空き家のリフォームに対して、国や自治体から、さまざまな助成金の制度があることをご存じでしょうか。
なかには、リフォームに対して「1戸につき最大100万円」など高額な補助金が支給されるものもあります。
あまり知られていない補助金制度もありますが、知っているとお得に空き家を活用できるチャンスとなるかもしれません。
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▼リフォームや活用も支援!「空き家」についての補助金制度一覧
<1戸あたり最大100万円!「要配慮者専用改修事業」の概要>
2020年5月、国土交通省が「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業
(以下、要配慮者専用改修事業)」の募集をはじめました。
具体的には、使っていない空き家を高齢者や低所得者などの「要配慮者」に向けて、対象のリフォーム工事をおこなうなどすると、空き家の所有者に対して「1戸あたり最大100万円」が支給されます。
空き家の活用に悩む所有者にとって、可能性を広げる魅力的な制度といえそうですね。
要配慮者専用改修事業がはじまった背景には、増え続ける空き家問題と、同時に、住まいの確保を必要とする高齢者や子育て世帯の増加があります。
これらの問題を解決するため、2017年にスタートした住宅セーフティネット制度の枠組みのもと、新たに要配慮者専用改修事業という補助金制度がはじまりました。
補助金は、「国による直接支援」と「地方自治体と国が連携して支援」するものに分かれており、空き家の所有者はどちらかを選択して申請します。
国による直接支援の場合は、補助割合が工事費の3分の1で、1戸あたり50万円が上限です。
地方自治体と国の連携支援の場合は、補助割合が工事費の3分の2で、1戸あたり100万円が上限ですが、地方公共団体によっては準備中の可能性もあるため申請前に確認しましょう。
<「要配慮者専用改修事業」の適用条件と空き家オーナーのメリット>
次に、補助金を受けるための2つの条件など詳しく見ていきましょう。
受給条件のひとつは、該当の空き家を「要配慮者向け賃貸住宅の登録制度」の登録物件にすることです。
登録基準として、一定の居住面積の確保や耐震性能、家賃が高すぎないこと、10年間は要配慮者専用住宅として管理することなどがあります。
もうひとつの受給条件は、対象のリフォーム工事が定められていることです。
たとえば、間取り変更工事、手すりや浴室設備の改修などのバリアフリー工事、昭和56年5月以前に着工した物件の耐震改修工事などです。
また、要配慮者専用改修事業では、国の専用ホームページで空室状況の周知や、各都道府県が指定する住居支援法人が入居中の要配慮者のサポートをおこなうなど、空き家オーナーにとっても、安心できるメリットがありますよ。
<月4万円の補助金が最長10年!「家賃低廉化支援制度 」>
リフォーム工事をする以外にも、空き家の所有者が受給できる補助金制度をご紹介します。
家賃低廉化支援制度も、住宅セーフティネット法による補助金制度のひとつです。
要配慮者のなかでも、「低所得者」を対象に受け入れる所有者が、1戸につき最大4万円/月の補助金を直接受給できます。
直接受け取ることで、滞納リスクも軽減され、収益の確保が見えてきますね。
さらに、最長で10年ほどの適用ですが、自治体の判断によっては20年の支給の可能性もあります。
家賃低廉化支援制度の利用には、一定の耐震性能など「建物に対する条件」と、公募による募集など「入居者に関する条件」のクリアが必要です。
<解体にも補助金がでる!?「空き家解体補助金制度 」>
空き家のなかには、老朽化による危険性がある建物もあります。
空き家解体補助金制度は、「解体」を推進する政府の補助事業の総称です。
詳細は地方自治体ごとに規定されており、名称や条件のほか、金額の支給割合や上限額も変わってきますが、50万円から100万円が目安です。
多くの自治体で、対象となる工事や所有者への適用条件も設けられています。
また、一部自治体では制度を実施していない場合もあるので、利用を検討する際には、ご確認ください。
▼岡山県総社市の補助金制度「空き家リフォーム助成金」
<総社市の魅力 と「空き家リフォーム助成金」>
岡山県総社市は、県の中南部に位置し、県内でも比較的人口の多い街です。
台風など災害の影響も少なく、自然が豊かな環境です。
また、買い物や病院などの生活施設も十分に整備され、子育て支援や教育にも注力している総社市は、ファミリーも住みやすさを感じる街です。
そんな総社市では、移住定住する人を対象に「空き家リフォーム助成金」を実施しています。
自らの居住を目的とした空き家をリフォームすると、工事費用の2分の1が補助され、最大で30万円が支給されます。
平成30年7月の豪雨災害被害者の場合の補助金は、最大50万円です。
クロスの張り替えや畳の新調など、内装、建具、電気、給排水の工事も対象となるので、補助金を受けながらリフォームして、気持ちよく新生活がはじめられそうですね。
<手続きの流れと必要書類例>
補助金の申請には、誰も住んでいない期間が1年以上の不動産をリフォームすることや、総社市に5年以上定住することなどの要件があります。
一方で、ほかの助成制度を受ける場合や、自分で工事をするケースには利用できないので注意してください。
補助金交付までの大まかな流れは、まず購入または相続などで空き家を入手してから、6カ月以内に「認定申請」を出します。
認定申請時には、工事の見積もり明細書の写しや図面、耐震診断報告書などを用意。
また、「認定申請」は、必ずリフォーム工事契約日より前に申請が必要です。
つぎに、認定決定後、1年以内にリフォームを完了し、「助成金交付申請」をおこないます。
助成金交付申請時にも、建物登記事項証明書の写しや定住誓約書など必要書類を用意。
交付が決定したら請求書を提出し、補助金が支給される流れです。
詳細は、市のホームページなどをご確認ください。
▼神奈川県海老名市の補助金制度「空き家活用促進リフォーム助成金」
<海老名市の魅力 と「空き家活用促進リフォーム助成金」>
神奈川県海老名市は県の中央に位置し、県内でも栄えており、富裕層が住む豊かな街として知られています。
利便性や快適性もおいても、県内で随一のエリアといってもよさそうです。
新宿や横浜など、都心や周辺都市へのアクセスにも優れ、買い物スポットも充実しています。
そんな海老名市でも、空き家購入者などを対象とした「空き家活用促進リフォーム助成金」を実施しています。
補助金は、税抜10万円以上の工事に対して2分の1を補助し、最大で50万円を支給。
「海老名市内の空き家」の所有者、または購入者、賃貸借人で、リフォーム契約者である個人が対象です。
同時に、市税の滞納がないことや過去に同じ補助金を交付されていないことも条件です。
また、住宅に対しても6カ月居住がないことや現行の耐震基準を満たしているなどの要件があります。
リフォーム後の活用条件もありますが、本人や親類が暮らすほか、居住用として賃貸したり、売却したりできるので、空き家を持つさまざまな人にとって利用しやすい補助金制度といえそうですね。
<手続きの流れと必要書類例>
海老名市の補助金制度の流れは、まず工事着工前に助成金交付を申請。
3週間ほどで交付決定されたら、工事に着工し、工事代金支払い後の20日以内に実績報告をします。
この際、実績報告書のほか、領収書の写し、施工についての写真などを用意。
実績報告書の確認後、「助成金確定通知書」が送付されるので、請求書を提出すれば補助金が支給されます。
また、このほかにも工事条件や申請期限などがあります。
詳細は、市のホームページなどをご確認ください。
▼まとめ
国や自治体による空き家のための補助金制度についてご紹介しました。
知っていることで、リフォームや活用、解体や移住もお得に実現できるかもしれません。
所有者も、これから購入される方も、ぜひ上手にご活用ください。
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