2030年の日本の空き家率はどうなる?現在の空き家率や空き家対策もご紹介

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空き家活用
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年々増加する空き家の問題に注目が集まっていますが、10年後には日本の空き家の状況はどのようになるのでしょうか。
野村総合研究所は定期的に国内の住宅市場の予測レポートを発表しており、このレポートから、2030年前後の空き家率の予測を知ることができます。

そこで今回の記事では、現在の空き家率や空き家対策についても触れながら、2030年の空き家率の予測についてご紹介いたします。

012030年まであと10年!平成30年度住宅・土地統計調査で最新の空き家率をチェック

総務省統計局は5年ごとに国内の住宅や土地に関する様々なデータを集計し、住宅・土地統計調査として公表しています。

まず、現在の空き家率を知るために、その最新の調査結果である平成30年度住宅・土地統計調査のデータについて見ていきましょう。

この調査によれば、2018年の空き家率は13.6%と過去最高の数値を記録しました。
国内の空き家率は5年ごとの住宅・土地統計調査の度に増加し続けており、その背景には人口減少や空き家が多いにもかかわらず、新築住宅の建設が続けられている現状などが挙げられます。

過去の住宅・土地統計調査の空き家率に関するデータを見てみますと、1963年には2.5%、1983年には8.6%、2003年には12.2%と、年々空き家率が上昇しています。

ただし、統計で空き家とされている住宅は、二次的住宅、賃貸用、売却用、その他の住宅に分類され、そのすべてが深刻な問題をもたらすものとされているわけではありません。


まず、二次的住宅とは、普段は使用していないものの、時折使用する別荘や別宅などを指します。

二次的住宅は普段は空き家となっていますが、全く使用されていないわけではないのです。
二次的住宅を除外すれば、2018年の空き家数は808万戸、空き家率は12.9%となります。

また、賃貸用や売却用の住宅は借り手や買い手がついていない状態ではありますが、将来の賃貸や売却に向けて不動産市場に出回っている状態です。
二次的住宅や賃貸用、売却用の住宅については、用途が明確である程度管理が行き届いているので、いわゆる空き家がもたらす問題の要因となることは少ないのです。

一方で、その他の住宅とされる空き家には、これらの住宅のような明確な用途がないため、管理が行き届かず、急速に老朽化して様々な問題を引き起こす要因となりかねません。

つまり、空き家の増加が問題視されるとき、その対象となるのは二次的住宅や賃貸用、売却用の住宅ではなく、その他の住宅であると考えてよいでしょう。

平成30年度住宅・土地統計調査にて空き家として計上された住宅の内訳は、賃貸用が432万7千戸、その他の住宅が348万7千戸、二次的住宅が38万1千戸、売却用が29万3千戸となっており、ほとんどの空き家が賃貸用またはその他の住宅であることがわかります。 空き家について今すぐ相談

022030年の空き家率の予測は?新設住宅が減少しても空き家率は増加する

それでは、ここからは2018年に野村総合研究所が発表した不動産市場に関する予測レポートから、2030年の空き家率について見ていきましょう。

こちらのレポートでは、2030年度までの新設住宅の着工戸数と大工の人数、そして総務省統計局の住宅・土地統計調査が実施される年の空き家数・空き家率について予測しています。

まず、新たに建設される住宅と大工の人数については、いずれも減少していくことが予測されます。
新たに建設される住宅は2017年度には95万戸だったものが、2025年度には69万戸、2030年度には60万戸となることが予測されています。

住宅の用途別に見ると、2030年度の新設住宅は持ち家が20万戸、分譲14万戸、賃貸26万戸となります。
この予測によれば、2017年度から2030年度にかけて、新たに建設される住宅の戸数の減少率は持ち家が29%、分譲44%、賃貸37%となり、全体では37%も減少するのです。

なお2000年以降で最も着工数の多かった2006年度には、129万戸の住宅が新設されましたので、2017年度の時点で26%ほど減少しています。

2030年度にかけては、ここからさらに減少が加速していくことになるのです。

このように、住宅の着工戸数が減少するにもかかわらず、大工の人数は高齢化などを背景に、2015年の35万人から、2030年には21万人とこれを上回るスピードで減少すると見込まれています。
大工1人は年間で2戸の住宅を建設すると言われていますので、2030年の60万戸の住宅建設をまかなうには、1.4倍の生産性を実現する必要があるのです。

このように新築住宅の建設が減少していく見込みであるにもかかわらず、2030年ごろまでに空き家数・空き家率は上昇していきます。
2023年は空き家数1,293万戸で空き家率19,4%、2028年には空き家数1,608万戸で空き家率は23.2%、2033年には空き家数1,955万戸で空き家率27.3%となる見通しです。

最新の住宅・土地統計調査からわかっている空き家数・空き家率は、2018年のもので空き家数846万戸、空き家率は13.6%ですから、2033年にかけて空き家数が1,109万戸、空き家率は13,6%上昇することになります。
つまり、15年間で空き家数は倍以上、空き家率も倍に跳ね上がることになります。

ただし、こちらの予測での2018年の空き家率は16.1%でしたが、住宅・土地統計調査の結果では13.8%と、空き家率の上昇は微増に留まっています。
このため、2030年までに野村総合研究所の予測ほど空き家率が上昇しない可能性はあるものの、いずれにせよ今後も空き家数・空き家率は増加していく可能性は高いといってよいでしょう。
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032030年に向けて空き家の増加を抑制するには?空き家対策について

それでは最後に、2030年に向けて空き家の増加を抑制するための対策についてご紹介しましょう。

空き家の増加を抑制するための国の対策として、空家対策特別措置法があります。

この法律は放置空き家により引き起こされる問題を回避し、空き家の適正管理や活用を促進することを目的に、2015年に施行されました。

空家対策特別措置法では、管理が行き届かず、周辺地域に影響するようなトラブルを引き起こす可能性があると判断された空き家を特定空き家に指定します。


特定空き家に指定する際の判断基準について見ていきましょう。

まず、住宅の基礎や構造、外壁などの強度が不十分な状態で、破損や倒壊の危険があると判断された場合がこれにあたります。

また、敷地内のごみの不法投棄や、害虫や害獣の発生などにより衛生面に問題がある場合や、管理不足により庭木が生い茂っている、汚物や落書きが放置されているなど、周辺の景観を著しく乱している場合にも、特定空き家に指定されます。

さらに、不審者が侵入し犯罪の温床となる可能性が認められる、住み着いた動物の鳴き声が近所の迷惑となっているなど、放置すれば地域の生活環境に悪影響を及ぼすと判断されると、特定空き家とされてしまいます。
特定空き家の所有者には、行政から適正管理のための助言や指導、勧告を出され、勧告の段階で状況の改善が見られなければ命令、さらに行政代執行などの強制措置が取られます。

また、勧告または命令に従わなかった場合には、固定資産税の優遇措置からの除外や罰金などのペナルティが課されることになります。

このように、空家対策特別措置法は放置空き家の増加を抑制するための措置ですが、そのほかにも各自治体は補助金や空き家バンクなど、空き家の利活用を推進する取り組みをおこなっています。


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04まとめ

2020年まで日本の空き家率は増加を続けてきましたが、2030年にかけては新規住宅の建築戸数が減少するにもかかわらず、空き家率がさらに増加することが予測されています。

国や自治体が法律の整備や補助金、空き家バンクなどの対策を講じていますが、これらに加えて、空き家の有効活用に対する意識の高まりが2030年に向けて空き家率を抑制できるかの鍵となるのではないでしょうか。


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