空き家による社会への影響や問題は膨らむ一方で、全国的に解決に向けて空き家対策がおこなわれています。
空き家問題は地方や都市部のみに限らず、日本全体の誰しもが悪影響を受ける可能性があります。
自分には関係ないとたかを括っていると、将来的に思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。
そこで今回は、総務省が調査した2018年時点の空き家率をはじめ、空き家が増加することによる社会への影響や所有者が取るべき対策について解説いたします。
2018年時点の空き家率と空き家増加による問題や影響とは?
総務省統計局は、1948年から5年に1度の頻度で国内の住宅や土地、またその家に住んでいる世帯に関する「住宅・土地統計調査」をおこなっています。
そして最新の調査年度である2018年時点の空き家率は13.6%と過去最高の数値となりました。
出典:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査
空き家率とは、住宅総数に占める空き家の割合のことです。
1988年から右肩上がりに空き家数は増加しており、2018年までの30年間にかけてなんと452万戸も増えています。
空き家のほとんどは、転勤や入院などで不在の住宅や取り壊す予定の住宅など、今後住む可能性が少なくて放置したままの状態の家です。
そのため空き家対策が進まないと、このまま空き家の件数はさらに増え続け、北海道の夕張市のように財政破綻する可能性もあるのです。
関連記事:地方で空き家が増える原因は何?問題解決はプロの力を借りよう!
では、空き家増加によって、どのような社会問題が起きるのでしょうか。
周辺住民や環境への悪影響
適切に管理されていない空き家はもろくなりやすく、倒壊などによっていつ周辺に危害を与えるかわかりません。
また人気のない空き家には害虫や害獣が住み着きやすく、家屋の老朽化を進める悪循環が生まれます。
そして荒れ果てた空き家は、ゴミの不法投棄もされやすく問題になっています。
倒壊事故の発生と衛生環境や景観の悪化は所有者だけにとどまらない地域の問題に発展するため、悪影響が大きいといえるでしょう。
犯罪の増加
誰もいない空き家は不法侵入されやすいので、犯罪の温床になりかねません。
実際に、オレオレ詐欺などの特殊犯罪に空き家が利用されたとの報道もありました。
犯罪が起こるような環境は、地域の治安を脅かす可能性があります。
また、空き家は放火犯に狙われやすい傾向にあるため、最悪の場合には火災が発生する可能性もあるのです。
将来的に考えられる空き家問題の影響とは?
国土交通省の「令和元年(2019年)空き家所有者実態調査」によると、今後5年程度の間に空き家をどうするかという問いに対し「空き家にしておく」と答えた方が約3割いることがわかりました。
また「賃貸・売却予定」と答えた方や「セカンドハウスなどとして利用」と答えた方がそれぞれ約2割いるとの結果が公表されています。
そのため今後も空き家が減少する可能性は低く、自治体や国の対策が求められています。
各自治体は空き家対策として、補助金交付による所有者への支援や弁護士・建築士などの専門家との連携強化などの取り組みをおこなっていますよ。
空き家問題が財政に与える影響
空き家対策で現在問題になっているのが、空き家対策特別措置法による住宅解体の費用負担です。
なぜなら、問題のある家を解体しても、さまざまな理由で解体費用を回収できない事態が発生しているからです。
解体費用の多くは自治体が負担しており、税金が使われています。
空き家が多い地域では、あらかじめ解体費用の補助金の予算を組まざるを得ないのが現状です。
空き家問題が住宅市場に与える影響
住宅市場の重要と供給バランスのさらなる悪化も懸念されています。
現在の日本は、人口と世帯が減少しているにも関わらず、誰も住まない中古住宅ばかりが増加しているからです。
人口に見合わない住宅の供給過多によって、将来的に既存住宅の資産価値が低下するのは免れないでしょう。
空き家問題が所有者に与える影響
空き家が増加する原因の1つに、所有者が不明である点が挙げられます。
たとえば、先祖代々引き継いだ空き家を相続人が名義変更せずに放置している場合です。
名義が亡くなった先祖のままで放置していると、その後の相続人が増えていき、誰が所有者か不明確になるといった事態に陥ります。
そのような事態を解消するために法改正がされ、2024年に相続登記が義務化されました。
相続登記が義務化されると、定められた期限内に相続による名義変更の登記をおこなっていない所有者には10万円以下の過料が科される可能性があります。
空き家を所有している方で、まだ相続による名義変更の登記をおこなっていない方は、早めに対処しましょう。
関連記事:2024年から相続登記が義務化される?法改正の経緯や影響について解説
空き家問題による悪影響を回避するために所有者が取るべき対策とは?
空き家問題による悪影響を回避するには、売却するのが良いでしょう。
空き家所有者の中には、売却による処分をすでに考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
築年数の経った空き家を売却するためにリフォームやリノベーションを考え中の方もいるかと思います。
しかし、リフォームやリノベーションは費用がかかるため「せっかく改修工事をしたのに売れなかったらどうしよう」と心配ですよね。
ですが最近はこだわりのリフォームやリノベーションによって、中古住宅に新たな価値を見出す方々が増えています。
買主にとっては新築より低価格で空き家を購入できるうえに、リフォームやリノベーションで自由度の高い家を作れる点が魅力となるのです。
そのため、売主がリフォームやリノベーションをおこなわなくても、現況のままで空き家を売ることができる可能性があります。
「私が所有する空き家はあまりにも古くてボロボロだけど、本当にそのままでも売れるのか」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。
その場合は、必要最低限の修繕だけをするという方法もあります。
どの部分をどのくらい修繕するかについては、空き家の売却査定を受けている不動産会社に相談して決めるのが良いです。
空き家の資産性と柔軟性に注目し、古い家をカスタマイズして住みたいという買主のニーズを捉えて空き家の売却を進めましょう。
また、空き家は売却だけでなく、賃貸物件として活用したり民泊や古民家カフェとして活用したりする方法もあります。
関連記事:収益も期待できるかも?空き家を有効活用する方法をご紹介します
空き家問題による影響を回避するためには、高度成長期のようなスクラップ&ビルドの考えではなく、中古住宅を上手に活用することです。
近年は、多様化するライフスタイルによって、住宅への価値観も少しずつ変化していますよね。
空き家の有効活用は、地域の空き家問題解決にもきっとつながるでしょう!
まとめ
空き家問題は決して他人事ではなく、誰でも被害を受ける可能性があります。
放置された空き家が事故や犯罪に利用された事例を、新聞やニュースで耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
しかし、空き家はきちんと管理して有効活用すれば、資産価値を十分に維持しながら収益化できる可能性も秘めています。
現在空き家を所有している方は、ぜひこの記事を参考に空き家問題の解消について考えてみてくださいね。
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