全国の空き家の実態を明らかにする「令和元年空き家所有者実態調査」とは?最新の調査結果をご紹介

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全国の空き家の実態を明らかにする「令和元年空き家所有者実態調査」とは?最新の調査結果をご紹介

空き家問題が深刻化している状況を受け、国や行政は空き家に関する様々な対策や調査を実施しています。
国土交通省による「空き家所有者実態調査」もこうした調査の一つで、昭和55年より5年ごとに実施されてきた「空家実態調査」の内容をアップデートしたものです。
国や自治体が空き家に関する施策を推進する際の基礎資料を得ることを目的とし、全国の空き家所有者を対象に空き家の実態についての調査がおこなわれています。
今回の記事では、その最新の調査結果である「令和元年空き家所有者実態調査」についてご紹介いたします。

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「令和元年空き家所有者実態調査」ってどんな調査?まずはその概要をご紹介

はじめに、「令和元年空き家所有者実態調査」の概要についてご説明しておきましょう。
近年、空き家の管理不全により周辺地域の環境が悪化するケースが全国的に増え、社会問題となりつつあります。
この調査は全国の空き家の所有者を対象として、所有している空き家の利用状況や管理の実態を調査し、空き家対策に役立てることを目的としています。
「空き家所有者実態調査」は、「空家実態調査」として国土交通省が昭和55年から5年ごとに実施してきたものです。
今回この調査の名称が変更となった背景には、「平成30年住宅・土地統計調査」において調査項目に「居住世帯のない住宅」(空き家)が加わったことが挙げられます。
これは、普通世帯の世帯員が所有している住宅のうち、普段人が住んでおらず、空き家となっている住宅を指し、その用途には、「二次的住宅・別荘用」、「貸家用」、「売却用」、そして特に使用目的の定まらない「その他」があります。
「令和元年空き家所有者実態調査」の調査対象は、「平成30年住宅・土地統計調査」で判明した「居住世帯のない住宅」の所有者から無作為に選出された12,151人です。
これまでの「空家実態調査」からの変更点として、「令和元年空き家所有者実態調査」では、他の調査でカバー可能な調査事項を省略し、近年の動向を踏まえた調査項目を充実させた点が挙げられます。
たとえば、空き家の所有者を登記簿で特定できないケースが増えていることから、空き家の不動産登記の状況を把握する設問が、また、近年空き家の譲渡が増えてきていることから、空き家を譲渡する意思の有無などを把握するための設問などが新設されました。
このように、「令和元年空き家所有者実態調査」は、従来の「空家実態調査」をベースに、調査目的や空き家問題の現状に応じて、調査対象の選出方法や調査項目に変更を加えた内容となっています。

「令和元年空き家所有者実態調査」調査結果① 空き家の現況および管理実態

それでは「令和元年空き家所有者実態調査」の調査結果をご紹介していきましょう。
今回調査対象となった空き家の総数は3,912戸です。
これらの空き家の現在の用途は、「二次的住宅・別荘」が25.8%、「貸家用」が4.4%、「売却用」が12.8%、「その他」が52.8%となっています。
このうち「その他の住宅」の現在の状況としては、「寄付・贈与先を探している」が0.7%、「リフォーム・建て替えのため」が3.6%、「取り壊し予定のため」が11.1%、「転勤・入院で居住者不在だが、将来居住予定のため、物置として利用」が2.2%、「それ以外の理由で物置として利用」が23.0%、「その他」が12.1%となっています。
これを踏まえた上で、これらの空き家の現在の状況および管理実態に関する調査結果を中心にご紹介していきましょう。
まず、空き家の腐朽や破損の状態についての設問では、空き家の総数3,912戸のうち、「屋根に変形や傾きがある」という回答が22.4%、「住宅の外周または内部が部分的に腐朽・破損」が31.6%となっています。
また、このうち使用目的の定まらない「その他」の空き家では、「屋根に変形や傾きがある」が30.0%、「住宅の外周または内部が部分的に腐朽・破損」が33.0%となりました。
つまり、空き家全体の5割以上に部分的・構造的な腐朽・破損があり、特に「その他」の空き家では、その割合が6割を超えることがわかっています。
次に、空き家の管理や利用の頻度についての設問では、「誰も管理していない」空き家が269戸ありました。
これを除いた3,643戸の空き家の管理や利用の頻度は、「ほぼ毎日」が15.5%、「週に1~数回」が19.1%、「月に1~数回」が36.4%、「年に1~数回」が24.7%、「不詳」が4.3%でした。
空き家全体の管理頻度として最も多いのは「月に1~数回」でおよそ4割程度であることがわかります。
さらに空き家の用途別の管理頻度についても、「二次的住宅・別荘」、「貸家用」、「売却用」、「その他」の全てで「月に1~数回」の管理または利用が最も多いという結果が出ています。

「令和元年空き家所有者実態調査」調査結果② 空き家取得時の登記・名義変更および今後の利活用の意向

ここからは空き家取得時の登記・名義変更の実態や、今後の利活用についての所有者の意向に関する調査結果について見ていきましょう。
まずは、空き家の取得時に登記の名義変更や新たに登記をおこなったかについての回答結果です。
こちらの設問では、所有者が不明または不詳である空き家126戸は母数から除外され、また空き家の用途別および取得方法別に、それぞれ登記・名義変更の有無を回答する形式が取られています。
所有者が判明している空き家3,786戸のうち、「名義変更をおこなった」55.6%、「新たに登記をおこなった」21.1%、「いずれもおこなっていない」15.3%、「不詳」7.9%と、空き家の所有者の変更に合わせて手続きが取られた空き家はおよそ8割となっています。
このうち、「いずれもおこなっていない」とした回答が多かったのは、用途別では「その他」の空き家、取得方法別では「相続」により取得された空き家で、いずれも2割程度が所有者の変更に応じた手続きがなされなかったとの結果になっています。
次に、今後の利活用に関する所有者の意向に関する設問への回答結果を見ていきましょう。
まず、今後5年程度の利用意向について、「空き家にしておく(物置を含む)」との回答が最も多く28.0%、次いで「セカンドハウスなどとして利用」が18.1%、「売却」が17.3%といずれも約2割程度となりました。
このほかにも、「取り壊す」13.2%、「住む」7.0%、「賃貸」5.3%、「寄付・贈与」1.3%などの回答がありました。
このうち、今後の利用意向が「売却」または「賃貸」と回答された空き家のうち、賃貸・売却する上での課題として多く挙げられたのが「買い手・借り手の少なさ」42.3%、「住宅の傷み」30.5%、「設備や建具の古さ」26.9%などです。
また、利用意向を「寄付・贈与」と回答した所有者のうち、何らかの費用を自己負担してもよいと考えているのは、44.0%に留まっています。
さらに、利用意向を「空き家にしておく(物置を含む)」と回答した所有者が、所有物件を空き家にしておく理由として最も多かったのは「物置として必要」という回答で、60.3%でした。
一方で、「解体費用をかけたくない」46.9%、「更地にしても使い道がない」36.7%など、消極的な理由からやむを得ず空き家にしておくことを選択するケースも多くある実態が、今回の調査で明らかになっています。

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まとめ

今回の記事では、「令和元年空き家所有者実態調査」がどのような調査であるのか、またその調査結果についてお伝えしました。
「空き家所有者実態調査」は、昭和55年より実施されてきた「空家実態調査」を基礎として、現在の空き家対策により役立てるため、調査方法や調査項目の一部を変更した統計調査です。
今回の調査では、空き家の管理について、使用目的の定まらない「その他」の空き家の管理不全の実態が、また、空き家の利活用に関する課題として、「賃貸・売却」する場合の需要不足や、寄付・贈与にかかる費用、空き家の解体費用などが浮き彫りになっています。
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