空き家を所有していると、保険に入るべきかどうかお悩みの方もいるのではないでしょうか。
しかし人が住んでいるか否かに関わらず、建物を維持していくためには火災保険の加入が不可欠です。
そこで空き家でも保険を掛ける目的は何なのか、無加入のリスクや入るときの注意点を確認していきましょう。
あわせて、空き家は地震保険に加入することが出来るのかもご紹介していきます!
関連記事:空き家を放置すると雷による被害を受けやすい?空き家の災害対策はどうしたらいい?
▼空き家は保険に入るべき?
保険に入る目的は、建物や家財の被害に備えるためです。
火災事故や災害による被害を補償してくれるので、もし万が一のことを想定して加入することをオススメします。
たとえば落雷や風災・水災、土砂崩れ、建物外部からの物体の衝突(車両事故や飛来物の衝突)などは、「火災保険」でカバーできます。
そのため人が住んでいる建物については、火災保険の加入は必須です。
そして空き家についても、火災保険に入ることは可能です。
ガスや電気が通っていない家屋でも、災害による損壊や近隣からのもらい火、放火などに巻き込まれるリスクは変わりません。
また何らかの原因で出火元となったとき、空き家の所有者は損害賠償責任を問われることがあります。
このような観点からも、空き家であっても火災保険に入ったほうが良いでしょう。
<火災保険に入るメリット>
今後住む予定がない場合でも、火災保険には加入するべきです。
たとえば火災が発生したとき、建物すべてが焼け落ちるわけではありません。
残骸の処理費用が発生するので、処理費用をまかなうために火災保険へ加入したほうが良いでしょう。
なお火災で焼失した建物の解体工事にかかる費用は、通常よりも割高になる傾向にあります。
通常は解体した木材を再利用できますが、火災で燃えてしまった建材は再利用できないためです。
また廃棄にあたって残骸の分別や仕分けをしなければならないため、解体費用は高額になりがちです。
火災保険に加入していれば、このような事後処理にも対応できます。
<火災保険に加入するときのポイント>
居住用の建物であるかどうかによって、入れる補償内容や掛け金は異なります。
・専用住宅物件(住むための建物)
・併用住宅物件(住宅に事務所や店舗が併設されている建物)
・一般物件(事務所や店舗などの建物)
居住用の建物(一戸建てやマンション)は専用住宅物件に該当し、掛け金はもっとも割安です。
そして併用住宅物件、一般物件の順に掛け金は高くなります。
空き家は専用住宅物件の加入要件を満たしていないため、一般住宅として扱われるケースが少なくありません。
そのため住んでいたときの加入内容(専用住宅物件)のままでは、万が一のときに見舞金などが支払われない可能性があるので注意してください。
ただし空き家であっても、家財道具があり定期的に滞在をする別荘の扱いであれば、専用住宅物件として入れるケースもあります。
また一般物件用のプランであっても、すべての建物が対象となっているとは限りません。
建物の状態によっては付帯できるオプションに制限があったり、そもそも加入できないケースも考えられます。
そのため保険に入るときは、あらかじめ申込窓口へ問い合わせしておきましょう。
このとき比較検討のため、複数社から見積もりを取るのがオススメです。
見積もり自体は無料なので、申し込める補償内容や掛け金、補償金額を確認しておきましょう。
▼空き家で保険に加入しない場合のリスク
保険の加入は法律上義務付けられていないため、何も掛けていなくても問題はありません。
しかし何も掛けていない空き家の所有は、さまざまなリスクや注意点があります。
<放火されるリスクが高い>
有人の建物と比較して、空き家は放火の被害を受けるリスクが大きい傾向にあります。
しかも放火による火災件数はタバコの不始末に次いで多いため、空き家であっても対策が不可欠です。
もちろん金銭面の備えをするだけでなく、日頃から管理を怠らないようにするのも大切です。
具体的な注意点としては、郵便物やゴミといった火をつけられやすいものを放置しないようにしてください。
また日頃から、近隣住民へ声かけしておくのも大切です。
<損害賠償責任を問われることがある>
「失火責任法」では、火災を発生させたときの責任の範囲を定めています。
万が一火元になったとしても、重大な過失がない限りは損害賠償責任を負いません。
過去の判例では、以下のケースによる火災は重大な過失であると判断されました。
・寝タバコによる引火
・天ぷら油を火にかけた状態で、長時間その場を離れた
・暖房器具の近くに引火性の高いもの(ガソリンなど)を置いていた
上記のような明らかに危険性が高かったり、火災になると予見できるケースは重大な過失があると見なされます。
そして空き家についても管理が行き届いていないと、重大な過失にあたると判断されるリスクがあるので注意してください。
<税金が高くなる>
居住用の建物がある土地は「住宅用地の特例」により、固定資産税が最大で6分の1、都市計画税が最大で3分の1に減免されています。
しかし「空き家対策特別措置法」により特定空き家として自治体から改善勧告を受けると、「住宅用地の特例」を受けられなくなります。
固定資産税が最大で6倍に増えるリスクがあるため、住んでいない住宅の管理は欠かせません。
▼空き家で保険に入る際の注意点
空き家であっても入るのが望ましい火災保険ですが、加入にあたっていくつかの注意点があります。
そこで加入するときに覚えておきたい、注意点を確認していきましょう。
必要な補償を無駄なくカバーできるよう、すでに加入している人も契約内容をチェックしてみてください。
<補償内容・契約期間を見直す>
空き家で火災保険に加入するなら、補償は最低限の内容で十分な場合が少なくありません。
そして契約期間についても、長期的に保有する予定がなければ短期間にすれば掛け金を節約できます。
また空き家ならではの注意点として、入れるプランやオプションが限られていることがあります。
住んでいたときの契約内容のままでは、そもそも加入要件から外れてしまっていることがあるので確認してください。
そして一般物件用のプランに入るなら、補償の範囲によってさまざまなオプションを選べる商品があります。
補償の範囲が狭ければ狭いほど掛け金も割安なので、予算に合わせて加入してみてはいかがでしょうか。
<家財補償を外すときの注意点>
家財道具がないなら家財補償を外せば、掛け金をおさえられます。
しかし注意点として、家財道具がないと住宅物件とみなされないケースがあります。
そのため申し込みの際は家財道具の内容についても、正しく申告しましょう。
迷ったときは自己判断で外すのではなく、あらかじめ申込窓口へ相談するようにしてください。
<地震保険には加入できない>
地震による被害に備える地震保険は、地震が原因で発生した火事などもカバーしているプランです。
しかし単体での加入は取り扱っておらず、住宅物件用のプランにオプションとして入るものです。
そのため一般物件扱いの空き家は、そもそも加入できません。
なお条件を満たしていれば地震への補償を付加できるケースがあるため、約款などで確認してみてください。
▼まとめ
空き家が火災保険へ入るときに知っておきたい、未加入のリスクと注意点を紹介しました。
住んでいない住宅でも、所有者は管理責任を問われます。
事故や自然災害へ巻き込まれたときのために、火災保険などを準備しておきましょう。
また火災保険以外にも、空き家の維持にはコストがかかります。