空き家の管理と聞くと家屋の手入れと考えがちですが、実際には屋外にある庭やポストの管理もしなくてはなりません。
特に、庭は短期間でも放置してしまうと荒れてしまう上、さまざまなトラプルに発展しやすい箇所ですので注意が必要です。
そこで今回の記事では空き家の庭の管理について、庭を放置した場合のトラブルや管理方法などをご紹介します。
空き家の庭の管理は大切!放置するとさまざまなトラブルに
空き家の庭の管理を怠ると庭木や雑草が生い茂り、保安・衛生・景観・防犯などの面でさまざまな問題を引き起こします。
そのような状態になると、周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼします。
空き家を傷める原因となって資産価値が下がってしまったり、特定空き家に指定されて税金を多く払うことになったりと、さまざまな不利益をこうむることになります。
空き家の庭の管理方法について考える前に、まずは庭を放置してしまった場合に起こりうるトラブルについて知っておきましょう。
庭木や雑草の越境
まず、生い茂った庭木や雑草が近隣の家や道路など敷地外にまで及んでしまうと、通行を妨げたり、隣家の庭の邪魔になったりします。
さらに、視界を遮るために不法投棄や治安の悪化の原因ともなりかねず、近隣住民とのトラブルに発展することがあります。
害虫・害獣の発生
庭の草木が伸び放題になると動物が隠れやすくなって、イタチなどの害獣や野良犬、野良猫などの動物が住み着いてしまったり、害虫が発生したりすることもあります。
そのような状態になってしまうと、糞尿といった衛生面での問題や鳴き声などが近隣住民の生活に悪影響を及ぼす可能性があります。
伸びた草木による家屋の老朽化
伸びた草木が空き家の老朽化を早めることにも注意が必要です。
庭の雑草を伸びたままにしておくと湿気が逃げていかないため、家屋の外側や基礎部分が傷み、劣化が進んでしまいます。
特に雑草が基礎部分の換気口を覆ってしまうと、床下に湿気がたまってシロアリが繁殖しやすい状態となります。
また、雨どいが落ち葉でせき止められ、雨水が建物内に染み出して建物内部の腐食を促進させる可能性もあります。
秋季・冬季の火災の発生
さらに秋や冬に注意したいのが、枯草となった庭の草木が引き起こす火災です。
乾燥した季節の枯草は燃えやすいため、たばこのポイ捨てなどにより、火災に発展する危険性は大いにあります。
このように、空き家の庭を放置してしまうと、空き家の所有者にも周辺地域にもさまざまな悪影響を及ぼします。
そのような事態に陥らないためにも、以下でご紹介するような方法で空き家の庭の管理をしていくことが大切なのです。
空き家の庭を自分で管理するための方法とは
ここからは、空き家の庭を管理する方法についてご紹介していきましょう。
空き家の庭を管理する際に中心となるのは、除草作業と植木を整える作業ですが、自分でおこなうことも業者に依頼することも可能です。
はじめに、自分で庭を管理する方法から見ていきましょう。
春~秋に除草作業、冬には植木の手入れを
まず除草や植木の手入れにかけられる時間は、1回の作業で3時間程度が限界と思われますので、面積や状態などの条件によっても変わってきますが、一度にすべての作業を済ませるのは難しいでしょう。
このため除草作業については、庭をあらかじめブロック分けしてスケジュールを組み、それに沿って作業を進めていくとよいでしょう。
草木が伸びやすくなる春から秋にかけては除草作業を中心に、冬に植木の手入れを中心におこなうことをおすすめします。
雑草を生えにくくするために、防草シートや砂利を利用することもできます。
どちらもホームセンターなどで購入できますので、庭に敷き詰めておけば雑草の繁殖をある程度抑えることが可能です。
自分で剪定作業をおこなう際のポイント
●剪定後の見栄えはそれほど気にしない
また、植木をきれいに剪定するのは素人にとって難しい作業ですが、空き家の庭の管理をする目的は、庭を放置してしまった際に起こりうるさまざまな問題を回避することです。
多少、見栄えが悪くなってもよいので、思い切って作業をおこないましょう。
●作業時の安全には細心の注意を
剪定作業の際には、生け垣の中にスズメバチの巣がないかあらかじめ確認し、また、高い場所の枝木の剪定をおこなう際はヘルメットを着用してください。
●作業後の草木の処分も忘れずに
作業後には必ず刈り取った雑草や枝、集めた落ち葉など処分しましょう。
処分する際には、自治体ごとに枝をひもで縛る、草は乾燥させるなど自治体ごとの細かい決まりがありますので、自治体の指定する方法に従いましょう。
枝や草などの量が多い場合は、クリーンセンターへの持ち込みが必要な場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
自分で空き家の庭の管理をすると、業者に依頼したときのように完璧に手入れするのは難しいとしても、空き家と自宅が近い方や、元よりガーデニングが好きな方などはチャレンジしてみてもよいでしょう。
空き家の庭の管理は業者に依頼すると楽!庭を手入れしてくれる業者とは
空き家の庭の管理はほかの部分と同様、業者に依頼することもできます。
業者に依頼すれば費用はかかりますが、自分で管理するような手間や時間はかかりません。
特に自宅が空き家から離れている、空き家を定期的に訪れる時間が取れない、また庭の手入れをする体力に自信がないなどの場合には、業者を利用することをおすすめします。
空き家の庭の管理を請け負ってくれる業者にはさまざまな種類がありますので、ご紹介します。
園芸業者
将来的に空き家の利活用をお考えの場合には、園芸業者を利用するとよいかもしれません。
費用は比較的高くなりますが、庭の草木の手入れを専門とする業者ですので庭をきれいな状態に保ってくれます。
費用の目安としては、2メートル弱の松の剪定では2時間で1万円程度、除草作業の場合は作業員1人につき2時間当たり5千円程度の費用がかかる場合が多いようです。
便利屋
また、身の回りのさまざまな雑務を引き受けてくれる便利屋も、庭の手入れを請け負ってくれます。
費用の目安は1時間1人あたり3千円ほどで、そのほかに作業道具の燃料費とごみの処分費用などの実費がかかります。
庭以外の空き家の管理も依頼すれば、多少お得な費用で請け負ってくれる場合もあるようです。
便利屋のほかにも、空き家の管理全般を代行してくれる業者であれば、庭の管理も請け負ってくれることがほとんどです。
空き家の管理代行会社
空き家の管理を代行する業者には空き家管理専門業者、不動産仲介会社、不動産管理会社、警備会社などがあります。
ただし、これらの業者は空き家管理全般の一環として庭の手入れを引き受けています。
そのため、庭の管理は空き家管理の基本プランに組み込まれている、もしくは基本プランのオプションの一つとなっていることが多く、庭の管理のみを依頼できるかは業者によって異なりますので、それぞれの業者のサービス内容を確認しましょう。
シルバー人材センター
また、自治体の運営するシルバー人材センターでも庭の手入れを引き受けてくれます。
費用の目安は、除草は1日当たり5千円程度、2メートル弱の松の剪定では1日当たり1千円程度となります。
ただし、空き家の所有者が不在で作業を依頼できない場合や、高齢者の体力を考慮して夏場の作業を請け負っていないところもありますので、事前の確認をおすすめします。
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