近年、「空き家」が問題視されていることをご存知ですか?
空き家を放置しておくと、近隣トラブルや資産価値低下などの「デメリット」ばかりです。
近隣トラブルから損害賠償を求められる裁判になった事例もあります。
空き家を放置しないために自治体は「空き家条例」など、さまざまな取り組みをしているのです。
この記事では、空き家対策のために自治体が行っている取り組みを中心に「空き家」や「空き家条例」についてご紹介します。
空き家対策のために自治体が行っている取り組みとは?全国の空き家率と問題点
2018年10月時点の「住宅、土地統計調査」によると、全国の空き家は「約846万戸」だと総務省が発表しました。
この数は、全国に建っている全住宅の何割を占めているのでしょうか?
ここでは、「全国の空き家率」と「空き家が問題視される理由」、「空き家のデメリット」をご紹介します。
全国の空き家率と、空き家率の高い地域
全国で約846万戸…この数を見てもピンとこないひとも多いでしょう。
この「約846万戸」は、現在全国に建っている全住宅の「13,6%」を占めており、7戸に1戸は「空き家」という計算になります。
地域によって空き家数や空き家率は変わってきますが、7戸に1戸と聞くと、比較的多いように感じますよね。
空き家率は、都心よりも郊外のほうが多いようです。
なぜ空き家が問題視されているのか
冒頭で空き家が問題視されていると書きました。
なぜ問題視されているかというと、「災害面」と「犯罪面」でのリスクがあるからです。
それぞれどのようなリスクがあるのでしょうか。
災害面
手入れのされていない住宅は急速に老朽化が進んでしまいます。
老朽化した空き家は倒壊しやすいので、地震だけではなく、台風などの暴風でも倒壊してしまう可能性があるのです。
倒壊したときに、台風で隣家に屋根が飛ぶ、倒壊した壁など家の一部が隣家の敷地に侵入する…など隣家に被害を及ぼすこともあります。
しかし、一番怖いのは「人的被害」です。
屋根が通行人に落ちてしまった…など人の命に係わる被害を出してしまう可能性もあります。
犯罪面
空き家を放置しておくと、不法占拠されるリスクがあります。
管理しに人が来なければ、不法占拠されても気づきようがなく、知らないうちに誰かが住みついているかもしれません。
また、空き家にゴミを不法投棄されることもあるようです。
ゴミを不法投棄されると悪臭や虫の原因になり、近隣の住宅にも迷惑をかけてしまいます。
これらの理由から、空き家は問題視されているのです。
空き家にしておくデメリット
空き家を放置しておくことには、以下のようなデメリットがあります。
資産価値が下がる
人が住んでいない家は、急速に劣化、老朽化が進んでしまいます。
なぜなら、換気をしないので部屋の中にカビがわき、カビがわいたことで虫が寄ってくるからです。
家が老朽化してしまうと資産価値が下がり、売却価格も下がってしまいます。
また、老朽化した空き家が近くにあることで「景観が悪い」などの理由から、近隣の建物の資産価値まで下げてしまうこともあるのです。
近隣トラブル
放置された空き家には草木が生い茂り、隣家にまで侵入してしまうことも…
また、先ほども書いたように、ゴミなどが不法投棄されていると、虫がわき悪臭の原因になるので、近隣の住人とトラブルになってしまいます。
災害のときにも、空き家の倒壊などによって隣家に被害がでてしまうと、賠償金を求められる裁判になるかもしれません。
実際に起きた事例で、集中豪雨のときに空き家の地盤が崩壊し、隣家に土砂が流れ込み隣家が崩壊してしまい、損害賠償を求める裁判が起こりました。
空き家を放置しておくと、このようなトラブルが起こる可能性があるので、空き家でも必ず管理しておかなければなりません。
税金面でのデメリット
空き家の場合でも、不動産を「相続」すると「固定資産税」が発生します。
固定資産税を支払うときには「住宅用地の特例」という、住宅が建っている土地の税金が安くなる制度のおかげで固定資産税が減税されているのです。
しかし、空き家の増加を問題視した政府が「住宅用地の特例」の見直しを図り、倒壊の恐れがあるなど危険とみなした「特定空き家」には減税をしないことを決めました。
所持している空き家が「特定空き家」に指定されると、減税が受けられなくなり、固定資産税があがります。
空き家を放置しておくことには、このような税金面でのデメリットもあります。」
空き家対策のために自治体が行っている取り組みとは?
政府も問題視している「空き家」ですが、空き家対策のためにどのような取り組みをしているのでしょうか。
ここでは、地方自治体が行っている空き家対策のための「取り組み」をご紹介します。
空き家相談窓口の開設
「空家、空地管理センター」という自治体とNPO法人が協力して、空き家問題の解決をするための取り組みで、開設している空き家相談窓口があります。
空き家に悩んでいる人は、以下のような相談をしてみるといいでしょう。
●空き家の管理方法がわからない
●空き家の活用方法を知りたい
●空き家の相続をどうしよう
それぞれ、解決方法を教えてくれます。
また、空き家の管理については「月100円からの代行管理」も行っているので、空き家の管理が難しい人は問い合わせてみたらいいかもしれません。
相談窓口はフリーダイヤルなので、空き家で気になることがあったら電話をかけてみましょう。
老朽危険な空き家の解体支援
一般的な認知度は低いですが、地方自治体には、耐震化促進事業の一環で解体費用をまかなう取り組みの「助成金制度」があります。
助成金や条件などは地方自治体により違うので、解体費用を見積もるときに解体会社をマッチングしてくれるサイトから、助成金のことを問い合わせてみましょう。
リフォーム支援
空き家をリフォームして有効活用するために、地方自治体がリフォーム費用を補助してくれる取り組みがあります。
対象の条件や、補助金の金額も地方自治体によって違うので、空き家のある地方自治体に確認しておきましょう。
たとえば、全国で一番空き家が多い「山梨県山梨市」の場合、空き家のリフォームに最大で「10万円」、耐震工事も行う場合は最大で「20万円」の補助金が給付されます。
空き家の販売促進
空き家の販売を促進するために、空き家を売りたい売主と、空き家を探している買主をマッチングする「空き家バンク」と呼ばれる自治体が行う取り組みがあります。
この「空き家バンク」は、空き家の循環や移住を促進することを目的とした取り組みです。
空き家を売買するときには、自治体と提携した不動産を通して契約を行うので「仲介手数料」など各手数料は必要になってきます。
空き家対策のために自治体が行っている取り組みとは?空き家条例とは?
「空き家条例」とは、空き家率を下げるために各地方自治体が定めている、空き家に関連した条例のことです。
全国で初めて「空き家条例」を出した「和歌山県」では、以下のような取り組みをしています。
空き家発見者からの情報提供
情報提供があれば、実態調査を開始します。
市の担当者による現地調査
空き家がどのような状態なのか確認し、必要ならば立ち入り検査もします。
所有者の調査、特定(危険な状態と判断した場合)
空き家が危険だと判断した場合、所有者を調査、特定します。
所有者への指導
所有者に対して、危険な状態を改善するように指導します。
5.空き家改善の勧告
所有者が指導に従わないときには、期日を決めて改善するように勧告します。
措置命令
所有者が勧告にも従わない場合、必要な措置を命じます。
あわせて読みたい|知っているとお得にリフォームできる!?空き家のための補助金制度
まとめ
この記事では、空き家対策のために自治体が行っている取り組みを中心に「空き家」や「空き家条例」についてご紹介しました。
記事にも書いたように、空き家を放置しておくことにメリットはありません。
空地を所有している場合には、空き家の活用や解体の支援金を利用して、空き家の活用、解体を検討してみてください。
全国空き家管理ナビでは、空き家管理を適切に行い、さまざまなリスクを減らすお手伝いをする不動産会社を検索できます。
空き家で何かお困りのことがありましたら、ぜひご利用ください。