最近、様々なメディアで「SDGs」について取り上げられる機会が増えています。
「SDGs」とは「Sustainable Development Goals」、すなわち「持続可能な開発目標」の略称であり、国連で定められた国際的な開発目標を指します。
一方、日本では深刻化する空き家問題を受けて、国や市区町村が様々な取り組みを実施していますが、空き家対策においても空き家を資源ととらえ、SDGsに沿った取り組みが始まっています。
今回の記事では、SDGsと空き家問題について、その関係性や取り組み事例をご紹介します。
01空き家問題ともかかわっている?SDGsってなに?
テレビや新聞などで耳にする機会が増えている「SDGs」は、17の目標とそれらを細分化した169の具体目標に分けられています。「SDGs」という言葉やその意味について何となく知ってはいても、詳細な内容や空き家問題との関わりについてはよくわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで、はじめに「SDGs」の概要について解説いたします。
すでに触れたとおり「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals」、すなわち「持続可能な開発目標」の略称で、2015年に国連サミットで決議されました。
このサミットでは、2000年に国連が取り決めた「MDGs」、ミレニアム開発目標が達成期限を迎えるにあたって、あらたに「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、「SDGs」はその中心となる国際社会の開発目標となっています。
2015年までの達成目標として定められた「MDGs」では、貧困や飢餓の撲滅をはじめ、HIVやマラリア、その他の疾病の蔓延防止といった先進国による途上国支援が中心に掲げられていました。
一方、「SDGs」は、先進国による途上国に対する一方的な支援ではなく、先進国と途上国双方による主体的な取り組み目標として設定されている点が大きな特徴です。
「SDGs」を構成する17の目標を見てみましょう。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任、つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
このように「SDGs」では、貧困や飢餓にくわえ、労働や経済、環境など、世界が直面する様々な問題を総合的に解決していくための目標が掲げられているのです。
02SDGsと空き家問題・対策はどのような関連がある?
ここまで、国際社会が2030年までに達成すべき持続可能な開発目標として設定された「SDGs」について解説してきました。近年、空き家問題を受けて国や自治体が取り組む空き家対策もまた、これら「SDGs」の達成に密接に関わっています。
空き家対策では、空き家の発生抑制と空き家の有効活用という二つの柱が重要となります。
今ある空き家を資源ととらえ、これを有効活用しつつ、まちづくりに役立てていくことは、「SDGs」の掲げる資源の有効活用(12.つくる責任、つかう責任)や持続可能なまちづくり(11.住み続けられるまちづくりを)といった目標に結び付くというわけです。
このような観点から、現在「SDGs」の達成を見据えての空き家対策が始まっており、実際に東京都調布市では「SDGs」を視野に入れた空き家対策を実施しています。
ここからは、「SDGs」と関連付けた空き家対策として、調布市の事例をご紹介していきましょう。
調布市では「SDGs」と空き家対策を関連付け、「調布市空き家×SDGs」というプロジェクトとして推進しています。
このプロジェクトでは、「空き家をまちの資源に変える」というコンセプトのもと、産学官金が連携して空き家の発生抑制・予防にむけた取り組みをおこなっています。
現在、「調布市空き家×SDGs」では、前述の「SDGs」の目標「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」、「11.住み続けられるまちづくりを」、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」と関連付けた3つの空き家対策事業を進めています。
これらの事業を通じて、空き家をまちの資源として、市民と共にその活用方法を模索し、住みよい環境づくりに役立てていく取り組みが「調布市空き家×SDGs」なのです。
03「調布市空き家×SDGs」の空き家対策プロジェクトをご紹介
ここからは、「調布市空き家×SDGs」の3つの空き家対策事業をご紹介します。調布市空き家×LINE×ソーシャルデータバンク
「調布市空き家×LINE×ソーシャルデータバンク」は、SDGsの目標「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」に対応した調布市の空き家対策プロジェクトです。このプロジェクトでは、調布市がコミュニケーションアプリ「LINE」上の公式アカウント「調布市スマイのミライ教えてナビ!」を通じて、空き家に関する様々な情報を、空き家相談と空き家に関する学びという形で提供しています。
具体的なサービス内容としては、空き家Q&A、解決へのヒント、セミナーやワークショップ情報、オンライン相談予約などがあります。
LINEへの登録後に、「調布市スマイのミライ教えてナビ!」をID検索(@912vqiqd)もしくは2次元コードから「友だち追加」することで利用できます。
調布市空き家×晃華学園
「調布市空き家×晃華学園」はSDGsの目標「11.住み続けられるまちづくりを」に関連した調布市の空き家対策事業となっています。こちらのプロジェクトでは、これからのまちづくりを担う若い世代と共に、空き家問題を抱える都市の将来の姿やまちづくりについて考え、空き家問題に関する啓発をおこなっていくことに主眼が置かれています。
具体的には、令和2年7月から令和3年3月にかけて、SDGsに関する学びに取り組む学校法人昇華学園の生徒と共に、空き家問題に関するレクチャーやインタビューを交えつつ、我が家を空き家にしない未来、空き家問題を抱えた都市のまちづくりについて考え、空き家問題に関する啓発や利活用の方法に関するアイデアワークショップを実施しました。
最終発表会では、空き家マップアプリや世代ごとのSNSを通じた啓発活動、また空き家を活用したサステイナブルなまちづくりや、空き家を広告の場として活用するアイデアなどが発表されたそうです。
調布市空き家×ちょうふこどもネット
SDGsの「17.パートナーシップで目標を達成しよう」と関わる調布市の空き家対策プロジェクトが「調布市空き家×ちょうふこどもネット」です。こちらのプロジェクトでは、青少年の健全な成長と育成に取り組み、SDGsを推進するNPO法人「ちょうふこどもネット」との連携のもと、空き家をリソースにしたまちづくりをテーマに、空き家対策に関するアイデアマラソン「空き家ッカソン」をおこないました。
「空き家ッカソン」では、子どもの他者とのコミュニケーション不足を解消する場として空き家を活用する「どこでもドア コミュニティ」や、子どもを持つお父さんの学びや情報共有の場として空き家を活用する「パパの学校」などユニークなアイデアが集まっています。
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04まとめ
今回の記事では、SDGsと空き家問題の関係性や取り組み事例をご紹介しました。SDGsと関連付けた空き家対策は、空き家を社会問題ではなく、地域の資源としてよりポジティブな視点でとらえ、地域コミュニティ全体の環境改善のために有効に活用していく点が特徴的です。
このような空き家対策は、単に空き家を減らすだけでなく、空き家を活用すると同時に、子どもや高齢者の孤立など少子高齢化社会が抱える様々な問題解決にもつながることが期待されています。
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