放置された空き家は、年々増加傾向にあり、深刻な社会問題となっています。
空き家を放置していると、倒壊の危険や衛生上や景観上の問題が発生し、近隣住民に迷惑をかけて、近隣トラブルに発展してしまうことも。
空き家を壊すことを検討しているオーナーも多いのではないでしょうか?
空き家を壊すのには、どれくらいの費用がかかるのか気になりますよね。
以前も空き家の解体費用についてご紹介しましたが、今回は、空き家を壊すための費用に加え、安く済ます方法などについてご紹介します。
空き家を壊すのに、どれくらいのコストがかかるのか把握しておきましょう!
関連記事:空き家の解体費用はどれくらい?解体するメリットとデメリットも知りたい!
▼空き家を壊す際にかかる諸費用・費用相場
空き家を壊す費用は、だいたいこれくらいとお伝えできればよいのですが、建物の構造や立地、大きさや規模によってその費用が大きく異なります。
そのため、あくまで目安の費用にはなりますが、空き家を壊すときにかかる費用を紹介します。
まず、建物の構造別に、空き家を壊すのにどれくらいの費用がかかるのかみていきましょう。
木造住宅の場合1坪あたり40,000円前後、鉄骨造の場合1坪あたり60,000円前後、鉄筋コンクリート造の場合1坪あたり70,000円前後が、費用相場となっています。
<空き家を壊す付帯工事>
これらはあくまで家屋を壊す費用であり、ほかにもさまざまな諸費用がかかります。
一般的なものを挙げると、空き家を壊す工事の際に、砂ほこりや破片が飛散するのを防ぐための養生シートは、1平方メートルあたり800円程度です。
空き家の庭に植木や樹木があれば、それらも撤去しなければならず、一式あたり18万円程度の費用がかかります。
門柱門扉を撤去する費用は、一式あたり2万円程度で、カーポート撤去には一式あたり15,000円前後程度です。
また、空き家の立地によっても、壊すときにかかる費用は大きく異なり、周辺の道路状況がよくない場合は、ガードマンを雇わなければならず、一人1日あたり12,000円前後が必要になります。
重機を現場へ運ぶための費用は一式あたり45,000円前後がかかります。
さらに空き家を壊すための役所への手続き費用が、100,000円程度必要です。
つまり、空き家を壊す費用は、家屋の解体費用+付帯工事費用+諸経費がかかるのです。
空き家一軒を壊す費用は、最低でも110万円程度は必要であり、場合によっては、200万円を超えることもあります。
<空き家を壊す費用が高くなるケース>
空き家を壊す費用が高くなるケースには、道路状況が悪い、住宅が密集している地域、自然災害で倒壊した家屋、火災で焼けた家屋、アスベストが使用されている住宅、空き家の中に家財道具が残っているなどがあります。
道路状況が悪かったり、住宅が密集したりしていると、重機を現場に入れることができず、その分壊す費用が高くなりますし、自然災害で倒壊した家屋、火災で焼けた家屋、アスベストが使用されている住宅は、危険性が高くなるため、より慎重な工事が必要となるからです。
▼空き家を解体・壊す際に利用できる助成金がある?
上記で説明したとおり、空き家を壊すためには、最低の場合でも110万円は必要であり、空き家の構造や立地によっては、200万円を超えることもあります。
空き家を壊すことを検討していても、解体金額が高すぎると悩む所有者も多いようです。
国や自治体は、深刻化する空き家問題を解消するために、さまざまな取り組みを実施しています。
この空き家問題対策のひとつとして、自治体によっては、空き家を解体・壊す際の費用を助成しているところもあります。
東京都では、28の自治体が空き家などの解体費用を助成しています。
ほかにも、茨城県笠間市の「笠間市空き家解体撤去補助金」や、滋賀県多賀町の「多賀町空き家住宅等除去支援」、京都府京都市の「防災まちづくり推進事業補助金」、福岡県福岡市の「ブロック塀等除去費補助事業」、高知県高知市の「老朽住宅除却事業」などがあります。
助成金の条件には、昭和56年5月以前の建築物、事前の耐震診断で「倒壊の恐れあり」と診断された、申請者に市税の滞納がない、解体工事着手前の申請である、空き家がある自治体内の解体業者に工事依頼をする、などがあります。
空き家のある自治体が、助成金を出しているかどうか、一度確認してみるとよいでしょう。
ただし、空き家を壊す際に出される助成金のほとんどは、解体後に領収証などを添えて申請することが基本です。
そのため、空き家を壊す費用は、すべて一旦は自己負担ということになるため、注意してください。
<空き家を壊す費用を抑える方法>
助成金以外にも、空き家を壊す費用を安くする方法はありますので、チェックしておきましょう。
空き家を壊す際は、解体しやすい季節を選ぶのがおすすめです。
台風シーズンや梅雨は、真夏や降雪シーズンは、作業がなかなか進まないため、解体費用が高くなる傾向にあるため、避けたほうが無難です。
解体業者を比較するのも重要なポイントです。
いくつかの解体業者に見積もりをしてもらい、その内訳や内容をしっかりと比較してみてください。
また、空き家のある現場から近い解体業者ほど、運搬費が安くなるためおすすめです。
解体業者の繁忙期を避けて解体の依頼をすることも大切です。
解体業者にも、いわゆる閑散期と繁忙期があります。
繁忙期は、費用が高騰するため、その分空き家を壊す費用も高くなってしまいます。
一般的に、解体業者の繁忙期は、12月〜3月です。
この繁忙期の時期を避ければ、少し解体費用を抑えることができるかもしれません。
空き家を壊す前に、中に残っている家財道具などを自力で処分することで、解体工事にともなう、廃棄物処分費用を抑えることができます。
不要な家具、家電などはリサイクルショップへ持ち込んだり、安く回収してくれる不用品回収業者に依頼したりして、家財道具はできるだけ前もって処分しておきましょう。
▼空き家を壊せない事情を抱えるケースも?
空き家問題対策として、平成26年に「空き家等対策特別措置法」が施行され、空き家を放置したままにしているオーナーには、さまざまなペナルティが課されるようになりました。
もはや、空き家を放置しておくことはできない状況になっており、空き家を壊すことを検討しはじめたオーナーも多いようです。
空き家を壊すことを決断したとしても、解体業者に見積もりをしてもらい、その解体費用が高額すぎて無理だとあきらめてしまう方もたくさんいます。
また、空き家を壊さない理由には、税制の問題も関係しているようです。
誰も住んでいない空き家であっても、住宅を所有している限り、固定資産税がかかります。
「小規模住宅用宅地」により、所有する土地の上に建物が建っていれば、固定資産税が1/6に減免されます。
しかし、空き家を壊して更地にしてしまうと、この優遇が受けられなくなってしまい、固定資産税金が高くなってしまいます。
そのため、倒壊のリスクがある空き家であっても、壊すことをせずにそのままの状態にしているオーナーが増え、放置された空き家が増加してしまったという背景があるのです。
この状況を改善するために「空き家等対策特別措置法」が施行され、空き家の所有者の責任として、空き家の管理はしっかりと行わなければならなくなりました。
空き家を適切に管理しないオーナーは、小規模住宅用宅地の特例が受けられなくなったり、行政代執行が行われたりと、厳しい手段が取られます。
ほかにも、空き家問題には、逝去した元空き家のオーナーの遺品整理や、ゴミ問題などもあります。
空き家にはさまざまな問題が複雑に絡んでいるため、空き家の管理や利活用の提案を行うNPO法人や空き家バンクといった活動をさらに活発に行うことが、今後の課題だといえます。
▼まとめ
空き家を壊すのには、かなり費用がかかってしまいます。
しかし、空き家を放置しておくと、さまざまなトラブルを招き、より高額な対処費用が必要となってしまう可能性もあります。
空き家を壊すことで、売却しやすくなることもあるため、空き家解体につても検討してみてください。
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