「空き家にして1年以上住まないと建物がダメになる」と聞いたことはないでしょうか。
1年で家が廃屋になるわけではありませんが、人が住んでいるよりも劣化が速く進むことは残念ながら事実です。
そこでこの記事では、空き家にすると傷みが進んでしまう理由と、劣化を軽減する方法を3つ紹介します。
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01空き家が傷む3つの理由
まずは「空き家にすると傷みが早い」と言われる理由を、3つ紹介します。無人なのでトラブルに気づきにくい
空き家にすると家の傷みが早いのは、人が住んでいないため劣化に気がつかないことが一番の理由です。人が暮らしている家は、たとえば大雨が降ったあとに雨漏りがしている、羽アリが飛んでいることでシロアリ被害にあっていることなどに気がつきやすいものです。
トラブルが発生したときに、すぐに対処もできるでしょう。
しかし家が無人の場合は、そのような異常が起こっても誰も気がつきません。
修繕もされないまま時間が過ぎてどんどん劣化が進み、気がついたときには手が施せないほどボロボロになってしまっていることも。
家のトラブルに気づきにくいことは、空き家が傷む大きな原因になるのです。
湿気が抜けない
空き家を閉め切っているため、湿気が抜けないことも家が傷む理由のひとつです。人が住んでいる家は、毎日窓を開けたり玄関から人が出入りしたりするため、家の中の空気が対流を起こします。
外からの空気を取り込み、家の空気を出すことで、空気の入れ替わりがあるのです。
しかし空き家になって閉め切ったままにしていると、空気の入れ替わりが起こりません。
空気が乾燥していればいいのですが、梅雨など湿度の高い時期があることが問題です。
日本は木造住宅が多いため、湿度が家の中にこもると、家自体が空気中の水分を吸湿してしまいます。
そうすると、家の中にカビが発生してしまったり、木が腐ったりしてしまい、どんどん傷みが進んでしまいます。
とくに防犯のためにと雨戸を閉め切っている場合には、日光も入らないためダニや細菌も繁殖しやすくなり、畳などは早くに腐食が進むでしょう。
メンテナンスが行き届かない
空き家は人が住んでいないため、劣化に気がつきにくいことに加え、メンテナンスが行き届かなくなってしまうことも家が傷む理由です。家は内部だけではなく、外壁や屋根も経年とともに劣化が進みます。
その家に住んでいれば、外壁や屋根は定期的に塗装をやり直したり、防水を施したりといった、メンテナンスをするものです。
しかしその家に住んでいなければ、劣化に気がついたとしても、お金をかけてメンテナンスをしようと思う人はそうそういません。
気にはなりつつ、とりあえず放置しておく人がほとんどではないでしょうか。
壁や屋根の劣化は、放置しておくと基礎部分にまで及んでしまうことがあり、そうなると倒壊する可能性も考えられます。
空き家を放置することは、そのような危険性もはらんでいるのです。
02空き家が水回りを中心に傷む理由
空き家はとくに水回りを中心に傷むと言われていますが、それはどういった理由なのでしょうか。給排水管に錆ができてしまう
台所や浴室、トイレなどのいわゆる「水回り」は、人が住んでいる場合でも劣化が進みやすい箇所です。それは水を使うため湿度が高くなり、壁や床、床下が腐りやすくなることが大きな理由ですが、空き家でも同じく水回りは早く傷むと言われています。
それは空き家になってしまうと、長期間給水も排水も行われず、水道管が使用されないままになってしまうためです。
水道管が使用されなくなると、水道管の中の水が流れなくなってしまうためにやがて錆ができてしまいます。
水道管に錆ができてしまうと、やがて内部が腐食してボロボロになってしまうことが問題なのです。
漏水すると床や基礎を腐食させてしまう
水道管の腐食が進むと、やがて水道管に亀裂が入り、漏水するなどのトラブルが発生します。漏水が起こると、床下など水が浸みた部分がやがて腐り始め、家に大きな損傷を与えます。
とくに木造住宅の場合、湿度の高いところにはシロアリが好んで住み着くため、シロアリに根太などの基礎部分をボロボロにされてしまう可能性もあるでしょう。
そうなるとやがては床が抜け落ちたり、家が傾いてしまったりと大きなトラブルに発展する恐れがあります。
空き家が水回りを中心に傷むと言われているのには、こういった理由があるのです。
03空き家が傷むのをできるだけ軽減する3つの方法
人が住んでいても家は傷んでいくものですが、空き家が劣化するスピードは想像以上に速いものです。空き家の劣化が速い理由がわかったところで、ここからは空き家が傷むのをできるだけ軽減する方法を、3つ紹介します。
定期的に換気を行う
家が傷む大きな原因は、空気が動かず家の中に湿気がたまることが理由として挙げられます。そのため家が傷むスピードを遅くするためには、定期的に換気を行うことが有効です。
とはいっても、空き家を毎日換気することは現実的ではないでしょう。
しかしせめて月に1度は、換気に通うことをおすすめします。
晴れた日に空気を入れかえるだけで、家の中の湿度は一気に吹き飛ぶものです。
自分自身で換気に通えない場合には、近くに住んでいる人に依頼する、管理会社に委託するなど対策を考えましょう。
または空き家になっても電気を解約せずに、空調システムを稼働させるのも効果的なのでおすすめです。
定期的に「通水」する
換気を行うのと同じように、水道も定期的に通水するのが有効です。水道についても、解約してしまうと水を流せなくなってしまうため、可能な限り契約は残しておくようにしましょう。
通水するときには、家中の蛇口をひねって、1分ほど水を流しっぱなしにします。
水道管にたまっていた水をすべて流すことで、もし水道管の中にサビが発生していた場合でも洗い流せます。
また通水すれば、水道管だけではなく下水管の赤さびも洗い流されるので、下水管についても腐食したり亀裂が入ってしまったりすることを防ぐことにもなるのです。
掃除や修繕など適切なメンテナンスを行う
空き家が傷むのを防ぐためには、掃除や修繕などについても、きちんと行うことが重要です。人が住んでいなければ掃除をしなくてもそんなに汚れないのではと思いがちですが、空き家は人の気配がしないため、ゴキブリや場合によってネズミなどの害虫・害獣が住み着きやすくなってしまいます。
少しずつホコリも積もっていきますし、虫の死骸などが蓄積されることも、家が傷む理由です。
ネズミが住み着いてしまった場合、家のあちこちをかじられたり、場合によっては電気の配線をかじられたりして、漏電して火事を引き起こす可能性すら考えられます。
家の外壁や屋根についても、適切なタイミングでメンテナンスを行わないと、建物に雨が染みこんで雨漏りするようになってしまったら、木造の場合は構造が腐り、鉄筋の場合はサビてしまって危険です。
外壁や屋根の塗装については、可能な限りは耐用年数に合わせて、塗り直しなどのメンテナンスを検討するようにしてください。
04まとめ
空き家になると家が早く傷む理由と、劣化速度を遅くする方法を紹介しました。人が住んでいれば、それだけで空気が動く、水が流れる、ちょっとした異常に気がつくなど、家は長持ちするものです。
反対に空き家になってしまうと、想像以上に家は劣化が進みます。
住んでいない家をメンテナンスするというのは、時間的にも金銭的にも負担なことが多いでしょう。
しかしきちんと手入れをしないと、家はあっという間にボロボロになり、最悪倒壊の心配までする必要がでてきます。
そうなると近隣の住人にも迷惑をかけることになってしまうため、今回ご紹介した空き家が傷む理由をきちんと理解したうえで、適切なメンテナンスを行うようにしてください。
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