日本における空き家の数は、年々増加しており、深刻な社会問題となっています。
空き家は、倒壊の危険性が高く、衛生面、景観面でもさまざまな問題を引き起こしてしまうため、近隣トラブルに発生してしまうケースも少なくありません。
空き家を適切に管理していないと、近隣住民に迷惑をかけてしまうことになってしまい、場合によっては訴訟に発展してしまうこともあります。
この記事では、よくある空き家の近隣トラブルのパターンや、トラブルを回避するための方法について解説します。
空き家所有者の方は他人ごとではないため、しっかり理解しておいてくださいね!
関連記事:空き家が犯罪の温床に!国際詐欺にまで利用される現状
▼【空き家とトラブル】よくある空き家トラブルのパターン
誰も住んでいない、放置された空き家はさまざまな問題を引き起こすため、社会問題となっています。
空き家が原因で、近隣トラブルが発生するケースが増加しており、これも空き家問題のひとつです。
空き家による近隣トラブルは、実にさまざまです。
よくある空き家が原因の近隣トラブルのパターンについて紹介しますので、空き家所有者の方は、トラブルを未然に防ぐためにしっかりと対策を行うことが重要です。
<さまざまな近隣トラブル>
管理されていない空き家は、ゴミがそのまま放置されている、いわゆるゴミ屋敷状態になっていることもあります。
空き家に放置されたゴミから発生する悪臭による近隣トラブルは、少なくありません。
空き家を管理する人がいないため、悪臭や異臭を放つゴミがずっとあるため、隣の家だけではなく、数軒先の家まで臭いがすることもあります。
また、空き家にネズミなどの害獣や害虫が住みついてしまうと、周辺地域にまで被害がおよび、近隣トラブルに発展してしまいます。
放置された空き家は、築年数が経過している木造住宅が多いです。
築年数が古いのに管理もされていない空き家は、老朽化がかなり進んでおり、今にも倒壊しそうな家もたくさんあります。
空き家が倒壊してしまい、隣の家の家屋などにダメージを与えてしまったり、通行人に危害をおよぼしてしまったりする近隣トラブルは、実に深刻です。
空き家がなんらかの危害をもたらした場合は、空き家の所有者が賠償責任を問われることになります。
損害賠償額は、数千万円以上になることもあるため、近隣トラブルに発生する前に適切な管理を行う必要があるのです。
空き家は倒壊の危険性が高いだけでなく、同時に周辺地域の景観も乱してしまうため、不快に感じる住民も多く、近隣トラブルになってしまいます。
そのほかにも空き家は、犯罪のターゲットになりやすく、不法侵入や不法占拠、放火を誘発することになり、地域の治安を悪化させる可能性もあります。
治安の悪化は、周辺住民にとっては大きな問題であるため、近隣トラブルへと発展してしまうのです。
このように、放置された空き家は、さまざまな近隣トラブルを引き起こす引き金となるため、所有者は注意が必要です。
▼【空き家とトラブル】空き家のトラブルの回避方法
上記で述べたとおり、放置された空き家は、さまざまな近隣トラブルを招いてしまう原因になります。
周辺住民に迷惑をかけず、近隣トラブルを未然に防ぐことがとても大切です。
空き家の近隣トラブルを防ぐ方法は、空き家の管理を適切に行うことです。
定期的に空き家に行き、窓を開けて空気を入れ替えたり、掃除をしたり、雑草を除去したりといった管理が必要になります。
空き家の管理をしっかりと行なっていれば、外観もずいぶんきれいになり、地域の景観を乱すようなことはなくなります。
空き家の管理を行い、きれいな状態を保つようにしておけば、問題が怒ることも少なくなり、近隣トラブルが発生することもありません。
空き家が遠方にある場合は、頻繁に管理しに行くことは困難でしょう。
そのため、空き家の掃除などを行いに来たときに、近隣住民の方にあいさつをしたり、声かけしたりと、普段からコミュニケーションをとっておけば、近所の人も安心するでしょうし、近隣トラブルになってしまうことも少なくなるでしょう。
空き家をはじめ、不動産の管理は、すべて所有者の責任になります。
空き家を所有している限り、しっかりと定期的な管理を行う必要があります。
空き家が自宅から離れた場所にあり、自身で定期的な管理が難しい場合は、管理業者などに管理を依頼するようにしましょう。
空き家の管理が自分でできない、管理業者に依頼もできないという場合は、空き家の売却や解体を検討するようにしてください。
空き家の管理ができないからと、なにもせず、放置することだけは避けるようにしましょう。
▼【空き家と近隣トラブル】行政代執行が命じられる前に
空き家問題対策として、国は平成26年に「空き家等対策特別措置法」を施行しました。
<空き家等対策特別措置法とは?>
1.
空き家の実態を調査すること
2.
空き家所有者へ適切な管理を指導すること
3.
空き家の跡地の活用を促進すること
4.
管理されていない空き家を「特定空き家」に指定できること
5.
「特定空き家」に助言や指導、勧告や命令ができること
6.
「特定空き家」に行政代執行が行えること
以上が、「空き家等対策特別措置法」の概要になります。
この法律が施行されたことにより、空き家を放置しておくことは難しくなりました。
「特定空き家」は、放置を続ければ倒壊するなど、著しく保安上危険となるおそれがあること、衛生的にも有害となるおそれのあること、適切な管理が行われていないため、著しく景観を乱していること、そのほか周辺の生活環境の保全観点からみて、放置することが不適切であることに該当する空き家です。
空き家の実態調査により、空き家が「特定空き家」に指定されると、指摘箇所の修繕や補修するよう行政から、助言や指導が入ります。
この段階で、指摘された箇所が改善されれば、「特定空き家」から指定を解除されます。
しかし、助言や指導を受けても、なんの対応や対処も行われなかった場合は、勧告が入ります。
「特定空き家」に指定されたあとに、改善するよう勧告を受けると、固定資産税が優遇される「住宅用地特例」の対象から除外され、優遇が受けられなくなります。
固定資産税が、最大6倍になってしまうこともあります。
行政からの勧告を受けても、空き家の改善がなされなかった場合は、命令が入ります。
命令は、これまでの助言や指導、勧告よりも厳しいものであり、「行政処分」といわれており、この命令を無視すると、最大50万以下の罰金を支払わなければなりません。
行政から空き家の改善命令が下ったにも関わらず、対処がされなかった場合は、空き家が所有者の代わりに空き家の改善や解体をすることができる、「行政代執行」が行われます。
つまり、「行政代執行」とは、所有者に代わって行政が空き家の適正管理に対処するということです。
たとえば、放置された状態のゴミを撤去したり、道路にはみ出している木を伐採したり、倒壊の危険の高い家屋を解体したりというようなことを行います。
この「行政代執行」によりかかった費用は、空き家の所有者に請求されます。
行政が勝手に行ったのだから、支払わないなどということは通用しません。
なぜなら「行政代執行」の費用は、税金だからです。
税金を滞納すると、税金債務回収のために、その者の所有する不動産や車を差し押さえて、公売にかけられます。
「行政代執行」にかかった費用は、必ず支払わなければならない仕組みになっているのです。
「行政代執行」がなされるのは、家屋の倒壊や火災などにより、近隣住民を巻き込むトラブルになることが考えられるため、早急な対処が必要な状態です。
空き家を放置し続けて、「行政代執行」が行われてしまう前に、空き家の修繕や解体を行うようにすることが、非常に重要です。
▼まとめ
空き家を放置すると、周辺住民に迷惑をかけてしまい、近隣トラブルに発展してしまう恐れがあります。
近隣トラブルを未然に防ぐために、空き家を適切に管理するようにしてください。
全国空き家管理ナビでは、空き家管理を適切に行い、さまざまなリスクを減らすお手伝いをする不動産会社を検索できます。