空き家を更地にしてしまうと税金が何倍にも?更地と固定資産税について

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税金
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誰も住んでいない空き家を所有している人にとって、空き家の管理にかかる費用は大きな悩みの種ではないでしょうか?

売却したくてもなかなか売れない空き家。

解体して更地にしたいけれど、固定資産税が高くなってしまうから、そのまま放置しているという方も多いかと思います。

そこで今回は、空き家を更地にした場合の固定資産税の関係について解説します。

土地の固定資産税をできるだけ軽減する方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

関連記事:【解説】空き家にかかる税金とは?所有と売却2パターンから見る空き家と税金

 

空き家を更地にしてしまうと税金が何倍にも?更地と固定資産税について



▼何倍も税金がかかる?空き地と更地と固定資産税の関係

日本では、空き家の数が年々増加傾向にあり、大きな社会問題となっています。

なかでも問題とされているのが、放置された空き家です。

空き家は、所有しているだけでも固定資産税と都市計画税がかかります。

しかし、空き家を解体して更地にすると、固定資産税が最大で6倍まで跳ね上がってしまうのです。

 

<空き家と固定資産税の関係>

まず、空き家と固定資産税の関係について詳しくみていきましょう。

空き家を含め、住宅が建っている土地は、固定資産税などの税金負担が軽減される「住宅用地特例」という制度が適用されています。

敷地面積が200平方メートルまでの場合、固定資産税は1/6まで減額、都市計画税は1/3まで減額されます。

200平方メートルを超える部分は、固定資産税は1/3まで減額、都市計画税は2/3まで減額されます。

しかし、空き家など土地の上に立っている住宅を解体して更地にしてしまうと、この優遇制度が適用されなくなってしまいます。

住宅(空き家など)を解体して更地にすると、駐車場など住居以外の用途として使用することもできるため、「住宅用地特例」が適用外となってしまうのです。

その結果、固定資産税は最大6倍に、都市計画税は最大3倍になってしまうというわけです。

 

<放置空き家は要注意!>

 

固定資産税が高くなってしまうのを避けるため、古い空き家であっても解体して更地にせずに、そのまま放置していることが、空き家の数が増える原因のひとつでもあります。

この問題を解消するために、平成27年に「空き家等対策特別措置法」が施行されました。

この法律では、適正に管理されていない空き家を「特定空き家」に指定することが可能となり、自治体が空き家の調査や所有者への指導、命令などができるようになります。

「特定空き家」に指定されると、更地にした場合と同様に「住宅用地特例」が適用されなくなるため、固定資産税が最大6倍になってしまうのです。

空き家を更地にしない場合は、「特定空き家」に指定されることのないように、しっかりと空き家の管理を行う必要があります。

 

【土地の固定資産税をできるだけ減らす方法

 

空き家を解体して、更地にすると固定資産税が高くなってしまいます。

この土地の固定資産税を軽減できる方法はないのでしょうか?

先ほども述べたとおり、土地の上に住宅が建っていれば「住宅用地の特例」が適用されるため、固定資産税や都市計画税の負担が大幅に軽減されます。

住宅とは、マイホームだけではなく、賃貸マンション・賃貸アパート・戸建賃貸・賃貸併用住宅も対象となります。

空き家を解体し、更地のまま所有し続けるよりも、住宅を建築したほうが大幅に固定資産税を軽減することができるようになるのです。

更地に住宅を新築した場合、固定資産税の節税につながる軽減措置もあります。

「新築住宅に係る固定資産税の減額措置」は、住宅を新築した場合において、一般住宅は固定資産税を3年間、マンションは5年間、固定資産税額を1/2に減額するという制度です。

この制度は、令和4年3月31日まで延長されており、住宅の取得者層に多い30代の平均年収が減少傾向にあるのに、住宅の価格は高騰傾向にあり、住宅を手に入れることが困難になっていることを考慮して制定されました。

 

「新築認定長期優良住宅に係る特例措置」は、長期優良住宅の認定を受けられる新築住宅を建てた場合、5年間固定資産税を1/2に減額するという制度です。

マンションを建設した場合は、7年間固定資産税が1/2に減額されます。

この制度は令和4年3月31日まで延長されており、長期優良住宅の普及を推進することで、長期にわたり居住でき、省エネ性や耐震性の高い安全な住宅を増やすことを目的としてつくられた制度です。

「既存住宅の耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良住宅に係る特例措置」は、既存の住宅に耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修または長期優良住宅化リフォーム工事を行った場合、工事翌年度の固定資産税額を一定の割合で減額するという制度です。

 

固定資産税が、耐震改修の場合は1/2に減額、バリアフリー・省エネ改修の場合は1/3に減額、長期優良住宅化リフォームの場合は2/3に減額されるため、空き家がリフォーム改修可能な場合は検討してみる価値があるといえます。

この制度は、令和4年3月31日まで延長されています。

 

既存住宅の耐震化・バリアフリー化・省エネ化・長寿命化などを推進し、優良で住みやすい住宅を増やし、既存住宅の性能向上や、既存住宅市場の活性化を図ることを目的としてつくられた制度です。

 

▼土地の固定資産税計算方法の例を確認しよう

 

最後に土地の固定資産税の計算方法をみていきましょう。

 

<固定資産税評価額を調べる>

まず、固定資産税の計算の基本となる「固定資産税評価額」を調べます。

大まかな固定資産税評価額は、時価の70%くらいが目安となっていて、実際の固定資産税評価額は、納税通知書で確認できます。

納税通知書についている、課税明細書の価格という欄が、固定資産税評価額になります。

市区町村役場の納税課などで「固定資産税評価証明書」を取得しても、課税明細書と同様に評価額を確認することができます。

課税明細書がない場合は、「固定資産税路線価」から「固定資産税評価額」を概算することも可能です。

「固定資産税路線価」とは、道路ごとに決められている平米あたりの評価額です。

「固定資産税路線価」は、全国地価マップのサイトで確認することができます。

「固定資産税路線価」を調べたら、土地の面積をかけましょう。

「固定資産税路線価 × 土地の面積」で、だいたいの固定資産税評価額を算出することができます。

 

<課税標準額を計算>

「固定資産税評価額」をベースとして、税金の軽減を考慮したものが、「課税標準額」です。

住宅(一戸建て・賃貸アパート・マンション)が建築されている土地は、「住宅用地特例」によって固定資産税が軽減されます。

 

1戸あたり、200平方メートルまでの部分の計算は

固定資産税の課税標準額が「評価額×1/6」

都市計画税の課税標準額が「評価額×1/3」

となっています。

 

200平方メートルを超える部分は

固定資産税の課税標準額が「評価額×1/3」

都市計画税の課税標準額は「評価額×2/3」

で計算されます。

また、住宅が建っていない土地、いわゆる更地の場合の課税標準額は

「固定資産税評価額×0.7」

となっています。

ちなみに東京都23区内では65%であり、条例により上限が70%ではないこともあります。

 

課税標準額が、一定の金額に満たない場合、固定資産税・都市計画税は課税されないという免税制度があります。

 

それぞれの自治体の条例により異なりますが、土地の課税標準額が30万円未満の場合は、固定資産税は課税されないのが一般的です。

 

<課税標準額×税率で計算>

最後に「課税標準額 × 税率」の計算をしてみます。

 

固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%

都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%

 

この計算で、土地の固定資産税が算出できます。

基本的な税率は、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%となっていますが、市町村によって都市計画税率は異なるため、それぞれの自治体のホームページなどで確認してみてください。

 

▼まとめ

 

空き家を解体して更地にすると、固定資産税は高くなってしまいます。

しかし、空き家を放置したままにしておくと、税金が高くなるだけでなく、さまざまなトラブルも発生してしまいます。

空き家を所有しているとコストもかかるため、売却や建て替えなど活用することを早めに検討しましょう。

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