空き家の浄化槽は管理を忘れがちな箇所で、放置したままでいると悪臭の原因となり、近隣トラブルになりかねません。
浄化槽は下水の整備が終わっていない地域でみられる住宅設備で、定期的なお手入れが必要です。
空き家の使いみちによってお手入れ方法は変わってきますが、悪臭を発生させないような管理が最低限必要となります。
今回は、浄化槽の臭いが発生する原因や対策、点検や掃除の費用についてみていきましょう。
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▼空き家の浄化槽管理:臭いが発生する原因
空き家の浄化槽から臭いが発生する原因は、槽内にいるバクテリアが死んでしまって、汚れを分解できなくなるからです。
浄化槽は電気によって作動し、生活排水をバクテリアによってきれいな水へと浄化させる役割をもっています。
なかでも「ブロワ」という部分が重要で、槽内に酸素を送り込む機能をもっています。
バクテリアは、酸素があると元気に汚れを分解できるので、悪臭を抑える役割を担います。
しかし、ブロワから酸素を送り続けていれば、悪臭が抑えられるわけではありません。
死んでしまったバクテリアや槽内にこびりつく油分が、どんどん溜まっていくからです。
年に1回程度の掃除をしないと臭いが気になるだけでなく、ブロワに付着する汚れがスクリューなどの動きを悪くさせます。
十分に掃除や管理ができていないと、ブロワによる酸素の補給が十分でなくなり、悪臭を発生させてしまうと覚えておきましょう。
浄化槽は下水道の整備が済んでいない地域で見受けられる設備なので、まずは所有する空き家での設置有無を確かめてくださいね。
▼空き家の浄化槽管理:臭いを発生させない対策
空き家の浄化槽管理として、臭いを発生させない4つの対策をご紹介します。
1.ブロワのメンテナンス
5~7年程度使用したブロワは不具合を起こす可能性が高まるので、経年劣化による故障に注意しましょう。
槽内のバクテリアに酸素が供給されていれば、活発に浄化作業を続けてくれます。
しかし、ブロワの異常によって、浄化機能がストップしたり低下したりすると、悪臭が立ち込めてくる要因につながります。
バクテリアを増やす浄化促進剤などで、バクテリアの数を保つ管理方法もありますよ。
浄化促進剤は「バイオシーダー」という商品名で、2,000円/500g程度で販売されています。
2.電気を切らない
空き家の電気契約をやめてしまったり、ブレーカーを落としたりすると、ブロワが作動せずバクテリアが死滅します。
ブロワが正常に動いて汚水の浄化作業ができるように、電気を切らないようにしましょう。
空き家となった後に、電気の解約をしたいのであれば、浄化槽の水抜きと掃除が必要です。
そのままの状態で、電気だけ切ってしまうと悪臭の原因となるので、槽内のお手入れは必ず済ませておいてくださいね。
また、長期間使用しないのであれば、休止届を自治体に提出しましょう。
点検や掃除は法律によって定められているので、休止届によって管理義務を負わなくてもよくなります。
3.定期的な掃除
ブロワが正常に作動していても、定期的な掃除をしなくてはいけません。
槽内に溜まったバクテリアの死骸や油分などは、ブロワの動きを悪くするだけでなく悪臭の原因になります。
浄化槽だからといってもすべての汚れを分解できないので注意しましょう。
年に1回程度、浄化槽掃除の専門業者に依頼するのがおすすめです。
4.蓋の密閉を保つ
臭いが漏れてこないように密閉性の高い蓋がついていますが、経年劣化により隙間ができる場合があります。
蓋周辺のコンクリートのひび割れによっても臭いが漏れ出すので、浄化槽上部の密閉状態は悪臭対策に大切です。
蓋が傷んでいるのであれば、ホームセンターなどで購入して新しいものに交換しましょう。
蓋周辺に泡が噴き出ていたり、水の跡が残っていたりすれば隙間が空いている証拠となります。
注意して見てみてくださいね。
▼空き家の浄化槽管理:点検や掃除にかかる費用
空き家の浄化槽の点検や修理にかかる費用は、業者に依頼すると、おおよそ以下のようになります。
・月1回の点検 5,000円程度
・年1回の掃除 3~5万円程度
・年1回の法定検査 5,000円程度
※あくまで参考価格です。
点検は、動作確認や薬剤などの投入が主な作業で、掃除は槽内の水抜きと清掃をしてもらえます。
業者は自治体に問い合わせると教えてもらえますが、通常、指定がないので、何社かのサービスを比較検討するのがおすすめです。
劣化した蓋を交換する際には、1~2万円程度で家電量販店やホームセンターなどで購入できます。
法定検査には3つの種類があり、外観・水質・書類の検査をする義務があるので、年に1回忘れずに依頼しましょう。
▼まとめ
空き家の浄化槽管理を定期的に実施し、悪臭で近隣に迷惑をかけないようにしましょう。
臭いの原因はブロワの不具合や掃除不足によるケースがほとんどで、電気を解約してしまうと、ブロワが動かなくなってしまうので注意が必要ですよ。
意識の向きにくい箇所ですが、法律による点検義務のある設備なので、うっかり管理を忘れないようにしてくださいね。
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