空き家活用×アートに注目!アトリエ向け空き家物件の条件や補助制度って?

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空き家活用×アートに注目!アトリエ向け空き家物件の条件や補助制度って?

年々増え続ける空き家の問題がメディアなどで多く取り上げられていますが、同時にこの問題を解消すべく、空き家の活用方法に関する取り組みも活発化しています。
なかでも、近年注目を集めているのが空き家を芸術や工芸の分野で活用する取り組みで、空き家を利用したアート・イベント、アトリエや工房向けの空き家バンクや補助金が登場しています。
そこで、今回の記事では空き家をアトリエや工房として活用するための取り組みやアトリエ向け物件の特徴について、実例を交えながらご紹介いたします。

アートで空き家活用!空き家をアトリエや工房にして街を活性化

空き家にまつわる問題の中でも特に懸念されているのが、賃貸用や売却用、または別荘などの用途をもたない、いわゆる「その他の空き家」の増加です。
家屋は日常的に使われなければ老朽化が進みやすいことに加え、「その他の空き家」は用途がないため管理が行き届かない傾向にあることが問題視されています。
このような状態に陥ってしまいますと、倒壊や不審火の危険性、また害虫や害獣の発生など、保安・防犯・衛生・景観面で周辺地域に悪影響を及ぼします。
また、このような空き家が多い地域の特徴として、同時に人口減少やそれに伴う地域の経済的および社会的衰退といった問題を抱えていることが挙げられます。
これらの問題を解決する糸口となる空き家の活用方法の一つとして注目されているのが、空き家とアートを結び付ける取り組みです。
こうした取り組みでは、空き家をアート・イベント開催のためのギャラリーや作品制作のためのアトリエ、さらにはアトリエ兼住居などとして活用します。
その取り組みの原点とも言えるのが、旧東ドイツの街、ライプツィヒの空き家再生の事例です。
ライプツィヒは第二次世界大戦後、東ドイツの一部となって産業が衰退し、1989年にベルリンの壁が崩壊すると経済が崩壊し、西ドイツへの人口流入が起こりました。
これにより、ライプツィヒでは市全体の空き家率が20%、一部地域では50%にも上り、人口減少と空き家増加が大きな社会問題となりました。
こうした空き家の多くが築100年以上という歴史的価値の高い建物であったため、2004年、街のアイデンティティでもあるこれらの建物を老朽化から守ろうと立ち上げられた団体が「ハウスハルテン」です。
「ハウスハルテン」の活動では空き家を使うことで保全を図るという考えを原則に、使用者は住み込みの家の管理者ととらえられます。
そのため、空き家の使用者は共益費と「ハウスハルテン」への寄付金のみで空き家に住み、原状回復義務なしでリノベーションが許可される代わりに、その管理維持を任されるのです。
このような「ハウスハルテン」の取り組みは安価で自由に使える空間を提供してくれるため、若者やアトリエやスタジオなどに自由度の高い空間を求めるアーティストたちが利用し始めました。
こうして文化を担う若者やアーティストが集まったことで、げんざい、ライプツィヒは文化的価値が高まり、人口が増加し、不動産市場も回復しつつあるということです。

アトリエや工房向けの空き家物件の条件は?創造性を発揮できることがポイント

ライプツィヒの空き家活用では空き家にアーティストが集まることで地域が文化発信の拠点となり、人口減少や経済・社会的な衰退に歯止めをかけた例をご紹介しました。
そもそも、空き家はその自由度の高さから従来の住居用物件よりもアトリエや工房として使用するのに適していると言えます。
そこで、ここからはアトリエや工房として利用する際の物件の種類や用途、どのような物件が適しているのかについて見ていきましょう。
まず、アトリエにはその用途や物件のタイプに応じていくつか種類があります。
シェアアトリエでは複数の部屋がある建物を他のアーティストとシェアし、多くの場合、個室をそれぞれのアトリエとします。
他のアーティストと交流する機会が増えますし、建物全体を使ったイベントを開催することもできるでしょう。
改装可能な平屋や戸建てをプライベートなアトリエとする場合、住居兼アトリエとしても使うことができます。
プライバシーを保てますので制作に集中しやすく、マンションタイプに比べて作業音などを気にせず作業できることが魅力です。
駐車場がある場合はアトリエ兼ギャラリーとすることも可能ですし、作品の搬出入もしやすいでしょう。
また、改装OKのマンションをアトリエとして使用することもできます。
プライバシーがあり、住居兼アトリエとしても利用できますが、改装できる範囲や作業音など、物件に応じて配慮が必要です。
次に、アトリエとして適している物件の条件について見ていきましょう。
アトリエとして好まれる物件の条件はたとえ住居兼アトリエであったとしても、住居として人気がある物件の条件とは異なります。
理由としては、作品制作の場であるということや、アーティストたちは創造力を活かした空間や生活を好む傾向が強いことなどが挙げられます。
まず、作品制作に必要な空間に加えて作品の保管場所が必要な場合が多いため、ある程度の広さのある物件のほうがよいでしょう。
作業内容によっては横方向の面積だけでなく、天井の高さなども考慮に入れる必要があります。
また、改装してもよい、作業音や振動を立ててもよいなど自由度の高い物件は、アトリエとして人気があります。
このため、住居用物件としては不人気と思われる線路のそばや工場の2階、住宅地から離れた物件や倉庫・工場用の物件などもアトリエとしては好まれる傾向にあるのです。

空き家をアトリエとして活用しよう!空き工房バンクや補助金制度をご紹介

空き家をアトリエとして活用すれば、住居用として需要のない物件を利用できる、アーティストが集まることで街の文化的価値が高まり地域の活性化に貢献できるなど様々なメリットがあります。
このため、最近では空き工房バンクや空き工房向けの補助金制度などが整備されつつあります。
最後に、これらの空き工房バンクや補助金制度をご紹介いたしましょう。
にっぽん手仕事図鑑が手掛ける「ぼくらの工房探し」は、全国のアトリエや工房向けの空き家物件を検索できるウェブサイトです。
にっぽん手仕事図鑑が地方の職人の方々との出会いを通して、地方の過疎化や空き家問題と、伝統工芸を継承する若い職人さんが家賃の高さから工房を見つけられない現状を知り、空き家問題の改善と若者の地方への移住・定住、そして伝統を担う職人の育成のためにこのサイトが立ち上げられました。
空き家物件の一覧には、「古民家物件」、「倉庫物件」、「改装OK」、「騒音作業OK」、「天井が高い」など、アトリエ向け物件ならではのアイコンが記載されており、検索しやすくなっています。
窯業がさかんな愛知県瀬戸市や岐阜県多治見市、長崎県波佐見町は陶芸家を支援すべく、空き工房制度を設け、窯業向けの空き工房や店舗、倉庫などの状況を調査・公開しています。
空き工房むけの補助金制度としては、銅器や漆器の生産で有名な富山県高岡市の次世代クリエイター工房開設支援事業補助金があります。
こちらの制度では空き家を工房として活用するケースを対象に、賃貸であれば24か月間に渡り、月3万円を上限として、購入であれば購入費40万円に加え、改装費が30万円、設備費10万円を上限として補助されます。
また、長崎県波佐見町では空き家等改修事業補助金が空き工房に対しても適用されます。
こちらの制度では町内業者を利用した場合には50万円、町外業者を利用した場合には30万円を上限として、改修費の1/2が補助されます。

おすすめ記事|空き家を活用して憧れの田舎暮らし!空き家探しの方法や注意点をご紹介

まとめ

今回の記事では、空き家をアトリエや工房として活用する際のポイントや、空き工房探しに役立つ空き家バンクや補助金制度などについてご紹介いたしました。
空き家をアトリエや工房として活用することをご検討中の方は、ぜひご参考にしてみてください。
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