今、世界的に注目を集めている新たなアウトドアのスタイルにグランピングがあります。
グランピングはアウトドア型の宿泊スタイルでありながら、従来のキャンプにつきものの雑事をする必要がない手軽さや快適さが人気を集めています。
近年、様々な空き家の活用方法が模索され、新たな空き家ビジネスが生まれ続けていますが、空き家を活用したグランピング事業も始まっています。
今回の記事では、空き家を活用したグランピング事業についてご紹介いたします。
空き家はグランピングにも活用できる!グランピングってなに?
はじめに、グランピングについてご解説していきましょう。
最近様々なメディアで取り上げられる機会が増え、なじみ深い言葉となりつつあるグランピングですが、英語で「魅力的な」もしくは「華やかな」を意味する「グラマラス」と「キャンピング」を合わせた造語です。
キャンプでは、野外で寝泊まりするために必要なものを持ち込み、調理や寝泊まり場所の設営も自身でおこなうのが一般的でした。
アウトドアに憧れる方は多くても、必要な物資の準備から野外での調理や寝泊まりまですべて自身でおこなう必要のあるキャンプは、人によっては敷居が高い面がありました。
一方、グランピングでは、キャンプ用品や食事の用意、また寝泊まりする場所などを施設側が用意するのが基本的なスタイルです。
施設によって選択の幅は異なりますが、宿泊する場所はテントだけではなく、トレーラーハウスやコテージなどから選べたり、テントであってもエアコンやベッドが備えられていたりと、従来のキャンプに比べて快適に過ごすことができます。
食事についても、施設側がすべて準備してくれるところもありますし、必要なものが用意されていて自身で調理するプランや、調理方法をスタッフに教えてもらいながらバーベキューに挑戦できるプランなどもあります。
また、シャワーやトイレが完備されている施設が多くあります。
宿泊料金については、キャンプ場を利用するよりも割高になる場合が多いものの、アウトドア初心者にとっては、次にいつ使うかわからないキャンプ用品を自身で準備する必要がないため、全体的な費用で考えると一概に高いとも言い切れません。
このように、初心者でも気軽に、快適にキャンプを楽しむことができるのが、グランピングの魅力なのです。
空き家はグランピング事業にどのように活かせる?
ここからは、空き家活用の分野でグランピングをどのように活かせるのか、また、どのような空き家がグランピング施設経営に適しているのかについてご解説いたしましょう。
現在、日本では人口減少や少子高齢化に伴い、空き家が増え続けているのが現状です。
空き家に関する国の統計調査「平成30年度住宅・土地統計調査」によれば、現在、全国の空き家数は846万戸、空き家率は13.6%にも上っており、過去最高の数値を記録しています。
この傾向は地方を中心にとくに顕著であり、若い世代が就職などで都市部へ流出することにより、地方の人口減少と高齢化が進み、その結果、空き家が増加して地域の荒廃・衰退を招く、といった流れが生まれています。
このような状況を受けて、多くの自治体が取り組んでいるのが、空き家を活用した地域の活性化です。
代表的な取り組みには、空き家を活用した移住・定住支援や、観光事業などがあります。
こうした取り組みの背景には、空き家の増加に歯止めをかけること、さらに空き家の発生を防止するという目的があります。
くわえて、単に空き家を活用するだけでは不十分だと課題感を感じているという事情もあります。
持続的な地域の発展のためには、地域の魅力を発信し、その地域への移住希望者や観光客を呼び込むことで、人口減少を食い止め、経済を発展させ、雇用を創出することが不可欠というわけです。
このような空き家を利用しつつ、雇用を創出し、産業を振興する取り組みの一つとして、近年注目を集めているのが、空き家を活用したグランピング事業なのです。
それでは、ここからは空き家を活用したグランピング事業には、どのような物件が適しているのかをご紹介しましょう。
空き家を活用したグランピング事業を検討する際にとくに重要なのが、グランピング施設の立地です。
関東圏、関西圏、中京圏を中心に、大都市から車で2時間以内の立地ですと、集客しやすいようです。
海や山、森林など豊かな自然に囲まれていることは重要な条件となりますが、都市部からかなり離れている場合には、時間をかけて出向いてでもその場所でアウトドアを楽しみたいと思わせる魅力が必要となってきます。
一方、比較的若い世代を中心にグランピング人気が高まっていることから、歴史のある観光地周辺である必要はないでしょう。
さらに、必要経費をまかなってもなお、利益を出すためには、ハイシーズンを中心に一定数以上の集客を得る必要があります。
敷地面積や施設の規模がその集客数に見合った人数を収容できることも大切な条件となります。
また、空き家や空き地を活用してグランピング事業を開業する際には、その土地の立地で開業することが建築基準法や旅館業法などの法的な制限に抵触しないことも同様に重要となります。
たとえば、農地指定を受けた土地を活用するのであれば、転用申請が必要ですし、市街化調整区域で建物の建築が許可されないケースや、景観条例により建物の外観に規制がある地域もあります。
さらに、宿泊業としてグランピング施設を開業する場合には、宿泊業が開業できる用途地域に立地していなくてはなりません。
近年脚光を浴びている空き家を活用したグランピング事業ですが、事業として成功させるためには、これらの条件をクリアできる物件であることが必要となります。
空き家となった古民家をグランピング施設にリノベーション!「glaminka」の事例
兵庫県佐用町と神河町で、空き家となった古民家を再生してグランピング施設として開業したのが「glaminka」です。
空き家を活用したグランピング事業として、近年メディアなどでも注目を集めています。
最後に、空き家を活用したグランピング施設の事例として、「glaminka」についてご紹介いたします。
「glaminka」は、古くから自然を生活に取り入れながら楽しんできた「日本文化」と、大自然の中で「住」を楽しむ「アウトドア」をコンセプトに、古民家の再生を目指し、空き家となった古民家を活用したグランピング施設を運営しています。
「glaminka」がはじめに手掛けたのが、兵庫県神河町にあるグランピング要素を取り入れた古民家宿で、2018年にオープンしました。
神河町は昭和25年以降には17,839人の人口を擁していましたが、人口減少が進み、平成22年の人口は12,289人にまで落ち込んでおり、さらに50年後の平成72年には5,135人にまで減少することが予測されています。
「glaminka」は、このような現状にある神河町で、人同士のつながりを生み、さらに産業や雇用を創出し地域の発展に貢献できる場所づくりを目指して、グランピング施設の開業に踏み切ったのです。
「glaminka」の最も大きな特徴は、古民家に宿泊し、日本文化を感じながら、同時にグランピングのアウトドア要素も楽しめる点です。
囲炉裏や田舎の風景といった日本的要素を楽しみつつ、ウッドデッキでBBQも楽しめるのです。
また、大阪や神戸からは車で1時間30分、さらに姫路城と竹田城の中間地点にあるため、都市部に住む人や海外からの観光客をもターゲットに、神河町の魅力を知ってもらうことができるのです。
一方、廃村に近い状態だった佐用町若州では、空き家となっていた6軒の古民家を買い取り、集落ごとの再生に取り組み、昨年本部棟、交流棟および宿泊棟4棟のグランピング施設としてオープンしました。
里山の大自然の中でくつろぎつつ、古民家では囲炉裏を利用して屋内でバーベキューを楽しめるなどユニークな魅力を持つグランピング施設となっています。
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まとめ
今回は、空き家を活用したグランピング事業についてご紹介しました。
現在、空き家は地方を中心に増加を続けていますが、そのような地域にはグランピングに適した豊かな自然が残されていることも珍しくありません。
また、空き家を活用したグランピング事業は、単なる空き家活用に留まらず、雇用を創出し、地域の魅力を発信することで、地域の発展に貢献できると期待されています。
空き家を活用したグランピング事業のこれからに、要注目です。
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