全国的な少子高齢化とともに、年々深刻化する空き家問題に対し、国は平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しました。
このいわゆる「空き家特措法」の中では、市町村が空き家対策計画を定め、それを元として空き家対策を進めていくことが推奨されています。
紀伊半島に位置する和歌山市は、国際空港や周辺の大都市へのアクセスもよく、豊かな自然にはぐくまれた海の幸・山の幸や、城下町としての歴史など、多くの魅力を持つ、和歌山県の県庁所在地です。
しかし、和歌山市においても空き家は大きな社会問題となっており、「空家等対策の推進に関する特別措置法」を定めた上で、これに基づいた取り組みを進めています。
そこで、今回の記事では、和歌山県和歌山市の空き家に関する取り組みについてご紹介いたします。
和歌山市が悩む人口減少と放置空き家の増加!空き家対策のポイントは?
はじめに、和歌山市の空き家の現状および、空き家 対策の概要についてご紹介いたしましょう。
和歌山市の空き家対策のベースとなっているのが、「和歌山市空家等対策計画」です。
これは、冒頭でも触れたとおり、国が定めた「空家特措法」に基づき、期間を平成29年4月から平成34年5月、対象を市内全域の空き家として策定されたものです。
和歌山県は空き家率が全国的に見てもかなり高く、「平成25年住宅・土地統計調査」でその空き家率は18.1%と、全国3位の数値となっています。
その県庁所在地である和歌山市の空き家率についても、県全体ほど高くはないものの、15.8%と全国平均の13.5%を上回っています。
この一因として考えられるのが、全国の他の市区町村と同じく、人口の減少です。
平成27年国勢調査では、和歌山市の人口は364,154人で、5年間で6,210人減少しており、平成52年までにその人口はおよそ28万人にまで減少すると予測されています。
このため、和歌山市では、人口減少によるさらなる空き家の増加が懸念されているのです。
また、和歌山市の空き家の現状でもう一つ問題視されているのが、空き家の中でも、売却や賃貸、または別荘・セカンドハウスといった用途が定まらない、いわゆる「その他の住宅」の割合が多く、増加傾向にある点です。
「平成25年住宅・土地統計調査」によれば、和歌山市内の空き家のうち、その他の住宅が13,730戸、賃貸用住宅が13,600戸、売却用住宅が1,280戸、別荘・セカンドハウスなどの二次的住宅が360戸でした。
空き家全体の割合で言えば、その他の住宅は賃貸用と並んで約47%ですが、平成15年度にはその他の住宅は9,640戸でしたので、10年間で4,000戸近く増加していることになります。
その他の住宅は、市場に出回ることがなく、用途も定まっていないため、管理不全の状態に陥りやすく、和歌山市では放置空き家が今後増えていくことが懸念されています。
また、和歌山市が平成27年度に空き家の所有者に対して実施した実態調査では、空き家の所有者でその利用を検討しているのはおよそ半数程度で、残る半数の所有者は空き家の活用方法を考えていないという実態が浮き彫りになっています。
さらに、空き家を活用していく上での障壁として、空き家の除去に関する費用を挙げる意見が多く寄せられました。
このため、和歌山市の空き家等対策計画では空き家の発生を抑制し、管理不全の空き家を解消することを大きな課題と定め、特定空き家への措置や空き家の利活用の促進と並行して対策に力を入れています。
和歌山市の空き家対策補助金制度!「空き家を活用した地域交流拠点づくりに係る補助金」とは
ご紹介したように、和歌山市では「和歌山市空家等対策計画」に基づき、様々な観点から空き家対策に取り組んでいます。
この一環として、和歌山市は空き家の除去や利活用の促進を目的として、様々な補助金を交付しています。
ここからは、和歌山市の空き家対策関連の補助金についてご紹介していきましょう。
まずご紹介するのは、「空き家を活用した地域交流拠点づくりに係る補助金」です。
和歌山市では、空き家を、地域の活性化に向けた地域交流の拠点として活用できる地域の資源ととらえ、この補助金の交付事業を開始しました。
こちらの事業では、和歌山市内にある空き家のうち、1年以上人が住んでおらず、床面積の半分以上が居住用であった物件を、高齢者や子育て世帯の地域交流の拠点として10年以上活用する場合に、空き家所有者またはその占有権限を有する者に対し、改修費の一部を補助します。
対象となる工事は、空き家が属する自治会のもと、補助金交付決定があった年度内に完了することが条件となっています。
この条件で実施される水回りやライフライン、外装・内装の工事、耐震改修や外構、残置物撤去及び廃棄に関する経費について、300万円を上限として経費の2/3が交付されます。
申請の際には、補助金等交付申請書、事業計画書、収支予算書、交流拠点についての活動計画書、空き家の状況に関する書類や空き家の所有権に関する書類、工事の見積書、納税証明書などを和歌山市空き家対策課に提出します。
また、この補助金については、当該物件を地域交流の拠点として10年間活用することが条件となっているため、事業の必要性や公益性についての審査を経て交付が決定した場合、補助金交付の翌年度から10年間、物件の管理や活用についての報告書を提出する必要があります。
「和歌山市不良空き家の除去に係る補助金」とは
和歌山市の空き家対策では、管理不全の空き家の解消が大きな課題となっており、除去費用の補助を求める意見が多く寄せられていることについてはすでにご紹介しました。
こうしたニーズを満たすのが「和歌山市不良空き家の除去に係る補助金」です。
この補助金は、老朽化した空き家が周辺地域の生活環境を脅かすケースが増加していることを踏まえ、老朽化した空き家を所有者が撤去する場合の費用の一部を市が補助する制度です。
対象となる空き家の条件は、1年以上居住者がおらず、床面積の1/2以上が居住用であったこと、また敷地境界からの最短距離が5メートル以下である家屋のうち、不良空き家の判定で100点以上の評点を得た物件です。
不良空き家の評点の例としては、基礎が玉石であれば10点、梁の傷みが激しく、大規模改修が必要であれば50点、外壁の傷みにより、壁に穴が開いていれば25点、などが挙げられます。
評点100点を満たすのは、家が傾いていたり、家の基礎部分の傷みが激しかったりとかなり老朽化が進んだ家屋であることが多いようです。
この補助金を申請できるのは、空き家の所有者かその相続人、または空き家の所有者同意を得た土地の所有者です。
対象となる工事は、空き家の除去に必要な許可または登録をおこなっている和歌山市内の業者が、空き家の家屋および敷地内の工作物全てを除去する場合で、空き家の面積にもよりますが50万円を上限として、除去費用の2/3が補助されます。
建物の状況次第では対象とならない場合もあるため、申請の際には、和歌山市の空家対策課に事前相談の上、不良空家の認定を依頼しましょう。
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まとめ
江戸時代には城下町として栄え、現在も大阪市や関西国際空港などへのアクセスも良好な和歌山市ですが、全国の多くの自治体と同じく、空き家問題を抱えています。
特に深刻なのが、市内の人口減少と活用方法が定まらない空き家の急激な増加で、管理不全の空き家が増えていくことが特に懸念されています。
こうした状況を踏まえ、和歌山市では、空き家の発生の抑制や管理不全の空き家の解消に特に力を入れつつ、「空き家を活用した地域交流拠点づくりに係る補助金」や「和歌山市不良空き家の除去に係る補助金」などの補助金事業の充実を図っています。
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