日本では、空き家の数が増え続けており社会問題となっています。
空き家問題を解消するためには、空き家を活用することがポイントです。
しかし、空き家を有効活用するには大きな資金が必要になります。
そこで今、注目されているのがクラウドファンディングという資金調達手段です。
たくさんの出資者を募り、資金を確保し空き家の有効活用に役立てようとする企業や人が増えています。
この記事では、空き家のクラウドファンディングについて説明していきます。
クラウドファンディングの活用例も紹介しますので、空き家を有効活用したい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
▼クラウドファンディングの活用例
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人に資金調達をよびかけ、そのプロジェクトの趣旨に賛同してくれた人から資金を集めるという、資金調達の新しい手段です。
2017年の「不動産特定共同事業法」の改正により、「小規模不動産特定共同事業」が創設され、小規模であれば、中小企業でも、不動産ファンドを立ち上げることができるようになりました。
クラウドファンディングでは、少額の投資を広く募ることが一般的であるため、空き家を有効活用するための資金調達もしやすくなっています。
空き家を有効活用することは、地域に貢献することでもあり、興味を持っている人は多く、クラウドファンディングのやり方は、まさに最適な手段なのです。
クラウドファンディングを活用して、空き家を再生するプロジェクトには、どのようなものがあるのか、例を紹介していきましょう。
長崎県五島列島では、築88年の空き家をリノベーションして、ゲストハウスを作るというプロジェクトで、不足している資金を募るため、クラウドファンディングを活用しました。
クラウドファンディングで目標金額200万円の資金調達を目指し、無事達成しています。
クラウドファンディングの投資金額は、3,000円、5,000円、10,000円という少額から、30,000円〜10万円・30万円までの設定でした。
投資金額に応じて、地元の名産品や、完成したゲストハウスの宿泊券など、さまざまなリターンが準備されていました。
香川県の小豆島では、空き家をリノベーションして、地域の人たちが運営する、遊びゴコロのあるスペースを作るというプロジェクトで、クラウドファンディングにより、興味がある人からの資金調達を集めていました。
空き家に、喫茶店と、小さな出版社、アートの作業場を作ることを目標として、1,000円から100,000円まで、クラウドファンディングで資金を募り、目標金額100万円を達成しています。
空き家を有効活用するためには、まとまった資金が必要になりますが、しっかりとした空き家活用のビジョンや目標をネット上で共有することにより、プロジェクトに賛同する人が集まり、クラウドファンディングによる資金調達が可能となるのです。
リターンを求める出資者よりも、地域に貢献したい、役に立ちたいという気持ちから出資する人が多く、少額であっても、より多くの人から出資してもらうことで、目標金額の資金を集めることができるようになるのです。
空き家を有効活用するには、クラウドファンディングによる資金調達がぴったりであることがわかりますね。
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▼空き家のクラウドファンディングのタイプ
クラウドファンディングには、大きく分けて3つのタイプがあります。
空き家を有効活用するために、クラウドファンディングのタイプについて確認しておきましょう。
<クラウドファンディングの種類:寄付型>
寄付型は、その名前からもわかるように、善意により出資するタイプです。
寄付型のクラウドファンディングでは、出資することによるリターン(見返り)や対価を求められることはありません。
また、法規制の対象にもならず、気軽に行なってもらいやすいです。
地域の役に立つために、しっかりとした目的があり、空き家を活用する場合は、寄付型によるクラウドファンディングで資金が集まることも多いようです。
寄付型で、出資してくれた人には、お礼の手紙などをリターンとすることがほとんどです。
<クラウドファンディングの種類:購入型>
クラウドファンディングの種類のなかで、もっとも一般的なのが、購入型です。
プロジェクトの起案者は、目標金額や期限を設定し、出資者を募ります。
出資者へのリターンは、金銭以外のもので、サービスや権利といったものになります。
購入型クラウドファンディングも、寄付型と同様に、出資者は、見返り・リターンを求めないことが多いです。
法規制では、特定商取引法の対象となり、起案者は、約束したことは必ず守らなければなりません。
<クラウドファンディングの種類:投資型>
購入型・寄付型のクラウドファンディングでは、金銭のリターンはありませんが、出資者や支援者に、金銭的なリターンが生じるタイプが、投資型です。
投資型のクラウドファンディングは、出資額が大きいのも特徴です。
法規制では、金融商品取引法、不動産特定共同事業法などの対象になります。
国土交通省は、不動産特定共同事業法の活用が空き家の有効活用などの、地域創生につながるものとして、クラウドファンディングをサポートしています。
小規模な地域の不動産業者などを参入させることにより、増加傾向にある空き家や空きテナントなどの賃貸や売買といった、活性化を目指しています。
投資型クラウドファンディングは、古民家などをリノベーションし、活用して、事業をはじめたい場合の有効な資金調達手段です。
不動産投資クラウドファンディングとして、インターネットにより、不特定多数の出資から資金を集められるようになっており、さまざまな新しい事業に挑戦しやすくなりました。
空き家問題の解消を促進し、不動産投資もできるため、社会への貢献度も高く、注目されているビジネスです。
▼空き家とクラウドファンディングの課題
日本では、購入型クラウドファンディングがほとんどですが、今後は投資型クラウドファンディングが増加していくと考えられています。
不動産投資クラウドファンディングでの、空き家ビジネスも活発化しそうです。
まだまだ新しいクラウドファンディングがもっと発展していくためには、さまざまな課題が残されています。
クリアする必要のある課題についても、知っておきましょう。
<安全性の保証>
クラウドファンディングは、インターネットにより、資金調達を行います。
悪質な事業者と取引をしてしまった場合、投資家の資金を持ち逃げされるといったトラブルが発生するケースもあります。
このようなトラブルに遭遇すると、投資家は、クラウドファンディングに対する信用を失い、投資家が大きく減少するでしょう。
安全性やセキュリティの高いプログラムを使用したり、空き家有効活用ビジネスに関する成功事例を積み重ねたりすることで、実績を作ることが、安全性の保証にもつながります。
知名度の高い企業や公的機関のプロジェクトを行うことで、投資家の安心感を高くすることが重要です。
<十分な情報提供を行う>
クラウドファンディングでは、もっと気軽に投資してもらうことが優先されているため、事業プランなどが簡易的なものであるケースも多いです。
投資家が、しっかりとした投資を行うためには、正確な事業内容や情報を公開する必要があります。
空き家活用の不動産クラウドファンディングの場合は、リノベーションのプランや、具体的にどのような事業として使用するのかなども、十分に情報を公開するようにすべきです。
<情報漏洩のリスク>
インターネットを使用して、情報を公開し、資金を集めるという特性のあるクラウドファンディングでは、セキュリティ対策が重要な課題となります。
プロジェクトがネットで公開されるため、アイデアを盗用されるという問題も実際に発生しています。
知的財産権の保護などが必要な場合は、プロジェクト公開前に特許を取得するなど、事前の対策も必要になります。
投資者側の個人情報が漏洩してしまい、悪用されてしまうこともあります。
空き家活用のためのクラウドファンディングの場合も、情報漏洩のリスクをできる限り回避できるようなシステム構築が必要です。
▼まとめ
クラウドファンディングで、資金を集めることができれば、空き家の有効活用に活かすことができ、大変効果的です。
空き家ビジネスで、新しいことへ挑戦するハードルも低くなります。
クラウドファンディングによる資金調達で、空き家活用事業が増えれば、地域活性化につながるでしょう。
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