尾道空き家再生プロジェクトとは?地方での空き家再生の成功事例をご紹介

カテゴリ:
各地域の空き家対策
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尾道空き家再生プロジェクトとは?地方での空き家再生の成功事例をご紹介

空き家問題が年々深刻化する中で、空き家の利活用に向けた取り組みが注目を集めています。
自治体やNPO団体、民間企業や各分野の専門家たちが独自に、また時には連携を図りながら、空き家問題に取り組んでいます。
広島県尾道市で活動する尾道空き家再生プロジェクトは、空き家の利活用に向けた取り組みをおこなうNPO法人の一つで、その活動は空き家再生の成功例として評価を受けています。
今回の記事では尾道空き家再生プロジェクトについて、団体の活動内容や空き家再生事例をご紹介いたします。

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尾道空き家再生プロジェクトの活動内容とは?空き家再生でまちづくりに貢献

まずは尾道空き家再生プロジェクトの概要をご紹介いたしましょう。
広島県の南東部に位置する尾道市は、瀬戸内海と山々に囲まれ、歴史と文化を感じさせる街並みや建物を残しています。
中でも特にユニークな街並みを残す山手地区ですが、現在空洞化と高齢化が進み、多くの空き家が残されています。
これらの空き家には、不思議で個性的な建物や景観が優れている建物など多くの魅力的な建物が含まれていますが、長期間人が住んでいないために、老朽化が急速に進んでいます。
尾道空き家再生プロジェクトは、これらの空き家を再生し、活用方法を模索することを通じて、尾道らしいまちづくりを実現することを目指しています。
尾道空き家再生プロジェクトは空き家の再生に向けた取り組みの中で、建築、環境、コミュニティ、観光、アートという5つのキーワードと空き家を関連付けた活動をしています。
尾道の旧市街には、2キロ四方の中心市街地に様々な時代の家が点在しており、尾道が活気に満ちていた時代を象徴する町家造りの家や土蔵、お茶室や日本庭園のあるお屋敷や洋風の建築様式を有する家々があります。
また、山と海に囲まれ、変化にとんだ地形に合わせて建てられたユニークな形の家や、眺望のよい家、増築を重ねた家や、木造3階建ての家など個性的な家も多く存在します。
尾道空き家再生プロジェクトは、空き家再生の取り組みを通じて、そのような尾道独特の建築の面白さや、そこに凝縮された昔ながらの職人技を多くの人々に伝えようとしています。
また、尾道空き家再生プロジェクトの活動は、環境に配慮したエコ活動としての側面もあります。
古い家を使い続けることは、産業廃棄物や森林伐採の減少につながりますし、空き家に残された家財道具のリユース・リサイクル、廃材の再利用にも努めています。
さらに、新築を建設することが難しい斜面では、畑や手作りの公園などの緑化運動を進めています。
また、プロジェクトの活動は新しいコミュニティづくりにも一役買っています。
少子高齢化や過疎化などに悩む尾道の空き家をただ守るだけでなく、空き家を利活用したい人を探し、移住者を支援したり、空き家や空き地を使った世代間の交流やイベントを企画したりと、コミュニティづくりの手助けもしているのです。
空き家のアートや観光のための活用も活動の一部です。
空き家を長期滞在する観光客や尾道での生活を体験したい移住希望者に貸し出し、雑貨店や工房など尾道散策をさらに魅力的にしてくれるものへの再生に向けた取り組みをおこなっています。
さらに、多くの文人や芸術家に愛された尾道が今後もアートの発信地となるよう、若いアーティストたちの寮やアトリエ、セミナーハウスとして、またアーティスト・イン・レジデンスに空き家を活用する活動もおこなっています。

尾道空き家再生プロジェクトの移住支援とは?

ここからは、尾道空き家再生プロジェクトが実際におこなった再生プロジェクトの事例をご紹介していきましょう。
既にご紹介したように、尾道空き家再生プロジェクトの活動の一つに、空き家への移住を軸とした移住希望者の支援が挙げられます。
尾道空き家再生プロジェクトが活動をおこなう山手地区は、昔ながらの街並みが残っているため、人が通るのもやっとという狭小道路が多く残っています。
このため、接道義務を果たさないため建て替え不可の住宅が少なくなく、これに高齢化による人口減少も加わって、多くの空き家が放置されている状況がありました。
さらに、接道義務を果たさない空き家は不動産屋も取り扱わないため、空き家を利活用したくても空き家の情報を入手する手段もなかったのです。
これらの空き家と尾道の街を守るために、尾道空き家再生プロジェクトが始めたのが、尾道市と連携した空き家バンクの運営と移住希望者への支援です。
尾道市への移住希望者が空き家バンクに登録すると、尾道市の空き家情報が掲載されたデータバンクを閲覧することができます。
ウェブサイトでは物件の種別や設備に加えて、空き家の特徴や状態などの詳細についても掲載されています。
さらに、毎月空き家への移住者を対象とした相談会や、空き家を巡るツアーを開催し、尾道での生活を体験できる移住お試し住宅も運営している。
尾道空き家再生プロジェクトでは、空き家のリノベーションについても利用可能な補助金制度を紹介するほか、DIYで空き家をリノベーションする移住者を様々な形で支援しています。
このような支援には、空き家を職人や建築家とともに改修するワークショップの開催、リノベーション時のアドバイスや専門家の紹介、道具の貸し出しなどがあります。
また、もう一つの移住者支援としてプロジェクトがおこなっているのが、尾道での生活を紹介するパンフレットなどの資料の発行です。
カルタのような遊び心あふれるデザインで、空き家を再生しての尾道暮らしを紹介する冊子もあります。
このような努力が実り、尾道空き家バンクには多くの空き家が登録され、尾道の空き家への移住希望者が増加しました。

尾道空き家再生プロジェクトによる再生物件を紹介!尾道ガウディハウスとは?

最後に、尾道空き家再生プロジェクトが実際に手掛けた再生物件について、いくつかご紹介しましょう。
尾道空き家再生プロジェクトが再生した旧和泉家別邸、通称尾道ガウディハウスは、昭和8年に尾道市の商人、和泉氏の離れ・別宅として、一人の大工により3年かけて建設されたものです。
大正末期から昭和初期にかけて多くの港町で流行したハイカラ感あふれる洋風建築の一つで、10坪という狭小住宅でありながら、当時流行した技法が散見できる洋館付き住宅となっています。
正面玄関の上に幾重にも重ねられた飾り屋根や「うだつ」など随所にみられる必要以上の装飾や、曲線的ライン、南京下見板張りの外壁や、洋館部分のドイツ壁の技法などが特徴で、ガウディハウスという名前もこうした側面から名付けられたようです。
跡継ぎ不足と老朽化により、1980年ころより25年間ほど空き家の状態が続いていましたが、2007年、尾道空き家再生プロジェクト代表の豊田氏の目に留まり、尾道の地域遺産として再生に向けた作業が開始されました。
長期間空き家であったため、ほこりだらけで老朽化が進んでいたため、まずはボランティアの手により、不用品を選別し、清掃作業がおこなわれました。
その後、職人が屋根や床下部分などの応急処置を施した上で、建築士と職人が改修計画を立て始めました。
2007年11月よりシロアリ対策、基礎部分の工事、水道工事などの工事を何度も繰り返し、2020年に完成に至りました。
ガウディハウスでは、工事の合間を縫うようにオープンハウスや空き家に残された不用品を販売する蚤の市、アートイベントなどが開催され、その収益の一部を空き家の修復費用に利用されています。
今後は和の空間を活かしたレンタルスペースや、短期滞在用の貸家として活用される予定です。

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まとめ

尾道空き家再生プロジェクトの活動は空き家の再生だけに留まりません。
空き家バンクを利用する移住者支援や、住むのが難しい空き家をアートや観光への活用を通じて、尾道のまちづくりへの社会的貢献が尾道空き家再生プロジェクトの成功の秘訣なのかもしれません。
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