空き家問題が深刻化する中、国や自治体、民間企業は空き家の利活用に向けたさまざまな取り組みを始めています。
とくに、空き家をリフォーム・リノベーションして利活用する方法については、メディアなどでもたびたび取り上げられ、注目を集めています。
一方で、空き家を格安で購入し、建て替えてマイホームとする方法もあります。
今回の記事では、空き家を建て替える場合について、リフォームと比較した場合のメリットや注意点、また、その費用についてご紹介いたします。
そもそも空き家の建て替えってなに?リフォームと比較したときの特徴は?
家の購入や建て替え、リフォームをおこなうには、ほとんどの場合、それなりの費用がかかりますので、リフォームや建て替えの違いについて詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。
そこで、はじめに、空き家の建て替え工事とはなにか、また、その特徴についてリフォームする場合と比較しながらご解説いたしましょう。
建て替えの定義
まずは、建て替え工事の定義についてご説明いたしましょう。
建て替えとは、現在建っている家屋をその基礎部分も含め、すべて解体・除去し、新しい住宅を建てることを指します。
建築基準法などによる制限により、建て替えすることができない住宅もあります。
これに対し、リフォームとは、家屋の基礎部分を維持したまま、建物に部分的な修繕・改築・増築を施すことで新築に近い状態に改修することを言います。
リフォームの規模については、老朽化しやすい水回りや、劣化しやすい屋根・外壁のみの改修工事から、基礎部分を除く部分を一新するフルリフォームまで、さまざまな選択肢があります。
空き家の内部を一旦解体し、基礎部分のみの状態から新たに内部を造る、いわゆる「リノベーション」もリフォームの一種として分類されます。
このように、家屋を完全に解体・撤去してから、新たに家を建てることを建て替え、基礎部分は維持したまま、必要に応じて改修工事を施すことをリフォームと呼びます。
ここからは、もう少し詳細な建て替え工事の特徴について、リフォームの特徴と比較しながら見ていきましょう。
ただし、費用面については、次の項目で詳しく扱いますので、こちらでは空き家の築年数や間取り変更の自由度、工期などについてご紹介いたします。
工期
築30年以上経過している建物であれば、建て替えを選んだ方が良いとされています。
一方、築10年から20年の家は部分的なリフォームを、築20年から30年以上であれば、大規模なリフォームを選ぶ方が多いようです。
リーズナブルな価格で購入した空き家の場合には、建て替えを選んだ方が良いかもしれませんね。
間取りの自由度
間取り変更の自由度については、建て替えを選択すれば自由に変更できるのに対し、リフォームの場合では、場所によっては間取りの変更ができないことがあります。
工期の目安としては、建て替えなら4か月から6か月、リフォームであれば1か月程度となります。
空き家の建て替えにかかる費用は?できるだけ安くするにはどうすれば良い?
次に、空き家を建て替える場合の費用について見ていきましょう。
まず、費用相場についてですが、建て替え工事にしろ、リフォームにしろ、工事内容によってかなり幅があるというのが実情です。
しかし、一般に、建物全体を完全に解体する必要のある建て替えの方が、リフォームに比べて費用がかかりやすいと言えます。
一般的には、建て替え工事の費用目安は、およそ1,000万円から4,000万円、リフォームであれば、300万円から2,000万円程度です。
また、工事以外にかかる経費については、建て替えの場合は解体費や周辺工事費、不用品の処分費用、建て替え中に住むアパートなどの家賃、引っ越し費用がかかります。
リフォームの場合には、規模にもよりますが、これらの経費はあまりかからないようです。
空き家を建て替える際の諸経費の中でもとくに気になる項目の一つに、空き家の解体費用があります。
空き家の1坪あたりの解体費用の相場としては、木造住宅の場合は2万5,000円から4万円、鉄筋造では3万円から5万円、鉄筋コンクリート造では3万5,000円から6万円となります。
ただし、建物の状態や規模、周辺環境によって、実際にかかる解体費用には差が出てきます。
空き家の状態に合わせた解体費用の目安を知るには、事前に解体業者に見積もりを依頼しましょう。
解体業者は現地調査をおこない、実際の空き家の状態を見て見積もりを出しますので、その空き家の解体にかかる正確な費用を知ることができます。
見積もりの金額があまりに相場とかけ離れている際は、見積もりの詳細について質問してみると良いでしょう。
このように見ると、建て替えか、リフォームかを選択する際に、リフォームのほうが費用がかからないことが一般的です。
しかし、購入した物件が空き家である場合には、購入費用を抑えたり、自治体の補助金を活用したりすることで、全体の費用を抑えることは可能です。
空き家の購入費用を抑えたい場合には、自治体が運営する空き家バンクや、民間企業が運営する空き家マッチングサイトを活用して、物件を探すと良いでしょう。
空き家バンクは市町村など自治体が、空き家の利活用と地域の活性化を目的として、非営利で運営しています。
物件の売却・賃貸を希望する空き家所有者から得た物件情報を、空き家バンク上に公開し、空き家の利活用希望者に向けて情報提供をおこなう仕組みです。
自治体が非営利で運営しているため、物件取引における交渉や契約は当事者同士でおこなわねばならない場合もありますが、格安で掘り出し物件を手に入れられる可能性もあります。
また、立地や築年数の問題などで不動産会社が取り扱わない空き家物件を格安で探すことのできる民間の空き家マッチングサイトもあります。
そうしたサイトの一つである「家いちば」は、掲示板形式の空き家マッチングサイトです。
空き家の売却を希望する所有者が物件情報を投稿し、購入希望者と直接交渉をおこない、契約段階では宅地建物取引士がサポートします。
また、契約が成立するまでは無料、成約した場合には、基本料金6万円、仲介手数料は通常取引の半額ですので、空き家の購入費用や経費を抑えることができます。
さらに、空き家の所在地によっては、自治体が空き家の購入や建て替え対して補助金を支給しています。
補助金の額は地域によって異なりますが、100万円を上限として支給している地域もあります。
空き家に関する補助金制度について、制度自体の有無や条件が自治体ごとに異なるので、事前に空き家が所在している地域の制度を確認しましょう。
空き家の購入や建て替えをご検討の際には、これらの補助金制度についても考慮しておくと良いかもしれません。
空き家を建て替える際のメリットや注意点は?
ここまでは、空き家を購入した際に、その空き家を解体して建て替える際に知っておきたい、建て替え工事の特徴や、その費用などを見てきました。
それでは、最後に、空き家を購入した際に、建て替えを選ぶメリットや注意点をご紹介しましょう。
空き家を建て替える際の大きなメリットは、間取りや設置する設備についての自由度が高い点です。
リフォームを選んだ場合、どうしても希望道理の間取りを実現できないケースもあり得ますが、建て替えを選べば、子どもが独立した場合や、ご自身が高齢となった場合を見据えて、自由な設計が可能となります。
また、空き家の場合は、とくに格安物件などでは築年数が古かったり、設備の劣化が激しかったりなどの難点がある場合も少なくありません。
そうした場合にリフォームを選ぶと、結局費用がかさんでしまい、長期的な視点で見た際に設計の自由度の高い建て替えを選んだほうがよかった、と後悔するケースもあるのです。
空き家を購入して、建て替えか、リフォームを選ぶ際には、単に費用面だけではなく、これらの要素も加味した上で、長期的にご自身が満足できる住宅は何なのかを考えることが重要となります。
ただし、空き家を建て替える際には、注意点もあります。
まず、注意したいのが、契約不適合責任を明確にしておくことです。
契約不適合責任とは、購入時点で不明な欠陥が発覚した際に、売却主が買い手に対して負う責任のことです。
とくに古い空き家物件などでは、空き家の解体を始めてから、地中から埋蔵物が発見され、その撤去費用が追加されるケースがあります。
不動産業者から物件を購入する際には、不動産業者に最低2年間の契約不適合責任が課されていますが、個人間の取引ではこうした場合に備え、契約書を作成する際に、瑕疵の内容や空き家の所有者の契約不適合責任について明文化しておく必要があります。
もう一つ、空き家を購入し、建て替えを検討する場合に気を付けたいのが、いわゆる「再建築不可物件」です。
建築基準法の定めるところにより、住宅用地については、幅員4m以上の道路に2m以上接している必要がある、などの制限があるため、建て替えすることができない物件があるのです。
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まとめ
今回の記事では、空き家の建て替えについてご解説しました。
空き家を購入し、リフォームか建て替えかを選ぶ際の建て替えの魅力とは、なんといっても設計の自由度です。
また、費用面から言えばリフォームの方が安く済む場合も多いですが、購入費用を抑えたり、自治体の補助金を活用したりすれば、比較的安価に理想の住まいを手に入れられるかもしれません。
空き家の購入をお考えの方は、リフォーム・リノベーションだけでなく、建て替えも視野に入れてご検討してみてはいかがでしょうか。
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