空き家は、放置し続けるとどんどん老朽化が進み、資産価値が下がってしまいます。
しかし、リフォームやリノベーションをすることで、住みやすい家へと生まれ変わり、売却や利活用がしやすくなります。
そこでこの記事では、リフォーム・リノベーションの違いと、空き家をリフォーム・リノベーションした際にかかる費用の相場について解説します。
古い空き家の活用を検討されている方は、ぜひ参考にご覧ください。

空き家のリフォーム・リノベーション：違いとは？

古くなった空き家をリフォームやリノベーションで再生し、利活用したいとの声をよく聞きます。
しかし、リフォームとリノベーションの違いがよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
そこでまずは、リフォームとリノベーションの違いについて解説します。

空き家のリフォームとは

リフォームは、一般的に「老朽化の進んだ建物を、新築のときに近い状態に戻すこと」を指します。
具体的には、汚れていたり壊れている部分を修繕し、きれいな状態にするほか新しい設備に変えたりします。
つまり、リフォームは「マイナスの状態になっている部分を元の状態に戻すために修繕する」という意味で使われることが多いです。
空き家の主なリフォーム箇所は以下のとおりです。

●外装の塗り直し
●キッチンの設備を新装
●壁紙を張り替える
●浴室の設備を変更
●断熱材を入れる

上記のように、リフォームでは家の中の部分的な改修をおこなうことがほとんどです。
リフォームをする優先順位として、設備の傷み具合や生活の支障度で決めることが多いです。

空き家のリノベーションとは

一方で、リノベーションとは「すでにある建物に全面的で大規模な工事をおこない、住みやすさなどの機能を向上させたり、家や建物の価値を高めたりすること」を指します。
つまり、リフォームが「マイナス状態になっている建物を元の状態に戻すために修繕する」のに対し、リノベーションは「元の状態に戻すだけではなく、さらに機能をプラスする」という意味になります。
具体的には、デザイン性の高い家に変えたり、より現代的で住みやすいように内装・外装、間取りを大きく変更したりします。
空き家のリノベーションの例は以下のとおりです。

●水道管・排水管設備の変更
●冷暖房設備の改良
●耐久性を高めるための壁の補修
●間取り変更

リノベーションでは、空き家のすべてをまず解体し、躯体構造のみにしてから改修に入ることがよくあり、リフォームよりも工事の規模が大きくなるのが特徴です。
とくに築年数の経過した古い空き家は、現代のライフスタイルに合うようにリノベーションをするケースが多いです。

空き家のリフォーム・リノベーション：リフォームの相場

傷んでいる箇所が限定されている場合は、部分的なリフォームがおすすめです。
特に、基礎部分の劣化や傷みは自分で判断できないため、住宅診断を検討してみても良いかもしれません。
それでは実際に、リフォームの相場価格はどれくらいかかるのでしょうか？
リフォームをする箇所ごとの費用相場は以下のとおりです。

外壁リフォーム

空き家の外壁リフォーム工事の費用相場は、50万円～350万円ほどです。
外壁リフォームは家を守るための重要な工事であり、空き家のリフォームでもっとも多い工事箇所となります。

屋根リフォーム

空き家の屋根リフォーム工事の費用相場は、50万円～350万円ほどです。
屋根が傷んでいると雨漏りなどの原因となり、空き家をさらに老朽化させてしまいます。
そのため、屋根のリフォームをしっかりおこなっていないと、後になって高額な修繕費用がかかることになってしまいます。

床張り替えリフォーム

空き家の床張り替えリフォーム工事の費用相場は、畳やフローリング、どういった仕様にするかによって金額が変わってきます。
畳を張り替えリフォームする場合の費用相場は1畳あたり1万円～2万5,000円ほどです。
フローリングからフローリングに張り替えする場合は、重ね張り工法だと6畳あたり6万円～14万円、張り替え工法だと6畳あたり9万円～18万円です。
空き家では床のきしみや沈みなどの症状が多く、張り替え工事が必要なケースがほとんどです。

トイレのリフォーム

空き家のトイレのリフォーム工事の費用相場は、20万円～50万円ほどです。
古い空き家は、トイレが和式であることも多いです。
より住みやすい家にするためには、洋式トイレへのリフォームは欠かせません。

キッチンのリフォーム

空き家におけるキッチンのリフォーム工事の費用相場は、20万円～300万円ほどです。
古い空き家のキッチンは狭くて使いにくいことが多いため、現代的な機能性の高いキッチンへリフォームするケースが人気です。

お風呂のリフォーム

空き家におけるお風呂のリフォーム工事の費用相場は、30万円～150万円ほどです。
古い空き家のお風呂場はタイルがひび割れしていたり、浴槽が古くなったりしていることが多いため、よくリフォームされる箇所です。

空き家のリフォーム・リノベーション：リノベーションの相場

続いて、空き家のリノベーションの費用相場を見ていきましょう。
リノベーションは大規模な工事が必要になるため、リフォームと比較するとその価格は高額になります。
空き家を全面的にリノベーションする場合の費用相場は、500万～2,000万円ほどです。
古い空き家ほどリノベーション費用が高くなり、1,000万円を超えるケースも少なくありません。
空き家の資産価値を向上させたい場合は、全面的なリノベーションがおすすめです。
空き家のリノベーション施工事例と費用相場は以下のとおりです。

耐震補強リノベーション

空き家の耐震補強リノベーション工事の費用相場は、25万円～200万円ほどです。
とくに昭和56年以前に建築された家は建築基準法の耐震基準を満たしていないため、耐震補強リノベーションが必要になることが多いです。

間取り変更リノベーション

空き家の間取り変更リノベーション工事の費用相場は、20万円～2,000万円ほどです。
費用に幅があるのは、どのくらい工事するかによって変わるからです。
間取り変更の施工内容ごとの費用相場は以下のとおりです。

●壁の撤去：20万円～30万円
●引き戸の取り付け：10万円～20万円
●スケルトンリフォーム：1,000万円～2,000万円

スケルトンリフォームは部屋の間取りを大幅に変える工事のため、費用も高額となっています。

断熱リノベーション

空き家に断熱材を入れるリノベーション工事の費用相場は、30万円～500万円です。
断熱リフォームの工事箇所ごとの費用相場は以下のとおりです。

●床：30万円～120万円
●天井：20万円～90万円
●壁：90万円～500万円

古い空き家は断熱材が入っておらず、とても寒いため光熱費が高くなってしまいます。
住みやすさを向上させるためには、断熱材を入れるリノベーションは重要でしょう。
このように、リノベーションの工事費用は高額となることもあるため、空き家をどのように活用したいのかを明確にしてから、その目的に合ったリノベーションを実施すると良いでしょう。

まとめ

今回は、リフォームとリノベーションの違いにくわえ、費用の相場について解説しました。
リフォームやリノベーションをすることで、住みやすい家へと生まれ変わり、売却や利活用がしやすくなります。
目的や生活スタイルなどを参考に、リフォームするかリノベーションするか検討することをおすすめします。
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