近年全国的に増加を続ける空き家が問題視されており、行政による法整備をはじめとして、官民一体となって様々な対策が打ち出されています。
それらの対策の中でも、問題を根本的に解決するには空き家を利活用していくことが欠かせません。
行政書士は、空き家の利活用をサポートすることができる法律の専門家です。
今回の記事では、行政書士が取り組むことができる空き家問題対策についてご紹介いたします。
01行政による空き家対策とは?空き家対策特別措置法
はじめに、日本の空き家の対策について見ていきましょう。そもそも、空き家が問題視される理由とはなんでしょうか。
建物は人に使われないまま放置されると、急速に老朽化が進み、様々な問題を引き起こします。
たとえば、保安面での問題としては劣化した家屋の一部が飛散する、または不法侵入者が出入りするなどの可能性が考えられます。
また、家屋が劣化すれば災害時に倒壊する危険性が高まるため、防災面での問題もあります。
さらには、害虫や害獣の発生やごみの不法投棄など衛生面の問題や、庭の草木が伸び放題になった結果起こる景観面での問題も懸念されます。
空き家が放置されてこのような状態に陥ってしまうと、空き家とその所有者だけでなく周辺地域にまで悪影響が及んでしまうため、空き家は問題視されているのです。
これらの空き家問題への対策の一つが、2015年5月に施行された空き家対策特別措置法です。
空き家対策特別措置法では、空き家が老朽化や破損などのために、そのまま放置すれば周辺環境に悪影響を及ぼすと判断された場合、自治体はその空き家を「特定空き家」とみなします。
特定空き家に指定されると、自治体は段階を踏んで助言や指導、または勧告や命令などの措置を取ります。
全国の各自治体がどれほど空き家対策特別措置法に基づいた空き家対策を実施しているかは、国土交通省による2017年の調査で示されています。
この調査によりますと、空き家対策特別措置法に基づいた空き家等対策計画を策定した自治体は調査時点で約3割、また特定空き家への措置件数は2017年10月時点で助言や指導が8,555件、勧告や命令がそれぞれ417件、36件、代執行が13件となっています。
このように、法的拘束力のある空き家対策法は空き家問題を解決する上で、空き家を増やさないための抑止力として大きな役割を果たしています。
しかし、国が法的措置や罰則を設けても、空き家を放置してしまう所有者が減らない限り、空き家は増え続けるでしょう。
国内の空き家を減らしていくためには、空き家が放置されてしまう原因を探り、所有者が空き家を放置しないような環境について考えていく必要があります。

02行政書士に相談しよう!空き家の売却や利活用に欠かせない法律や行政手続き
放置空き家を減らすためには空き家の所有者による積極的な対策が不可欠ですが、その障害となるのが法律や行政手続きの煩雑さです。ここからは、空き家が放置されてしまう原因とその解決策としての行政書士についてご紹介いたしましょう。
はじめに、空き家が放置されてしまう理由について見ていきましょう。
空き家が放置されてしまう理由の一つに、所有者の高齢化が挙げられます。
所有者の死亡や施設への入居などの理由で居住者がいなくなってしまい、さらに、被相続人である子どもが遠方に住んでいれば、その家は放置されてしまう、ということになります。
また、法的な基準に適合しない空き家の場合、リフォームや建て替えができず、売却・賃貸活用が難しいため、放置されてしまうケースもあります。
さらに、土地に建物が建てられている場合、固定資産税の軽減措置が受けられますが、建物を解体してしまうと軽減措置が受けられず、税金の負担が大きくなります。
これが、活用の難しい老朽化した家屋が放置される原因となっています。
これらの理由からわかる通り、空き家が放置されてしまう原因には、空き家を利活用するためには、相続や法律、税金などの専門知識が必要となることが挙げられます。
そのような場合に、空き家の利活用や売却に関連する様々な相談や手続きを請け負ってくれるのが、行政書士です。
行政書士は行政書士法により定められた国家資格を取得しており、公官庁に提出する申請書類の作成および提出の代理、遺言書などの権利関係の業務、事実証明および契約書の作成、不服申し立て手続きの代理などをおこないます。
つまり、行政書士とは相続や行政手続きの専門家ですので、空き家にまつわる相続問題や売却および利活用の際の手続き、さらには助成金の活用方法などにも精通しているのです。
また、同じ法律の専門家でも弁護士に比べると、行政書士のほうが空き家対策で利用することの多い市役所や区役所、消防署と日常的に業務をおこなっています。
さらに、空き家対策や利活用で欠かせない権利問題における調整やトラブル対策に長けているという点でも、行政書士は空き家対策や利活用の際に相談する法律の専門家として適格だと言えるでしょう。

03空き家対策での行政書士の役割とは?空き家の住宅セーフティネット登録にも活躍
空き家対策や利活用の促進において、行政書士は個人が空き家を利活用する際に、法律問題や行政手続き、権利の調整に関わる相談や業務代行をおこないます。複雑な行政手続きを代行することで空き家の所有者を直接サポートし、空き家の利活用が円滑に進むよう手助けするという点で、大変重要な役割と言えます。
最後に、こうした行政書士の空き家関連業務のうち、空き家を社会福祉に活用する取り組みについてご紹介いたします。
空き家を社会福祉に活用する取り組みの代表例として挙げられるのが、住宅セーフティネット制度です。
2017年に施行された「改正住宅確保用配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する基本的な法律」いわゆる住宅セーフティネット法は、高齢者や障がい者、低所得者など住宅確保に配慮を要する方の入居を受け入れる賃貸住宅の登録制度などを規定しています。
この法律の基礎となる基本計画の目標には、住宅セーフティネット機能の構築に民間の賃貸住宅に加え、空き家を活用していくことや、空き家の活用および除去を進めるために、空き家の介護・子育て支援施設・宿泊施設への転換を図ることが盛り込まれています。
また、住宅セーフティネット法の規定に基づいた「住宅確保用配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する基本的な方針」にも、全国で空き家が増加している状況から、空き家を住宅確保に配慮を要する方のために賃貸住宅供給に活用するとの方針が示されています。
さらに同方針では、セーフティネット登録住宅の供給について、地方公共団体が空き家対策を担う部局と連携し、空き家所有者や高齢者や障がい者、低所得者などの住宅供給を支援する法人の希望がある場合は、所有者に空き家を登録住宅として活用するよう促すことが提案されています。
これらの法律や方針が示すように住宅セーフティネット制度に空き家を活用するにあたっては、空き家所有者と行政の住宅担当部局や福祉担当部局との連携が欠かせません。
行政書士は行政の複数の省庁と日常的に業務をおこなっている上、利権の調整にも長けているため、この際の橋渡し役として適任なのです。
もちろん、専門家として住宅関係の許認可業務の代理や代行をはじめとした行政手続き業務や、空き家の相続関係の処理をおこなうこともできます。
行政書士は空き家対策や空き家の利活用において、所有者個人の手続きをサポートするだけでなく、行政や福祉を巻き込んでの空き家対策の仲介役としても活躍することができるのです。
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04まとめ
今回の記事では、空き家対策および利活用における行政書士の役割についてご解説いたしました。空き家対策にお困りの空き家所有者の方や空き家を相続予定の方は、ぜひ一度行政書士にご相談してみてはいかがでしょうか。
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