所有者不明の空き家・土地の問題が深刻!今後の課題や取り組みは?

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所有者不明の空き家や土地が増加しており、日本国内では大きな社会問題となっています。

所有者不明の空き家や土地は、さまざまなトラブルを起こす可能性が高いにも関わらず、どうにも対応することができずに、国や自治体も頭を抱えることが多いのが現状です。

土地の登記や、相続登記はあくまで任意であり法律で義務化されていないため、所有者不明の空き家や土地が増え続けています。

法律により、所有者不明の空き家や土地問題を解消しようという動きも出ているようです。

この記事では、深刻化している所有者不明の空き家・土地問題について説明します。

今後の課題や取り組みについても、把握しておきましょう。

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所有者不明の空き家・土地の問題が深刻!今後の課題や取り組みは?



▼所有者不明の空き家・土地問題の現状について

人口の減少や核家族化、高齢化などにより、空き家や空き地が急増しています。

空き家や空き地のなかには、所有者不明のものも多く、指導・勧告などを行うこともできず、処分に困り、問題になっています。

 

<所有者不明の空き家・土地とは>

所有者不明の空き家・土地とは、登記事項証明書を確認しても、所有者がだれなのかわからなかったり、わかっても連絡が取れなかったりする家や土地のことです。

どうして所有者不明の空き家・土地が発生してしまうのでしょうか?

相続人がいない所有者が死亡してしまうと、そのまま空き家となってしまい、所有者不明となってしまいます。

また、相続人がいる場合でも、相続人全員が相続を放棄したり、相続人が決まらずにそのまま放置されたりしてしまうと、所有者不明になります。

相続人が決定していても、登記簿の名前を変更していないケースも多く、この場合も所有者不明ということになります。

登記簿に名前の記載があっても、連絡が取れない場合も所有者不明のケースに該当します。

また、相続登記は任意であることも、所有者不明の空き家・土地が増える問題の原因のひとつと考えられます。

所有者不明の空き家・土地をこれ以上増やさないために、国は不動産登記の義務化も検討中のようです。

 

2020 所有者不明空き家・土地状況>

2020 2月に行われた国土交通省による調査では、所有者不明の物件・土地を確認している自治体は、711団体(全体の60.7%)であり、かなり数が多いことがわかります。

所有者不明物件(空き家)では、「所有者の死亡は確認できたが、相続人がわからない」、「所有者や相続人の居どころは特定できたが、連絡が取れない」という所有者不明の状況がほとんどでした。

また、所有者不明物件がある711団体のうちの、79.5%というほとんどの自治体が、具体的な問題対策を行なっておらず、対応実績があるのは、わずか90団体(12.7%)のみでした。

所有者不明の空き家や土地問題を解消するためには、まだまだたくさんの課題が山積みのようです。

 

▼所有者不明の空き地・土地の所有者をどう確定するのか?

所有者不明の空き家・土地の所有者を確定するのは、負担や苦労が多く、かなりの時間を必要とします。

所有者不明の空き家・土地の所有者の探索手法にはどのようなものがあるのか、見てきましょう。

 

<所有者特定の流れ>

所有者不明の空き家・土地の探索手法で、もっとも多いのが、固定資産税課税台帳の確認です。

空き家法の施行により、固定資産税の情報を確認することが可能となったため、ほとんどの自治体で、まずはこの情報から、所有者の特定をはじめることが多いようです。

固定資産税の情報により、空き家・土地の所有者や相続人を特定できるケースも増えています。

続いて、不動産登記簿情報の確認が行われます。

固定資産税課税台帳の情報と、不動産登記簿情報から、所有者不明の空き家・土地の所有者を特定できたケースもあります。

まず、不動産登記簿情報を確認し、固定資産税の情報を確認する場合もあるようで、探索手法の流れはケースバイケースです。

固定資産税課税台帳、不動産登記簿情報を確認しても、空き家・土地の所有者が特定できない場合は、戸籍謄本の情報や、住民票の情報を確認します。

周辺住民や福祉施設などに聞き込みを行なったり、電気・ガス・水道などの情報を確認したりして、所有者不明空き家・土地の所有者を特定していきます。

このような流れで、所有者不明の空き家・土地の所有者を探索し、特定した結果、平成284月〜平成299月のデータによると、95.0%が、最終的に所有者を特定することができています。

 

<戸籍謄本の確認は負担が多い>

所有者不明空き家・土地の探索手法において、負担や苦労が多いのが、戸籍謄本の確認です。

その理由として、他の市町村への請求するときの負担と手間がかかることが挙げられます。

戸籍謄本から得られた情報を元に、先方とのやり取りや確認、手続きなども多く、相続人がたくさんいるときは、より大変になります。

所有者本人や相続人をたどることは容易ではなく、相続人特定の難しさや、転籍・除籍による追跡調査の難しさ、家系図の作成にかかわる専門的な知識や人員不足などが、問題となることが多いようです。

 

▼所有者不明の空き地・土地問題解消に向けた国の取り組み

所有者不明の空き家・土地問題解消に向けて、国もさまざまな取り組みを行なっています。

 

<相続財産管理人制度を活用>

法律により、所有者不明の空き家などの財産は、最終的には国庫に帰属することになっています。

相続人のいない空き家の所有者が死亡してしまったケースや、相続人がいても、全員が相続を放棄したケースなどが、該当します。

しかし、相続財産の場合は、放置されたままの状態であっても、国庫に帰属することはなく、所定の手続きを行う必要があります。

空き家・土地が相続されているも、相続人がわからない場合の所有者不明空き家や、相続人がいるかどうかがわからない場合も、これに該当します。

所定の手続きを行うことで、国庫へ空き家・土地を帰属させることができるようにさせるのです。

家庭裁判所から選任される相続財産管理人が、この手続きを行います。

相続財産管理人は、地域の弁護士が就任することがほとんどで、必要な支払いや、定められた手続きを行い、所有者不明の空き家や土地を国庫へ帰属させます。

 

<空き家対策特別措置法>

平成27年に「空き家対策特別措置法」が施行されたことで、所有者不明の放置空き家問題は、自治体でも対応しやすくなり、解消へと向かっています。

倒壊の危険のある空き家や、管理や手入れがされておらず、地域の景観を乱す空き家は、「特定空き家等」とされます。

「特定空き家等」と指定されると、自治体からまず指導が入り、それでも対応しない場合は勧告されます。

「空き家対策特別措置法」により、代執行を行うことが可能となりました。

代執行とは、所有者に代わって行われる行政上の強制執行ひとつです。

義務者が、義務を実行しない場合、行政が適正な管理や手続きを行います。

自治体からの指導・勧告に対しても動きがない場合、命令が下され、それでも対応が行われない場合は、代執行という流れになっています。

猶予期間内に空き家の状況の改善を行えば、「特定空き家等」からは除外されます。

しかし、勧告を受けると、固定資産税の優遇は受けられなくなり、命令を無視すると、罰金を支払わなければならず、空き家を放置しておくことはできないようにしています。

所有者不明の空き家の場合、さまざまな探索手法により、まずは所有者の特定調査を行います。

 

固定資産課税台帳の情報や、不動産登記簿、戸籍謄本、ガス・水道・電気の情報による調査や、近所の人や、近隣施設への聞き込みによる調査を行いますが、それでも空き家の所有者を特定することができなければ、代執行を行うことが可能になります。

所有者が判明している場合に代執行を行なった場合、空き家の解体は工事にかかった費用の負担は、すべて所有者が負担しなければなりません。

しかし、所有者不明の場合は、それらの費用は自治体が負担することがほとんどのようです。

 

▼まとめ

空き家は、放置されると安全面、衛生面、防犯面などで、さまざまな問題が発生してしまいます。

所有者不明の空き家を作り出さないようにすることが、今後の重要な課題です。

空き家を所有している方は、活用方法や処分、解体などを早急に検討しましょう。

 

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