件の瑕疵の修繕や残置物の処分などがあります。
これらの手間は売り主側にとっては負担となりがちですが、そのような手間をある程度省くことのできる売却方法として、「現状渡し」があります。
とはいえ、空き家など中古物件売却の手間が省ける「現状渡し」には、メリットだけでなく、デメリットや注意点も存在します。
そこで、今回の記事では、空き家の「現状渡し」について、どのような売却方法であるか、またそのメリット・デメリットなどについてご紹介いたします。
空き家を現状渡しで売却する際の告知義務や契約不適合責任
はじめに、空き家の売却方法の一つである「現状渡し」とはなにかについて、解説していきます。
現状渡しとは
「現状渡し」は「現状有姿渡し」とも呼ばれ、物件の現状を維持したまま、買い手に引き渡すことを指します。
ただし、空き家を売却する際の対応は以下のように多岐にわたります。
●建物の補修、修繕、リフォーム
●建物の解体
●建物内の残置物の処分
●敷地の整備
このため、現状渡しで空き家を売却すると言っても様々な選択肢があります。
たとえば「残置物と庭の雑草の処分を済ませた上で、建物は現状渡しで売却」といった方法で、現状渡しをおこなうことも可能です。
現在、国内の中古住宅取引のうち、およそ60%が現状渡しでおこなわれていると言われています。
現状渡しにおける告知義務
「現状渡し」は「物件の現状を維持したまま引き渡す不動産取引方法」であるとはいえ、売り主側が売却する物件について、一定の責任を負うことに変わりありません。
まず、「現状渡し」では、物件引き渡しの際に売り主は買い手に対して「告知義務」を負います。
この告知義務ですが、売り主は売却する空き家の不具合や事故、過去の修繕や補修した箇所について買い手側に知らせなくてはならないのです。
仮にこれを怠れば契約違反となり、買い手は売り主に対して損害賠償を求めることもできます。
このような事態へと発展するのを避けるため、空き家の売却の際には、現状確認書や付帯設備表などを通じて、買い手に空き家の状態を知らせることをおすすめします。
考え方によっては経年劣化に関して告知する必要がないとの見方もありますが、告知する範囲については、不動産会社などに相談する方が無難と言えるでしょう。
現状渡しにおける契約不適合責任
不動産取引において売り主は「契約不適合責任」を負うことになります。
物件の問題点について売り主が知らなかったとしても、契約内容に記載がなければ、不動産取引完了後に買い手に追完請求することが認められました。
追完請求とは、物件の状態が契約の内容に合致するよう、修繕などを求めることを言います。
これができなければ、取引価格の減額や、損害賠償、契約解除といった対応が取られることになります。
ただし、「契約不適合責任」の適用は任意であり、契約時に「取引後に物件の問題点が判明した場合には、引き渡しから1年以内に限り、売り主が責任を負う」といった内容の特約を結ぶのが一般的なケースです。
「契約不適合責任」についても、契約前に専門家に相談しておくとよいでしょう。
空き家を現状渡しで売却するメリット・デメリットとは?
ここまでは空き家の「現状渡し」とはなにかを見てきましたが、次に空き家を「現状渡し」で売却するメリット・デメリットをご紹介しましょう。
空き家を現状渡しで売却するメリット
まず、空き家を現状渡しで売却するメリットを見ていきましょう。
●修繕や補修に関する費用を節約できる
「現状渡し」での空き家売却の場合、空き家の修繕や補修をする必要がないため、通常の売却方法に比べて、その分の費用がかからない点がメリットです。
空き家を修繕・補修してから売り出す場合、その費用を上乗せして売却価格とするケースがほとんどです。
しかし、その結果、売却価格が相場を超えてしまい、買い手が付きにくくなり、値下げをしたら修繕費が回収できないというような事態も考えられます。
「現状渡し」での売却であれば、このような心配なく売却活動を進めることができます。
●売却にかかる時間を短縮できる
また、売却に向けて空き家を修繕したり、補修したりすれば、費用だけでなく、時間もかかることになります。
修繕をしてくれる業者を決め、工事のスケジュールを組んだ上で、工事に取り掛かる必要がありますし、業者探しに手間取ったり、工事が遅れたりといった理由で思ったより時間がかかることも稀ではありません。
空き家の買い手を探す、いわゆる売却活動は、修繕箇所をアピールするためにも、修繕工事が完了するまで待つ必要があります。
一方、「現状渡し」での売却であれば、これらの時間的なロスを回避し、スムーズに売却活動を始めることができます。
空き家を現状渡しで売却するデメリット
次に、空き家を現状渡しで売却するデメリットについても見ていきましょう。
●売却価格の相場は低め
中古物件を探している方の立場からすれば、立地や築年数などの点で類似した条件の物件であれば、補修・修繕工事済みの物件のほうがそのまま住むことができるため魅力的でしょう。
このため、「現状渡し」で空き家を売却するのであれば、補修費用がかからない分相場より低めの売却価格を設定すると、買い手が付きやすくなります。
●トラブルになりやすい
また、「現状渡し」での空き家売却では、補修・修繕が必要とされる部分をそのままにして買い手に引き渡すという性質上、トラブルが発生しやすくなります。
いくつかの点に注意しておくことで、そのようなトラブルを回避しやすくなりますので、最後に、「現状渡し」で売却活動をおこなう際の注意点をご紹介いたします。
空き家を現状渡しで売却したい!トラブルを避けるための注意点は?
それでは、空き家を「現状渡し」で売却する際の注意点を見ていきましょう。
残置物は売り主側が処分する
「現状渡し」とは基本的に、物件の中で修繕・補修が必要な箇所をそのままにして売却することを指します。
他の不動産取引と同様、「現状渡し」でも空き家内の家財道具などの残置物は処分した上で買い手に引き渡すのがマナーとなります。
残置物を物件内に残したまま購入者に引き渡すのであれば、その点について同意を得た上で、契約書にも記載しておく必要があります。
空き家の問題点を明らかにし、不動産会社や購入希望者に伝える
●インスペクションなどを利用して空き家の問題点を明らかにする
「現状渡し」で起こるトラブルの多くが、売り主と買い手側の認識のずれに起因しています。
そのため、まずは、売り主側が不動産の状態をきちんと把握しておくことをおすすめします。
この際に、インスペクションなど第三者による検査も利用すれば、不動産に対する客観的な評価として買い手の信用を得やすくなります。
●不動産会社に物件の問題点をきちんと伝える
また、空き家の問題点について隠す、もしくは小さい点だからと伝えないといったことが、後のトラブルにつながります。
インスペクションなどで明らかになった内容も含め、空き家の問題点については全て不動産会社に伝えておきましょう。
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