2020年ももうすぐ終わりですが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大や東京オリンピックの中止、新内閣発足などさまざまなニュースがありました。
空き家についても同様、いくつかのニュースがありましたね。
今回の記事では、2020年の空き家関連のニュースをお伝えいたします。
2020年空き家関連ニュース① 土地基本方針と国土調査事業十箇年計画の策定
はじめにご紹介する空き家関連ニュースは、2020年5月に閣議決定された「土地基本方針」と「第7次国土調査事業十箇年計画」についてです。
「土地基本方針」は、令和2年3月に成立し、交付された「土地基本法等の一部を改正する法律」に基づいています。
所有者不明土地問題の解消や管理不全や低未利用土地の利用や管理の促進などを目指し、このような状況に即した土地政策を推進するための施策を、関係省庁が一体となって土地関連の政策を実施できるような具体的方向性を示すものとして策定されました。
方針の主な内容を見ていきましょう。
まず、低利用もしくは未利用の土地の需要を掘り起こし、取引の促進や仲介および有効利用の促進を図ることを目標に、低未利用土地の利用・管理を促す税制特例措置やランドバンク活用を推進することが掲げられています。
また、管理不全土地等対策の促進等を図る取り組みを推進する具体案として、管理不全の空き地・空き家対策を推進することや、法務省により民法・不動産登記法の改正を検討することがあげられています。
さらに、土地の境界および所有者情報の明確化に向けて、国土調査事業十箇年計画に基づいて地籍調査の際に新たな調査手続きを活用し、地域特性に応じた効率的な調査方法を導入すること、またオンラインを含めた各種台帳の連携を通して不動産に関する情報基盤を整備し、充実させることなどが定められました。
一方で、「国土調査事業十箇年計画」は国土調査促進特別措置法に基づき、国土交通省がおこなう地籍調査の迅速かつ効率的実施を図るため、その土台となる計画および方針を昭和38年より10年ごとに定めています。
今回閣議決定されたのはその第7次計画で、上記の「土地基本方針」に即して、令和2年度から令和11年度にかけての計画となりました。
それでは、今回の策定の内容をご紹介いたしましょう。
まず、「土地基本方針」でも掲げられたように、令和2年の国土調査法改正に基づき、地籍調査の際に新たな調査手続きを活用し、地域特性に応じた効率的な調査方法を導入することが、記載されました。
また、計画事業量について、前回の計画にあたる第6次計画の実績事業は10,000㎢でしたが、調査の効率化に伴いその1.5倍を目指し、10年間の計画事業量を15,000㎢と定めています。
さらに、調査の進捗状況については、これまで対象地域全体での進捗率のみが提示されていましたが、より分かりやすく説明するため、優先実施地域での進捗率も併せて提示されることが決定されました。
今回の計画で提示された具体的な進捗目標は、優先実施地域では現在約8割であるものを10年後には約9割にまで進め、調査対象地域全体では現在の約5割であるものを10年後には約6割にまで進めるとしています。
2020年空き家関連ニュース② 空き家対策特別措置法の実施状況発表
次にご紹介する2020年の空き家関連ニュースは、11月に国土交通省が発表した、今年3月31日時点での空き家対策特別措置法の実施状況の調査結果についてです。
空き家対策特別措置法とは、放置空き家などのいわゆる空き家問題に対する対策として、平成26年に国会で定められた法律です。
この法律には空き家の実態調査や所有者に対する適正管理の指導、空き家の活用の促進などが盛り込まれ、また各自治体に空き家等対策計画を策定することを促しています。
さらに、管理が不十分で周囲に悪影響を及ぼすと思われる空き家を特定空き家に指定し、所有者に助言・指導・命令・勧告などの管理指導をおこない、状況が改善しない場合には行政代執行により空き家の除去などの措置が取られることを定めています。
今回の調査では、この法律が施行されてから5年となる2020年3月までに、全国の市区町村でどれほど空き家対策特別措置法に基づく空き家対策が実施されてきたかが明らかになっています。
それでは、調査結果のポイントについて見ていきましょう。
まず、全国の市区町村が定める空き家等対策計画の策定状況については、調査時点で全国の市区町村のおよそ7割にあたる1,208の市区町村が空き家等対策計画を策定しています。
さらに、2020年末までには全体の8割にあたる1,373市区町村で策定される見込みです。
調査結果には管理不全により周辺に悪影響を及ぼすと判断される特定空き家に対する措置の実施状況も示されています。
特定空き家に対する措置の件数が年々増加しており、今回の調査では調査時点までの累計が助言・指導が19,029件、勧告が1,351件、命令が150件、代執行が260件となりました。
また、特定空き家等の除去件数が約12,000件となり、自治体における空き家に対する取り組みの効果が高まっていることを示す結果となっています。
さらに各自治体の取り組みの成果を示す結果として、今回の調査では、特定空き家に指定されていない空き家についても所有者などによる除去件数が増加しており、その数が調査時点でおよそ90,000件に及んでいることも明らかになっています。
2020年空き家関連ニュース③ 令和元年空き家所有者実態調査の結果公表
最後にご紹介する空き家関連ニュースは、国土交通省が2020年12月16日に発表した令和元年空き家所有者実態調査の結果についてです。
こちらの調査は、空き家実態調査として昭和55年から5年ごとにおこなわれてきたものです。
平成30年の住宅・土地統計調査の調査項目に居住世帯のない住宅(空き家)が追加されたことから、調査方法および対象が見直しとなり、空き家所有者実態調査へと名称が変更されました。
調査目的は、全国の空き家の利用状況や管理実態を把握し、空き家についての基礎資料を得ることとされています。
平成30年住宅・土地統計調査の調査区内からいくつかの調査区を無作為に抽出し、その区内で空き家を所有していると回答した世帯を対象に、令和元年11月から令和2年1月にかけて調査がおこなわれました。
主な調査項目には、空き家の腐朽・破損の状態や立地、管理や利用頻度など空き家の状況と、登記・名義変更や売却・賃貸・寄付・贈与などの空き家の利活用方法があります。
それでは、これらの中から今回の調査のポイントとなる調査結果を取り上げていきましょう。
空き家の腐朽・破損の状況については、空き家の5割以上に腐朽・破損が認められ、用途のないいわゆる「その他の空き家」では、その割合が6割を超えることが判明しました。
また、空き家の今後の利用意向については、「空き家にしておく」が28%、「セカンドハウスとして利用する」が18.1%、「売却」が17.3%、「賃貸」が5.3%との回答結果でした。
さらに、今後の利用意向についての項目で「売却」または「賃貸」を選んだ回答者の賃貸・売却する上での課題点として最も多く挙げられたのは、「買い手・借り手の少なさ」で42.3%、次いで「住宅の傷み」が30.5%となりました。
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