現在、問題になっている空き家。
住民が居ないせいか、老朽化による倒壊や不法侵入と言った犯罪行為が生まれる可能性もあります。
そこで今回は、都内でこれから空き家を所有する予定の方、もしくは既に所有している方向けに都内の空き家問題や空き家数がトップクラスの足立区がおこなっている空き家対策について紹介いたしますので、ご参考になれば幸いです。
東京都内がかかえる空き家の問題とは?
現在、少子高齢化や地方の人口減少により、放置される空き家の数が多くなってきています。
東京都でも地方ほどではありませんが、空き家が増えているのが現状です。
そして、空き家である一番の問題が、築年数が経ち、老朽化がはじまっている事です。
住民が居ないせいか、建物の老朽化に気づかれず建物の倒壊、また付近に居る住民や住宅への被害も起こっています。
また、倒壊の恐れがなくても、管理がされていない空き家は雑草が伸びて景観が悪化したり、掃除する方がおらず不衛生で悪臭が発生。
そして一番怖いのが不法侵入や不法占拠、また空き家の放火といった犯罪が発生することもあります。
空き家が増える問題として、住宅を所有している方が高齢になり、老人ホームといった高齢者住宅や自分の子供の家への転居などが原因です。
もう一つの原因として、住宅から転居後、何もせずに放置してしまう事も。
放置してしまう理由として、現在住んでいる場所から遠い、思い出が詰まっている、東京都ではありませんが、大阪市の調査では物置としての利用、解体費用がもったいない、将来使う可能性があるなど理由はさまざまです。
破損ありの空き家件数はなんと約1790軒!都内でトップクラスに空き家が多い足立区
導入でもお話いたしましたが、都内で一番空き家が多いのは足立区です。
なぜ足立区が一番空き家が多いのでしょうか。
理由として、足立区はもともと高齢者が一人暮らししている木造の古い一戸建てが多いのです。
また、入り組んだ路地にあり、細くて解体業者が入れず、取り壊しも困難なのが現状。
そのため、その一戸建てに住んでいた住民が亡くなった後も取り壊されずに放置されてしまいます。
特に北千住のエリアが一番空き家が多いとの事。
北千住に行ったことのある方はご存じかもしれませんが、足立区の北千住はターミナル駅である北千住駅があり、足立区でも一番栄えている繁華街です。
北千住マルイや商店街がある西側エリアや東京電機大学がある東側エリアと、年々賑わいを見せてきています。
ただ、賑わっているエリアでも、人がやっと入れるほどの細い路地があります。
昔からそのエリアに住んでいる方によると、区画整理が進み、以前よりも細い路地や空き家が減っているとおっしゃっています。
それでも多い空き家。
足立区役所も過去に亡くなった方のご家族に連絡を取ったりしていますが、連絡が取れずに困っています。
細い路地にある古い一戸建てのせいか、撤去するのにもお金がかかり、建築基準法で定める道路に設置することができない無接道地のため、誰も相続したくない・・・それが足立区や全国の自治体が抱える空き家問題の現状です。
都内の空き家が問題の足立区がおこなっている空き家対策とは
亡くなった住民の家族への連絡が取れないからといって、放置しておくと重大な問題まで発展する可能性があります。
足立区もこのまま指をくわえてみているだけではなく、空き家問題解決に向けて対策方法をおこなっています。
この見出しでは、足立区がおこなっている対策方法について紹介していきます。
空き家の所有で困っている方
空き家の理由はさまざまですが、先ほどお話した通り、放置しておくと重大な問題に発展します。
その問題に関わっていなくても、自分の空き家が原因なら責任を追うことも。
空き家の一番の対策は、2通りあります。
1つ目は取り壊すこと。
取り壊してそこを更地にしたり、新たに住宅を建築したり、売却することが考えられます。
ただ、更地にするお金や土地が狭くて取り壊せない問題、また住宅を建築しようにも建築基準法と言った法律の関係上、建築できない可能性もあります。
2つ目の方法は、再利用する事です。
古くなっているのであれば、増築や改築、大規模な修繕などはおこなえませんが、リノベーションやリフォームをおこない空き家に手を加えることで、再利用が可能になることもあります。
足立区には、建築室住宅課空き家担当という問い合わせ先がありますので、足立区で空き家に困っている方は、ぜひ問い合わせてみると良いでしょう。
空家等対策の推進に関する特別措置法の施行
足立区や地方でも問題になっている空き家問題に国土交通省は「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しました。
空家等とは、建物や門、堀など住居などに使用されていないものや土地の事を指し、その中でも適切に管理されていない場合は「特定空家等」に該当します。
「特定空家等」は、以下のような状態である空き家の事です。
●そのまま放置しておくことで、倒壊や危険になると判断された状態
●そのまま放置しておくことで、衛生上、有害になると判断された状態
●適正な管理が行われていないことで、景観を損なっていると判断された状態
●周辺の生活環境を保護して安全を守るため、放置しておくのが危険と判断された状態
上記の状態であると判断された「特定空家等」は、所有者や管理者に対して、除却や修繕といった必要な処置を取らなければなりません。
最初は助言・指導で、所有者や管理者が自分の意志で改善するように求めることです。
次に勧告で、所有者や管理者に対して、猶予期限をもうけ、必要な処置をおこなうように勧めます。
その次は命令で、勧告同様に猶予期限をもうけ、必要な処置を行なうように命令します。
最後は代執行で、所有者や管理者に代わり、行政が必要な処置をおこないます。
空き家利活用プラットホーム「千住 Public Network EAST」
足立区が空き家利活用の促進のため、協創プラットフォームを立ち上げ、北千住駅の東側エリアを対象にモデル事業をおこないました。
そのプラットフォームが「千住 Public Network EAST」です。
活動の内容をまとめた冊子を制作しているので、その中から利活用の事例千住 Public Network EASTの活動内容を一部紹介していきましょう。
・利活用の事例
1つ目は、空き家に投資して運用する方法です。
まず、投資する空き家の条件にあった入居者を探し、その入居者と大家が一緒に改修をおこないます。
2つ目は、家は広いけど荷物もそのままで貸しにくい空き家を活用したパターンです。
不動産に相談をおこない、入居者が何組か集まって利用することで、事務所やカフェ、工房というさまざまな使い方ができるようになりました。
3つ目は、足立区から対策してくださいと言われた方の利活用パターンで、千住 Public Network EASTが活用法を提案し、料理教室や店舗、飲食店のシェアスペースとして生まれ変わりました。
・活動内容
少しでも改修費用を抑えたい方向けに、大家さんや入居者、地域の皆さんでDIYのプロから教えてもらいながら漆喰を壁に塗ったり、家具を作るワークショップを開催。
他にも空き家の利活用や街づくりをしている方を招いて、活動の進め方などを伺うトークイベントや空き家を使う方を募集するために定期的にアイデアの公募をおこなっています。
合わせて読みたい|全国で2番目に人口が多い神奈川県が行う空き家対策の取り組み
まとめ
日本は空き家に関する問題を抱えていますが、問題を解決するためにさまざまな活動をおこなっています。
空き家を活用したいと思ったのであれば、ぜひ事前相談などをおこない、空き家を利活用してみましょう!
今回の記事を参考に、皆さんの空き家のより良い利活用方法が見つかれば幸いです。
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