2019年の住宅・土地統計調査では、日本全国で約840万戸の空き家が存在するとの調査結果が出ています。
地方自治体ではさまざまな空き家対策をしていますが、それでも年々空き家は増加傾向にあります。
空き家が増加する理由としては、所有者が高齢になったのを機に、子どもの家や老人ホームへ転居することなどが挙げられます。
買い物ができるスーパーマーケットが近くになく、生活するうえであまり利便性のよくない立地にある空き家は、売却したくとも買い手がすぐには見つかりません。
そんななか、近年は空き家を民泊として有効活用するビジネスが増えていることをご存じですか?
そこで今回は、民泊とは何か、コロナ後の民泊の需要や空き家を民泊として活用するにあたっての法規制について解説いたします。
空き家の活用と民泊:民泊とは何か?
民泊とは、所有している一戸建てやマンションの一室を旅行者等に貸し出し、宿泊施設として利用してもらうことを意味します。
民泊は、ホテルや旅館といった宿泊施設よりも比較的にリーズナブルな価格で借りることができ、日本の文化にも触れられることから海外からの観光客を中心に人気です。
とくに観光シーズンは、ホテルの予約が取りづらいことから民泊を利用する方が多く見られます。
近年は、空き家をリノベーションして民泊施設として活用する「空き家対策」としても注目されており、各地域でその土地の特色を生かした民泊も人気です。
ホテルと民泊の違い
ホテルと民泊の違いは、おもに以下の3つです。
●宿泊料金
●サービス内容
●立地
宿泊料金は、前述のとおり民泊のほうが安い傾向にあります。
民泊は食事なしの素泊まりになることが多く、スタッフによるサービスなどもないため、その分リーズナブルな価格となっているのです。
また、ホテルといえば駅や観光地に近く、利便性の良い場所に多いですよね。
その点、民泊施設では利便性の良い場所にあるとは限りません。
とはいえ、より日本の文化に触れたい外国人観光客には、不便でも自然豊かな場所にある民泊施設のほうが、地域住民との交流やその土地ならではの食事を楽しめると人気です。
マッチングサイトやアプリで民泊利用率がアップ
民泊を利用したい方と民泊施設を提供する方をマッチングさせるWebサイトやアプリのサービスも続々と登場しています。
民泊マッチングサイトでは、サービスに登録している民泊施設であれば日本だけではなく海外の宿泊施設の検索と予約もできます。
このマッチングサービスを利用すれば、気軽に国内外の民泊施設を利用できることから、民泊の需要は世界的にも高くなっているのです。
空き家の活用と民泊:インバウンドと民泊需要について
民泊についてわかったところで、これからの国内における民泊需要も気になるところでしょう。
コロナ騒動が起こる以前までは、中国の春節をはじめとする観光シーズンに多くの外国人観光客が民泊を利用していました。
しかし、2020年1月以降は新型コロナウイルスの影響で国内外の観光客が激減したことにより、民泊の需要も激減。
そしてこれからの民泊需要については、以下の3つの理由から増加することが見込めます。
訪日外国人観光客の増加
新型コロナウイルスの感染症が収束した後は、再び外国人観光客が日本に多く訪れることで、民泊需要が高まることが期待できます。
実際にJTB総合研究所の「観光データ速報」によると、2022年5月の訪日外国人数は14万7,000人で、2か月連続で10万人を超える数の外国人が日本に訪れました。
ちなみに、訪日外国人の日本での滞在期間の平均日数は約9.1日といわれており、その期間ホテルを利用するとなると宿泊費が大きな負担となります。
そこで民泊は、ホテルよりも宿泊費が安く、旅費を抑えられるうえに日本らしさを味わえると、訪日外国人から人気を集めているのです。
ワーケーション需要の増加
コロナ禍以降は、リモートワークを取り入れる企業が増えました。
そのため、都心から地方に移動して、リモートワークをおこないながら旅先でのバケーションを楽しむ「ワーケーション」の需要も増加しています。
民泊についても、ワーケーションで訪れた方々の宿泊先として需要が高まることが期待できるでしょう。
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大阪万博の開催による宿泊客の増加
2025年には大阪万博が開催されるため、国内外から多くの観光客が大阪を中心とした関西地方に集まることが予想されます。
観光客の増加に伴って、ホテルだけでなく民泊施設の利用者も増加することが期待できるでしょう。
ちなみに、日本政府は大阪万博について、予想来場者数は約2,820万人、経済効果は約1.9兆と試算しています。
近畿地方に空き家を所有している方は、これからが民泊ビジネスのチャンスといえるでしょう。
空き家の活用と民泊:民泊をめぐる法律規制とは
それでは実際に、空き家を活用して民泊を始めるにはどうすれば良いのでしょうか。
日本国内で民泊を営むには、以下の3つの方法から選択することとなります。
●旅館業法の許可を得る
●国家戦略特区法(特区民泊)の認定を得る
●住宅宿泊事業法の届出をおこなう
上記3つは、営業日数の制限や最低床面積など、いくつかの条件について細かい違いがあります。
どの方法が良いかは、立地や空き家の大きさによって異なるでしょう。
関連記事|空き家を活用して民泊する際の注意点!民泊新法や特区民泊とは?
とくに、民泊新法と呼ばれる住宅宿泊事業法や国家戦略特区(特区民泊)の2つについてはおさえておきたいポイントです。
空き家を民泊施設として利用するために必要な条件
民泊ビジネスを始めるにあたっては、法律に遵守した施設でなければいけません。
とくに民泊新法の届出住宅は、設備要件と居住要件を満たしていることが必須条件です。
また、民泊施設は消防法令の特定防火対象物であることから、消化器や火災報知器などの消防用設備を設置する必要があります。
ただし、民泊に家主が同居していて宿泊部屋の面積が小さい場合は、消防用設備の設置条件が不要となることもあるでしょう。
空き家で民泊を営むときは、どのような条件が必要であるかを専門家に相談することをおすすめします。
民泊に関するトラブル
民泊を営むうえでは、利用者のトラブルにも気をつけなければなりません。
たとえば、日本人の文化や地域事情のルールに沿わない外国人観光客による近隣とのトラブルや、火災や事故などのトラブルが起きる可能性があります。
また、過去には日本国内での民泊施設で、宿泊していた外国人観光客の小さな子どもが部屋から転落して死亡する痛ましい事故も発生しています。
もしも無許可で民泊を営業していたときに火災や死亡事故が起こった場合は、非常に大きな問題となるでしょう。
民泊をおこなう際は、法律を遵守したうえで営業をするように気を付けましょう。
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まとめ
民泊は、リーズナブルな価格で日本の文化を味わえる古民家に宿泊できることから、外国人観光客に人気です。
2025年には大阪万博の開催に伴って、さらなるインバウンドの増加が見込めるでしょう。
そこで空き家を活用した民泊であれば、日本全体が抱える空き家問題の解消につながるうえにホテル不足の現状も解消できて、経済活動が活発化することが期待できます。
空き家の活用にお悩みの方は、ぜひこの記事を参考に民泊ビジネスをご検討ください。
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