空き家の適正管理は、空き家とその所有者、さらには近隣住民を様々なリスクやトラブルから守るうえで重要です。
空き家を管理していく上で、建物や庭のメンテナンスや清掃に加えて大切なのが、ポストの管理です。
なんらかの対策を講じない限り、だれも住んでいない空き家にも郵便物やダイレクトメールは届き続けますし、チラシも溜まっていきます。
そこで今回の記事では、空き家をご所有の方や所有される予定の方に向けて、そのポストの管理方法についてご紹介いたしましょう。
空き巣や放火などに注意!空き家のポストを放置した場合のリスクとは?
はじめに空き家のポストを適切に管理しなかった場合のリスクについて触れておきましょう。
住宅のポストには、人が住んでいるかいないかに関わらず、郵便物やメール便はもちろん、ダイレクトメールやチラシ、さらに町内会などの回覧板に至るまで、さまざまなものが投函されます。
宛先人が死亡した場合でも、多くの場合、手続きをしない限りはこれらの配達物はポストに届き続けます。
このため、日常的に確認することのできない空き家のポストには、投函物がたまってしまいます。
ポストは投函しやすいように人目につきやすい場所に設置されることが多く、投函物がたまったポストを放置しておけば、見知らぬ人の目にもその家に人がいない状態であることがわかってしまいます。
さらに、郵便物の消印に記された日付を見れば、その家に人がいない期間まで知られてしまう可能性もあります。
このような場合、空き家やその所有者だけでなく、周辺地域にまで影響を及ぼしかねない様々なリスクが想定されます。
想定されるリスクとしては、空き巣や放火、ごみの不法投棄の標的になる可能性がありますし、住所などの情報が犯罪に利用されるケースもあります。
そのようなリスクを避けるためにも、ポストに投函物をため込まないよう、適切に管理していくことが必要です。
しかし、空き家のポスト管理で大切なのはその家が空き家であることが第三者に悟られないことですので、ポストの撤去やポストの差し込み口をふさぐなどポストが使えなくなるような対処法では十分とはいえません。
空き家が自宅から近いなど、可能であれば頻繁に空き家を訪れてポストを確認することが望ましいでしょう。
しかし、空き家が自宅から離れている、もしくは頻繁に空き家に立ち寄る時間を確保するのが難しい場合には、何らかの対策を講じることになります。
そこでここからは、上記で述べたようなリスクを回避するため、空き家のポストに投函物をため込まない対策についてご紹介していきましょう。
空き家のポストに届く郵便物や宅配便の管理は?転送サービスを利用しよう
はじめにご紹介するのは、空き家のポストが宛先となっている郵便物や宅配便などの転送方法です。
まずは、郵便局の転送サービスについて見ていきましょう。
郵便局の転送サービスでは、郵便局に備え付けの用紙またはインターネットで転居届を提出することで、郵便物の転送を受け付けています。
サービスの有効期間は申し込み翌日以降から1年間で、延長手続きをおこなうことも可能です。
また、同一住所に複数の受取人がいる場合は、受取人ごとの転送先の指定も受け付けています。
ただし、郵便物は受取人本人に届けることが法的に定められているため、受取人が死亡している場合、転送届を受理してもらうことはできません。
受取人が死亡した旨を郵便局または配達人に伝え、配達を停止してもらいましょう。
この場合、郵便物は差し出し人に返還されることになります。
また、転送先を海外の住所とすることもできません。
海外に郵便物を転送したい場合には、海外在住者向けの荷物転送サービスであるDANKEBOXを利用できます。
DANKEBOXに利用登録をした上で、郵便局での転送手続きの際にDANKEBOXを転送先として指定すれば、郵便物を海外の住所宛に転送してもらえます。
次に、宅配便の転送サービスについて見ていきましょう。
宅配便を取り扱う運送業者で転送を受け付けているのは、ヤマト運輸のみです。
ヤマト運輸では、メール便以外の荷物について転送サービスをおこなっています。
こちらのサービスでは、住所が郵便局に届けられた新住所と一致するかによって転居の事実確認をおこなうため、ヤマト運輸に転送サービスを申し込む前に、郵便局に転居届を提出する必要があります。
その上で、ヤマト運輸の転送サービスに申し込むと、旧住所宛に転送申込書が送付されますので、新住所にて受取り後、申込書に記入、返送という流れになります。
注意しておきたいのは、ダイレクトメールやパンフレットなどを取り扱うメール便では転送サービスが利用できないということです。
メール便についての対処法としては、受取りを拒否することができます。
封筒に「受取り拒否」と赤字で記入したメール便を宅配業者の営業所に持参、もしくは配達員に直接その旨を伝えてメール便を持ち帰ってもらうことになります。
空き家のポストの管理方法をご紹介!転送サービスが利用できない場合はどうする?
郵便局や宅配業者が配達する郵便物や荷物については、配達を請け負う郵便局や会社に転送や受取り拒否の旨を伝えることで、ポストへの投函を停止することができます。
しかし、これらの配達サービスを介さず直接ポストに投函されるチラシや町内会の回覧板についてはそれ以外の対策をとることが必要となります。
そこで、最後に転送サービスが利用できないポストへの配達物への対応についてもご説明しておきましょう。
まずは自治体や町内会からのお知らせや回覧板などへの対処方法を見ていきましょう。
これらは空き家のある地域からの投函物ではありますが、配布時に空き家であるかを確認しているわけではありませんので、投函を停止するには空き家の所有者がその家が空き家であることを知らせる必要があります。
空き家のポストにこれらの文書を見つけた場合は、内容を確認し、回覧板などほかの人に回す必要があれば速やかに対処しましょう。
そして、自治体の文書に掲載された担当課や町内会など配布元の団体にその家が空き家であり、文書の投函を控えてほしい旨を伝えましょう。
町内会にこのような申し出をすれば、その家が空き家であることを周辺地域の方々に知られてしまうことになりますが、投函物を長時間確認しないまま放置するわけにもいきませんので、この場合はやむを得ない対応といえるでしょう。
むしろ、近隣の方々に空き家であることをお知らせし、何かあった際の連絡をお願いしておくと安心です。
また、ポストに代わる配達物の管理方法の一つとして、宅配ボックスを設置することです。
宅配ボックスとは玄関先などに設置する配達物収納用ロッカーで、ポストに比べて容量が大きいため頻繁に投函物を回収する必要がありませんし、施錠ができるためセキュリティ対策にもなります。
近年では再配達の手間を省きたい運送会社の意向もあるため、自治体によっては宅配ボックスの設置に補助金が支給されることもあるようです。
設置をご検討の場合は、空き家のある自治体の補助金制度も併せて調べておくとよいでしょう。
そのほかの空き家のポスト管理方法としては、空き家管理の代行業者に依頼することも可能です。
専門業者の管理業務の一部であるため有料となりますが、建物や敷地の管理を業者に依頼する際にポストの管理がサービスに含まれているかを確認してみましょう。
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