さまざまな活用があるなかで、注目したい方法のひとつが「空き家カフェ」です。
空き家の持ち味をいかしながら、収益につながり、地域の活性化にも貢献する可能性も秘めています。
カフェとして活用することの魅力について、事例とともにご紹介します。
関連記事|空き家再生の資金が足りないならクラウドファンディングの活用もあり!
▼有効な利活用として注目!「空き家カフェ」のメリット
<「空き家カフェ」の強み>
古い建物により、売却が難しい場合も、空き家をカフェとして活用することで複数のメリットが創出されます。
まず大きなメリットは、空き家を単に古い建物ではなく、“レトロな空間”として、魅力を最大化できることです。
今や、「古民家カフェ」や「町家カフェ」は、ひとつのジャンルとして確立されています。
これら店舗の多くは、必要に応じてリノベーションなどを施し、古さと新しさが融合する唯一無二の空間になっています。
長年誰も使っていなかった木造の内装や茅葺なども、古民家カフェでは強い武器であり、個性や味わいです。
新築された店舗や、大型商業施設に入るテナントには醸し出せない、歴史とぬくもりが漂う空き家ならではの“魅せ方”といえるでしょう。
<「空き家カフェ」の集客力と地域への貢献>
実際に、店舗として活用されている空き家は、雰囲気のよさで女性を中心に利用客を集めています。
また、物件やコンセプトの特徴、立地などによっては、地域住民や観光客など、広く集客できる可能性も秘めています。
たとえば郊外や少々田舎の物件でも、古民家ならではの景観や風情をもとめる利用客の集客に成功している事例も少なくありません。
さらに、地域の人々が社交場として活用するようになり、交流の拠点になるケースもあります。
もともと地域にとけ込んでいた空き家をいかすことで、若い人だけではなく、老若男女のコミュニケーションの場となり、地域の活性化にも貢献する存在へと発展します。
開業前から、リノベーションやDIYを地域の人々が手伝ってくれ、それが宣伝効果にもなって、開業後はお客さんとして集まってくれる場合もあります。
物件ごとの特徴や立地をいかせるので効率よく開業、集客ができ、地域貢献にも一役買うこともできます。
しかも、所有している空き家の場合は、家賃もかかりませんね。
単純な転用ではなく、空き家×カフェによる掛け算のメリットが生まれる活用法といえそうですね。
▼空き家を活用したカフェの多彩な成功事例
空き家を活用したカフェにメリットが多数あることがわかりました。
しかし、物件ごとに環境や建物の違いがあり、所有する空き家が活用に向いているか気になりますね。
次は、条件の違う空き家が、それぞれの工夫などで成功している事例を見ていきましょう。
<地方でも都心でも古民家をいかせる>
空き家カフェのよさは、エリアを問わず、チャンスのある活用法のひとつといえるでしょう。
都心であれば、周囲の賑やかな環境とのギャップで、落ち着いた魅力を演出できます。
築70年を超える古民家を改装した東京のカフェでは、テーブル席だけでなく、個室も設けて、メインの通りから離れていてもゆったり過ごしたいお客さんが足を延ばして来店しています。
一方、地方でも立地に優れた場所でなくても、古民家の内装や雰囲気を残したリノベーションで、建て替えせずに成功している事例などが見られます。
たとえば、国の登録有形文化財にも指定されている伝統的な古民家で、解体することもできないところを上手に活用する方向に切り替え、カフェの経営に成功している例です。
また、郊外で駅からも遠く、一見、集客の見込めない空き家を軌道に乗せた事例もあります。
建物は大きく、庭もありますが、築50年以上で駅からは30分以上離れています。
視点を周辺にも広げ、ロードサイドで、交差点から2区画ほど手前に位置することに着目。
外壁を取壊して道路から見えやすくし、駐車場も整備することで、車を利用した顧客の来店を確保しました。
活用事例を見てみると、カフェは工夫次第で立地や築古に関係なく、期待できる空き家ビジネスであると伝わってきますね。
<工場地帯のイメージを払拭!>
カフェとは、かけ離れたイメージの地域一帯を活性化させた事例もあります。
そこは、昭和の中頃まで発展した首都圏の工業地帯で、閉鎖した工場や倉庫が建ちならぶエリアでした。
しかし、閉鎖された倉庫の天井の高さをいかした店づくりで、1軒のカフェが開業しました。
瞬く間に人気店になり、それを契機に、周辺に空き倉庫をいかして、ギャラリーや飲食店が次々と出店し、エリアは賑わいを取り戻します。
地域をけん引する、ポテンシャルを感じさせる活用の成功事例ですね。
<相続で受け継いだ建物を有効活用>
空き家は、親、祖父母世代から受け継いだという物件も多くあります。
そのなかで、以前の所有者が使っていた状態をベースに開業した事例をご紹介します。
ひとつは、以前、祖父が骨とう品店を営んでいた空き家をリノベーション。
生活感は消しながら、祖父の時代の建物のよさを残しつつ改装して店舗に変身させました。
おしゃれな古民家カフェから、今では、地元のラウンジとして根付き、移住者を増やすきっかけにもなっています。
また、親族から受け継いだ事務所兼自宅の2階建て空き家を活用した事例では、カフェにするためにリノベーションの工夫に注力しました。
天井の低い1階事務所部分を居心地のよい店舗にするため、2階の自宅だった一部を吹き抜けにして、開放感ある空間に仕上げています。
トイレやキッチンなどの水まわりには最新の設備を取り入れながら、残っていたアンティークの事務用品はインテリアとして再利用することで、居心地のよさと個性を兼ね備えた店舗になりました。
<若者と高齢者が交流する拠点に>
最後に、教育機関と連携した成功事例もご紹介します。
各地でコミュニティカフェとして活用される空き家も増えるなか、大学の学生たちがプロジェクトとして運営などに携わっているケースもあります。
学生たちは、みずからリノベーションすることでプロの仕事のスキルなどを学ぶほか、地域の高齢者とのコミュニケーションの場としてカフェを実施。
たとえば、1階を店舗にし、2階をシェアハウスとして高齢者と学生が入居。
学生が主体となって空き家を活用し、地域の独居老人の問題解決にも寄与するなど、積極的な活動は頼もしいですね。
▼空き家をカフェとして活用する際の注意点
開業する際の注意点もチェックしておきましょう。
<コンセプトが重要>
カフェは比較的参入しやすいため、周辺に競合が多いケースもあります。
また、同業ばかりでなく、コンビニなどコーヒーを提供している業種も競合として、とらえた方がいい場合があります。
そこで差別化を図るために、重要になるのが「コンセプト」です。
コンセプトは、どのような事業でも肝ですよね。
具体的には、利用客の性別や属性、利用客に対して提供するもの、利用客が経営するカフェの何に魅力を感じて来店するかを考えます。
とくに利用客は立地を加味して想定することが大切です。
たとえば、若い女性が多いエリアなのか、地域密着型にしたほうが適切かなどです。
また、付加価値となる要素を併設する手もあります。
何かの教室やギャラリー、私設図書館などのある飲食店としての運営です。
発想次第で、よりおしゃれで、差別化された店にできそうですね。
<必要な申請>
経営するには、おもに保健所へ飲食店営業許可の申請が必要です。
営業開始までには、保健所への事前相談、書類提出、確認検査、営業許可証の交付などのプロセスをたどります。
また申請に際しては、営業許可申請書、食品衛生責任者設置届、営業設備の大要、水質検査成績書にくわえ、法人の場合は登録事項証明書などを用意します。
▼まとめ
開業にあたっては、飲食店営業許可を交付されずに営業をはじめるとペナルティーをうけるので注意しましょう。
またコンセプトも、自分で考えると難しく感じられるかもしれません。
必要書類やターゲットや付加価値の設定にまよったら、信頼できる不動産会社への相談もおすすめします。
全国空き家管理ナビでは、空き家管理を適切に行い、さまざまなリスクを減らすお手伝いをする不動産会社を検索できます。
空き家で何かお困りのことがありましたら、ぜひご利用ください。