空き家を所有しているときの台風対策

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空き家の管理方法
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親からの相続などで家を所有しているものの、遠方に住んでいると出入りする機会が少なくなり、空き家のまま放置してしまっている人もいらっしゃるのではないでしょうか?

そのようなケースで懸念されているのが、知らず知らずのうちに空き家の老朽化が進み、台風が来たときに家屋が一気に破損してしまうことです。

空き家そのものの被害はもちろんですが、家屋の一部が倒れたり吹き飛んだりすることで周囲に迷惑を及ぼすと、さらなるトラブルに発展しかねません。

そこで、空き家が災害に遭遇するとどのような影響が起こりうるのか、台風で実際に被害が出たときや事前にできる対処法をご紹介します。


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空き家を所有しているときの台風対策


 

▼空き家の台風対策①:災害による影響

空き家が台風など災害の影響を受けやすい大きな理由が、家屋の多くは築年数が経っており、さらに木造であるという点です。

木造の家は、人がほとんどで入りせず、換気がまったくされず、傷みが修繕されないままになっていると、どんどん老朽化していってしまいます。

老朽化が進んだタイミングで台風が直撃し、強い雨風にさらされることで、以下のような影響が出ることが予想されます。

ひとつめが、空き家の屋根、壁板、植木などが強風で吹き飛び、近所にある家や車に被害を与えてしまう可能性です。

大きな台風となると、お店の看板さらには自動車が吹き飛ぶほどの強風が吹き荒れることも少なくありません。

そのため、通常の天候であればまったく問題がない空き家であっても、小さな破損が引き金となり、被害が拡大してしまうことは十分にありうるのです。

ふたつめが、台風により吹き飛んだ空き家の建材が、周囲にいた人に直撃するなど被害を与えてしまう可能性です。

近くをたまたま歩いていた人に空き家の建材が直撃する、吹き飛んだ屋根が近所の家の窓ガラスを割り、その家の住民に怪我を負わせることもないとは言えません。

当たり所が悪かったら、大けがをさせてしまう、運が悪かったら、命を奪うことにもつながりかねません。

人に直撃しなくても、空き家のまえにある道路に建材が散らかり、交通事故の引き金になってしまうことも、念頭に置いておく必要があります。

三つめが、台風による雨風にさらされたことで、空き家の老朽化がさらに進んでしまう点です。

家屋の雨漏りが進むと、建材が絶えず湿った状態になり、木の腐敗が進んでしまいます。

木が湿った状態になっているとシロアリが増殖しやすくなるため、気が付かないうちに空き家の内部がアリに浸食されてボロボロになっていることも。

これらの理由から、台風の直撃時に周囲の家や人に被害を与えていなくても、空き家の耐久性は明らかに弱くなっていきます。

そのため空き家を所有することになったら、台風、地震、強風、集中豪雨などのさまざまな自然災害にさらされていることを念頭に置き、家屋のコンディションに注意を払うことが大切です。

 

▼空き家の台風対策②:損害を与えたときの対処法

台風などで周囲に損害を与えてしまったとき、その家の所有者である以上、実際に住んでいなくても管理責任や賠償責任が問われます。

とくに遠方に住んでいる場合、自分の知らないうちに被害が拡大していることもありますので、台風が過ぎ去ったあとはできるだけ現地の状況を確認するようにしましょう。

空き家の状況を確認する際は、ただ目視するのではなく、小さな破損でもしっかり写真で記録しておくことで、万が一のときに備えられます。

もしも台風による空き家の損傷が確認されたら、まずは火災保険に相談をして請求手続きを開始する流れになります。

火災保険を請求することを決めたら、保険証券を手元に用意して、契約している期間や補償内容を把握します。

それから保険会社に連絡を入れて、担当者に台風による空き家の被害状況を伝えます。

現地確認で撮影した写真があれば、台風による被害の状況を具体的に伝えられますので積極的に活用しましょう。

必要書類、ヒアリング内容、被害状況の写真などから、保険会社により審査が進められ、請求が認められたら保険金が指定口座に入金されます。

他人を怪我させたり、他人の家に損害を与えたりした場合、その人から修繕費等を直接請求されることもあると思います。

そのようなときは、すぐに現金を手渡すことはせず、相手に火災保険の加入状況を確認したうえで、自分が加入している保険会社や警察に対応を相談しましょう。

空き家の破損により損害を被った相手は、損害賠償請求することが可能ですので、訴訟になったときに備えて、客観的な記録を残しておくことが大切だからです。

なお、車の保険のように等級制度はありませんので、火災保険を請求しても保険料が値上がりすることはありません。

請求が認定されて支払われた保険金はお見舞金のような位置づけのため、使い道は基本的に自由です。

そのため、請求手続きに面倒くささを感じたとしても、空き家に台風の影響が確認できたら、ひとまず請求しておいたほうがいいでしょう。

 

▼空き家の台風対策③:事前に準備できること

台風は、家屋がまるごと倒壊してしまう、屋根が遠くまで吹っ飛んでしまうなど、通常ではありえない大きな被害につながることがあります。

そこで、空き家がどのくらい老朽化しているのか定期的に点検し、問題が見つかった場合は速やかに補修することをおすすめします。

外壁のヒビやズレ、雨漏りなど家屋の点検をおこない、必要に応じて修繕しておくといいでしょう。

外壁のトラブルは自分の目でも見つけやすいため、空き家を見に行く機会があったらこまめに観察する習慣を作るといいと思います。

排水溝や雨樋に詰まった葉っぱやゴミは、目が行き届きにくいところのため、空き家の場合は放置されがちです。

しかし、家屋の破損につながったり、雨漏りの原因になったりしますので、定期的に清掃しておくようにしましょう。

あらかじめ庭の草木を伐採しておく、ベランダに鉢植えを置かないなどしておけば、排水溝や雨樋にゴミが詰まることも少なくなります。

また、家屋の窓、雨戸、門扉のように開閉する建材は、強風であおられると人を怪我させる危険性があります。

そのため、きちんと閉まらない、外れてしまっているなど、何らかの破損が見られたら、必ず修繕しておきましょう。

大型の台風が来ることが前もって分かっていたら、事前に門扉をロープで固定する、テープで窓割れ対策などをしておけば、他人に怪我をさせるリスクを減らせます。

庭に不用品を放置している、玄関に置物を飾っていると、それらが風に飛ばされて他人や家屋に損害を与えることがありますので、空き家には日ごろから不要なものは置かないようにしましょう。

 

遠方に住んでいることから台風対策を自分でおこなえない、高所の清掃など自分で対策を講じることが難しい場合もあると思います。

 

そのようなときは、専門の業者に依頼するなど自分がいなくても対応できる体制を整えておくことが大切です。

 

▼まとめ

 

台風により空き家が倒壊した、建材が吹き飛び被害を与えたものの、肝心の所有者と連絡がつかず近隣の人に迷惑をかけてしまうケースも目立ちます。

自分がいないところで、周囲に住む人に迷惑がかかることを避けるため、空き家の近くに住んでいる人と連絡できる体制を作っておくことも一案です。

また、台風により家が破損するなどの被害を被ったものの、その原因が家の管理不足や老朽化と見なされたら保険金の請求が認められないこともあります。

そのような事態を避けるため、台風が来るか来ないかにかかわらず、日ごろから空き家の点検と修繕を怠らないことが何よりも大切です。


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