遊休不動産って空き家とどう違う?遊休不動産に関するデータや活用法をご紹介

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空き家活用
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空き家問題は、多くのメディアでも取り上げられ、日本の直面する社会問題としてその認知度は高まっているといってよいでしょう。
この場合の「空き家」とは、おもに住居として建てられた住宅を指し、総務省統計局が実施する「住宅・土地統計調査」などでその統計結果が公表されています。

一方「遊休不動産」とは、店舗やビル、工場、倉庫や土地などの利活用がなされていない住居以外の不動産を指します。
そして、空き家だけでなく、遊休不動産の増加も深刻化しており、社会問題となりつつあるといわれています。

そこで今回の記事では、遊休不動産にまつわる問題について、その統計や問題点、利活用に関する取り組みなどをご紹介いたします。

01遊休不動産ってなに?空き家とはどう違うの?

はじめに、遊休不動産にまつわる問題の概要として、その統計や、遊休不動産が生じる理由、社会的な影響などをご紹介していきましょう。
上記で取り上げた、総務省による「住宅・土地統計調査」ですが、こちらは原則として住居に関する調査であり、商業用物件や空き地などを含む遊休不動産についての包括的な統計調査はおこなわれていません。

しかし、国が実施したいくつかの調査を見てみますと、遊休不動産が増加傾向にあることがわかります。

たとえば、国土交通省の土地総合情報ライブラリーが公開しているデータでは、平成10年の全国の空き地発生数は約12万5,000haでしたが、平成15年には約13万haにまで増加しています。
低・未利用地面積についても、首都圏内の低・未利用地は、平成12年には2,300haほどでしたが、平成15年までの3年間で3,300haほどにまで増加しています。

また、農林水産省による全国の耕作放棄地についての統計では、平成7年には24万ha程度だった耕作放棄地は、平成12年までの5年間で34万ha程度、平成27年には42万ha程度、こちらも顕著な増加傾向にあります。
これらのデータからは、日本国内の遊休不動産が増加傾向にあることがうかがえますが、こうした遊休不動産の増加にはどのような理由があるのでしょうか。

空き家の場合には、少子高齢化や人口減少などを背景に、所有者が高齢となり、入院や施設への入所、死亡などにより、居住者が不在となるケースや、相続した住居を活用しないケースなどが多く見られます。
遊休不動産の場合にも、個人所有であれば、相続した不動産を活用せずに放置してしまうケースが少なくありません。

一方、企業が所有する遊休不動産の場合には、空き家や個人所有の遊休不動産と異なり、事業向けに購入した不動産が、不況などによる計画のとん挫で放置されてしまうケースも考えられます
また、個人所有、企業所有に関わらず、遊休不動産を放置しているわけではなく、売却・賃貸する意思があるものの、購入・賃貸希望者が見つからない場合もあるでしょう。

このような状態にある不動産が増加している背景には、個人所有のものについては、少子化傾向が強まっているため、不動産を相続してもその不動産を活用しきれないケースが増加していることが挙げられます。
また、企業所有の遊休不動産の増加の要因としては、不況や人手不足により、新たな事業への着手が困難になっていること、また、地方の過疎化による地方の不動産の需要不足や価値の低下などがあります。

これに加え、新型コロナウイルスの流行により、新規事業計画がとん挫したり、縦壊しや再開発が延期されたりといったケースが増えていることも、遊休不動産の増加に拍車をかけているようです。
さらに、農地や山林などの遊休不動産については、高齢化や後継者不足も不動産が放置される原因となっています。

このような遊休不動産が増加すれば、空き家の場合と同様、犯罪の温床となる、ごみの不法投棄が発生する、害虫・害獣が発生する、景観を乱すなど、周辺に悪影響を及ぼします。

さらに、企業が所有する遊休不動産の場合、商業地域から活気がなくなって、空き店舗が増え、地域全体の経済活動に悪影響を及ぼす、山林などの場合には、山火事や土砂災害を発生しやすくなるなどのケースもあります。
このように、空き家問題と同じく、遊休不動産に関する問題も、看過できない社会問題となりつつあるのです。
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02遊休不動産はマイナス資産!遊休不動産を所有するデメリットとは?

ここまでは、社会問題としての遊休不動産の問題についてご解説いたしました。
ここからは、遊休不動産の所有者の立場から、遊休不動産を所有することにはどのようなデメリットがあるのかをご紹介いたします。

所有者の立場から見た遊休不動産は、いわゆる「マイナス資産」であると言われています。
その大きな理由の一つが、固定資産税や都市計画税などの課税対象となるためです。

利活用しない遊休不動産は収益につながらないにもかかわらず、その評価額の1.4%の固定資産税と0.3%の都市計画税が課税されます。
不況が続き、土地の価格が下落する傾向にある現状では、資産価値が上がることも期待できないため、利益は得られないのに、支出を生み出す遊休不動産は「マイナス資産」となってしまうのです。

さらに、遊休不動産を適切に管理していなかった場合には、「空き家対策特別措置法」の定めるところにより、「特定空き家等」に指定され、税金の軽減措置を受けられなくなる可能性があります。
この税金の軽減措置は、住宅の建つ土地について、固定資産税を1/6に、都市計画税を1/3に軽減するものです。

また、先ほども述べたとおり、遊休不動産を放置しておくと、周辺地域にさまざまな悪影響を及ぼし、トラブルの原因となります。
台風などで老朽化した建物が破損したり、放置した農地で害虫が発生したりして、周辺に被害が及べば、損害賠償の対象となる場合もあります。
特定空き家に指定されることや近隣住民とのトラブルを回避するためには、遊休不動産を定期的に管理することが不可欠ですが、その場合にも管理のための費用や手間がかかります。

つまり、所有している不動産を利活用せず、遊休不動産にしておくと、管理をする、市内に関わらず、所有者にとっては収益を生まないうえに、支出がかさむ「マイナス資産」となってしまうのです。
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03遊休不動産の活用方法は?

遊休不動産は所有者にとって「マイナス資産」となってしまうため、早いうちに利活用の方法を検討することが、所有者の利益にもつながります。
最後に、遊休不動産の活用方法についてご紹介しましょう。


売却や贈与

遊休不動産を所有者自身が活用するつもりがない場合の選択肢として、売却や贈与があります。
先ほども述べたとおり、活用する予定のない遊休不動産をただ所有しているだけでは、利益にならないだけでなく、毎年の税金や管理費用がかさんでいきます。

そのため、買い手が付く可能性のある不動産であるのなら、売却もしくは贈与してしまったほうがよいかもしれません。
建物が老朽化して買い手が付きにくいなどの場合には、必要に応じてリノベーションを施す、もしくは建物を解体して更地として売却するなどの手段も取られます。
このとき、売却であれば譲渡所得に対する所得税が売却する側にかかり、贈与であれば不動産を取得した側に贈与税が課税されることには注意しましょう。



賃貸

不動産を手元に残しつつ、収益を出したいのであれば、土地や建物を賃貸に出す方法があります。
借り手が付けば、定期的な賃料収入が期待できますし、土地や建物を使う人がいれば、土地の荒廃や老朽化を防ぐことができます。

ただし、立地によっては借り手が付きにくい点、また、必要に応じて修繕費を貸し主が負担しなくてはならない点には注意が必要です。

また、遊休不動産を活用して、ビジネス経営をすることもできます。
ビジネス経営と一口に言っても、立地や建物によって、オフィスや店舗、飲食店、宿泊施設など、多くの選択肢が考えられます。

近年注目を集めている事例としては、シェアオフィスやサテライトオフィスなど、コロナ禍において需要が高まっている貸しオフィス事業があります。
その他にも、東京の天王洲地区や日の出地区のように、遊休不動産となった倉庫や工場を活用して、複合商業施設として利用、再開発をおこなう事例もあります。



土地活用

遊休不動産を活用してビジネスをしたいと考えても、商業・宿泊施設などでは需要が見込めない立地の場合は、土地活用という方法もあります。
郊外にあり、周りが住宅地の場合には、コインランドリーや駐車場、トランクルーム経営、周辺に何もないような土地であっても、資材置き場や太陽光発電といった選択肢があります。


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04まとめ

今回の記事では、遊休不動産について、空き家とどう違うのか、遊休不動産にまつわる社会問題、活用方法などをご紹介しました。

空き家は主に住居用の空き物件を指す言葉であるのに対し、遊休不動産には、店舗やビル、工場、倉庫や土地など、住居以外の空き物件が含まれます。
また、遊休不動産の増加は近年著しく、空き家問題に続く新たな社会問題となりつつあります。


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