中古住宅の活用が空き家問題を解決?空き家対策における中古住宅市場の重要性とは

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空き家活用
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中古住宅の活用が空き家問題を解決?空き家対策における中古住宅市場の重要性とは

現在、空き家問題は日本が抱える大きな社会問題の一つとして知られています。
空き家の増加や空き家の放置への様々な対策が講じられているにもかかわらず、空き家数や空き家率の増加傾向が続いているのです。
空き家がこれほどまでに増加してしまった背景には、少子高齢化や税金制度の問題点などいくつかの要因が挙げられます。
その一つに日本では特に新築住宅が好まれる傾向が強い点があり、不動産市場における中古住宅の流通を活性化し、中古住宅を活用していくことが空き家問題解決の糸口となることが期待されています。
そこで今回の記事では、空き家問題への対策としての中古住宅の活用について、その概要や実際の取り組み事例をお伝えいたします。

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空き家問題の背景は少子高齢化だけじゃない!中古住宅の流通量の低さも要因の一つ

総務省統計局では、5年ごとに国内の住宅及び土地に関する「住宅・土地統計調査」を実施しており、また国土交通省は住宅の着工に関する統計として「住宅着工統計」を発表しています。
はじめに、これらの調査結果に触れつつ、日本の空き家問題の現状とその背景としての中古住宅市場の状況についてご説明していきましょう。
まず、「平成30年住宅・土地統計調査」では、国内の空き家数が846万戸、空き家率は13.6%との統計結果が出ています。
アメリカの空き家率は10%程度、欧州では空き家率が高い傾向にあるイギリスやドイツでも10%以下の数値となっていますので、日本の空き家率は高めであると言えるでしょう。
このように、海外と比べても日本の空き家率が高い背景にはいくつかの社会的要因があります。
たとえば、少子高齢化により、住宅の所有者が高齢化して病院や施設に入居したり、死亡したりした場合に、住宅を相続することになる子どもの数が少なく、さらに子どもが都市部で生活しているために相続した実家に住むことができないケースが増えています。
また、住宅に対しては固定資産税など税金の軽減措置がありますが、空き家となった住宅を除去すればこの恩恵を受けられなくなるため、放置される空き家も少なくないと言われています。
これらの要因に加えて空き家が増加する背景とされているのが、日本人の新築住宅を好む傾向と中古住宅市場の未発達です。
国土交通省により平成30年に実施された「住宅着工統計」では、新築住宅の着工戸数がおよそ94万2千戸であったのに対し、既存住宅、すなわち中古住宅の取引戸数はおよそ16万戸となっており、全住宅流通量に占める中古住宅の流通シェアは約14.5%に過ぎません。
一方、欧米諸国では全住宅流通量に占める中古住宅の流通シェアは、アメリカが81.0%、イギリスが85.9%、フランスが69.8%と日本の水準を大きく上回っています。
国土交通省が発表した「平成25年度住宅市場動向調査」では、住宅を購入する際に中古住宅を選ばなかった理由を「新築住宅の快適さ」とする回答が75%にも上っています。
この結果は日本人の新築住宅を好む傾向を端的に表しており、これが中古住宅の流通を阻み、空き家が増加していく一因ともなっているのです。

日本人の新築住宅信仰の理由とは?日本の中古住宅市場の展望は?

空き家問題を加速させた一因として、新築住宅を好む日本人の傾向をご紹介しましたが、ここからは、日本人の新築住宅信仰の理由と今後の中古住宅市場の展望についてご解説いたしましょう。
日本でこれほどまでに新築住宅がもてはやされる理由として挙げられるのが、住宅寿命の短さです。
国土交通省による調査では、日本の住宅寿命の平均はおよそ26年とされています。
一方で、欧米の住宅寿命の平均を見てみますと、アメリカが44年、イギリスが75年程度と、日本の住宅寿命がかなり短いことがわかります。
これには、住宅に対する意識の違いという文化的差異と、戦後の住宅事情という歴史的な要因が関係していると言われています。
日本では住宅と言えば木造建築が中心であるため、住宅は老朽化するものであり、その都度建て直すという考え方があります。
一方、欧米の住宅は伝統的に石造りである場合が多く、住宅は改良を重ねながら代々使い続けるもの、という考えが一般的なのです。
住宅の耐用年数が住宅寿命に対する意識に影響するだけでなく、住宅寿命についての認識が住宅の耐用年数にも影響を与え、さらには日本の新築住宅信仰を生み出しているわけです。
歴史的な面にも目を向けてみますと、戦後日本の住宅不足も住宅寿命の短さに関係しています。
このような時代の住宅に求められたのは質よりも量であったため、耐用年数の短い住宅が大量に建てられたのです。
そして、このように耐用年数が短い住宅が多く建てられた結果、築年数の古い住宅には資産価値が認められない傾向がさらに強まりました。
こうして、日本の不動産業界における中古住宅市場は成熟が遅れてしまったのです。
このような中古住宅を取り巻く状況が長く続き、空き家問題を生み出してしまう要因ともなったのですが、近年では事態は改善の兆しを見せつつあります。
これには、技術の発展により住宅の耐久性や耐震性が向上したことに加え、国を挙げて中古住宅の流通を促す方針が取られ始めていることも関係しています。
2000年代に入ってからは、長期にわたり使い続けることができる「長期優良住宅」の取得を後押しする「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」や中古住宅の流通や住宅寿命の向上を目標とする「住生活基本法」などが制定されました。
長きにわたり中古住宅市場が未熟で、空き家の増加が深刻な社会問題とされてきた日本ですが、その状況はようやく変わりつつあると言えそうです。

長きにわたり中古住宅市場が未熟で、空き家の増加が深刻な社会問題とされてきた日本ですが、その状況はようやく変わりつつあると言えそうです。

最後に、中古住宅の流通・活用を促進する取り組みについてご紹介しましょう。
まず、国や自治体による取り組みから見ていきましょう。
こうした取り組みの一つとして挙げられるのが、中古住宅を購入する際、その住宅の耐久性や耐震性を保証する「安心R住宅」制度です。
この制度では、新耐震基準に適合し、インスペクションを受けるなど、基礎的な品質を満たしていると評価された住宅に対して、改修や修繕についての情報が提供されます。
中古住宅の購入希望者にとっては、中古住宅であっても品質の保証がされており、点検や修繕の状況、保険や保証の有無が明確にわかるため、より安心して購入に踏み切ることができます。
また、空き家の活用で利用できる助成金や相談窓口を設置している自治体も多くあります。
これらの制度は自治体により異なりますので、ご利用を希望する際には各自治体のホームページなどで確認してみるとよいでしょう。
さらに、空き家の取引の仲介については、多くの自治体が空き家バンクを運営しています。
これは、不動産取引における仲介手数料は不動産の売却価格に応じて決まるため、通常の不動産会社では価格の低い空き家の取引仲介に応じにくいためです。
自治体が運営する空き家バンクは非営利であるため、価格帯の低い空き家も取り扱うことができるのです。
一方、NPO法人や民間企業も様々な方法で空き家問題に取り組んでいます。
「NPO法人 空家・空地管理センター」では、様々な専門家や事業者と連携し、空き家の管理、活用、相続や税金の問題について、ワンストップ体制で相談に応じています。
また、「カリアゲJAPAN」は、借り手を探すのが難しい空き家や築年数の古い物件専門のサブリースをおこなっています。
家賃は相場よりも安くなりますが、借り上げた物件を自社負担で改修してくれるので、6年契約で転貸した後は、リノベーションを施された状態の物件が所有者の手元に戻るため、人気が高まっています。

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まとめ

日本の空き家問題は、少子高齢化や税制などに加え、中古住宅の不人気が深刻化の一因となった背景があります。
このため、空き家問題を解消していくには、中古住宅市場の流通を促進することが重要な課題となっており、近年ではこの課題に対する様々な取り組みがおこなわれています。
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