全国で、随時さまざまな空き家イベントがおこなわれています。
今回は、過去の12月に開催された空き家対策のイベントとセミナーのなかから、代表的な事例といえる三国町と池田市の取り組みについてご紹介します。
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▼過去12月に三国町と池田市でおこなわれた空き家イベントの好事例
<三国高校の「空き家活用プロジェクト」>
昨年12月26日、福井県立三国高等学校(以下、三国高校)の1年生が、1日空き家を借り切って「空き家活用プロジェクト」を開催しました。
三国高校の生徒たちによる「空き家活用プロジェクト」は、三国町の地域課題のひとつである“空き家の活用”に対する取り組みとして、昨年の開催が2回目となるイベントです。
春から、街歩きや地域を知るためのレクチャーを受けて、活用の企画を練ってきた三国高校の生徒たち。
当日は、空き家を舞台に地域の人々とコミュニケーションし、さまざまな企画を通じて、三国町の活性化に一役買いました。
たとえば、空き家の和の空間を活かした和カフェを実施し、当日来訪した人たちに、ドリンクとおかしを提供。
さらに、生徒たちがみずから考えた観光ルートの提案と案内や、三国町の写真展、地域の人とダンスを楽しむなど、空間をフル活用して、地域を盛り上げたイベントとなりました。
<池田市の「空き家・まちづくりセミナーと個別相談会」>
大阪府の池田市では、2018年12月15日、市民が広く参加できる空き家イベント「空き家・まちづくりセミナーと個別相談会」を市役所で開催しました。
当日は、空き家バンク制度と自然災害への備えなどについて、深く学べるイベントとなりました。
「誰も住まない家で悩む人」に有益な知恵を伝えるセミナーや、地震や台風、大雨や猛暑などに対してどんな準備をしておくべきかについてセミナーを実施。
不動産のプロが講師をつとめ、専門家ならではの鋭い目線や、深い情報をわかりやすく解説。
さらに、空き家バンク制度についての詳細を伝えるセミナーも、市職員がていねいに解説しました。
イベントにより、普段聞くことのできない空き家の知識を知れたと好評でした。
同時開催された個別相談会でも、事前に予約した参加者たちが、専門家に直接、悩みを相談。
それぞれが抱える不安や困りごとに対して、相談員がていねいに適切なアドバイスをしました。
それでは、今回ご紹介したこれらの取り組みをしている団体や地方についても、詳しくご紹介していきます。
▼福井県三国町の「空き家活用プロジェクト」に取り組む三国高校とUDCS
<福井県坂井市の魅力と地域課題に取り組む三国高校>
福井県の北部にある坂井市。
以前、坂井郡としてあった三国町や坂井町などの4つの街が合併し、坂井市となりました。
東尋坊や古城の丸岡城などの観光名所も有する坂井市は、自然にも恵まれた土地です。
緑を身近に感じ、海も近く海水浴も楽しめます。
とくに三国町は、日本海に面していますが、暖流のおかげで雪も非常に少なく、冬も暮らしやすいでしょう。
また、治安もよく、子どもたちを安心して育てられる街です。
そんな坂井市に学び舎を構えるのが、「空き家活用プロジェクト」を実施した三国高校。
明治に開校された坂井郡立女子実業学校から変遷を経て、平成30年度に創立から110周年を迎えた伝統校です。
地域や社会の発展に貢献する人の育成を教育目標に掲げ、人口減少も進むなか、地域で必要とされる人材を育成する教育機関として坂井市民からも信頼を寄せられています。
三国高校では、地域組織や大学と協働し、地域課題探求の教育プログラムなどの活動も実施。
積極的な活動が認められ「令和元年度第13回キャリア教育優良学校文部科学大臣表彰」の受賞や、文部科学省「令和2年度地域との協働による高等学校教育改革推進事業」にも採択され、三国高校の功績は高く評価されています。
「空き家活用プロジェクト」でも、生徒たちのみずみずしいアイデアや、いきいきとした活躍が見られました。
三国高校の生徒たちは自分の個性や能力を健やかにのばし、地域からも多くを学んで、今日も成長し続けています。
<空き家活用プロジェクトをサポートした「UDCS」>
過去12月に、三国高校が主体となって実施したイベント「空き家活用プロジェクト」を東京大学などともにサポートしたのが、「UDCS(アーバンデザインセンター坂井)」です。
拠点を三国町に置くUDCSは、地域の課題を解決するまちづくりを推進する機関として設立されました。
とくに、高齢化と人口減少が進むなか、空き家の増加によって、歴史的にも価値のある町並みが消失していくことを重大な課題ととらえています。
このような空き家問題に対して、UDCSでは、地域の歴史と文化を活かした創造的解決となるイベントなどの活動に取り組んでいます。
UDCSが官民学連携のコアとなりながら、空き家イベントの「空き家活用プロジェクト」も成功へと導きました。
▼大阪府池田市の空き家イベントでも紹介された「池田市空家バンク制度」と街の魅力
<総合的な住みやすさが魅力の大阪府池田市>
大阪府池田市は、北摂豊能地域にあり、大阪の豊中市や兵庫の伊丹市などに隣接しています。
約10万人の人口が住み、大阪の都市部に勤める人たちのベッドタウンです。
大阪府のなかでも、住みやすい街として評価されています。
さらに比較的治安がよく、駅前だけでなく、住宅街も街灯が明るくともり、夜でも安心できる場所が多いのも特徴です。
阪急電鉄「池田駅」周辺に、大型のショッピング施設から商店街、病院や市役所などの公共施設が集まっています。
利便性にくわえて、緑も身近に感じられ、ほどよく落ち着いた自然環境です。
アクセスや治安の良さ、利便性にも富んだ池田市は、マイホームを求めるファミリー層にとって注目の住みやすい街といえそうです。
<所有者と求める人をつなぐ「池田市空家バンク制度」>
過去12月に開催したイベント「空き家・まちづくりセミナーと個別相談会」でも解説された「池田市空家バンク制度」についてご紹介します。
「池田市空家バンク制度」は、市が空き家の所有者と利用を希望する人をつなぐ取り組みで、移住や定住の促進とともに、地域を活性化しています。
多方面の専門家と連携しながら、さまざまな悩みを抱える空き家の所有者をサポートし、空き家の流通を促進する体制を整えており、所有者からの相談を受け付けています。
空き家の所有者への相談対応には、宅地建物取引業者、弁護士、司法書士、建築士、土地家屋調査士など、空き家への知識とノウハウをもつプロがそろっており、市が窓口となって取り次ぐかたちです。
空き家にまつわる税金や相続をはじめ、管理や売却、リフォームや解体など多岐にわたる疑問も、安心して相談できます。
「池田市空家バンク制度」の利用は無料ですが、事前の相談と登録の申請が必要です。
利用のステップは、まず市へ相談したあと、市が現地調査などをおこない、条件をクリアすると登録が可能になります。
登録後は、市の窓口やホームページで利用を希望する人の募集が開始され、希望者が出てきたら空き家の所有者へ連絡が入るという流れです。
また「池田市空家バンク制度」の利用は、売却や賃貸が可能な空き家の所有者か、代理人が対象です。
物件に関しては、1年以上利用されていない市内の住宅であることや、固定資産税の納税状況や、差押え物件でないことなどの条件があります。
詳細は、市のホームページなどをご確認ください。
詳しくはこちら|池田市空家バンク制度について
▼まとめ
過去12月におこなわれ、高く評価された空き家イベントの事例をご紹介しました。
また、開催地であった三国町と池田市についても、前向きに地域活性化に取り組む街とあって、それぞれの魅力を誇るエリアと感じられますね。
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