空き家大国である日本では問題が国内全体に広がっていますが、海外にも空き家はあります。
しかし、日本と海外の空き家問題には、大きな違いがあることをご存知ですか?
空き家活用に頭を悩ませている方は、海外の事例に目を向けてみると、新しい発想が生まれるかもしれません。
今回は、我が国の空き家事情を頭に置きつつ、海外の事例を参考に活用法について考えてみましょう!
01海外とは異なる日本の空き家事情
日本の空き家は増加傾向にあり、近い将来は空き家率が30%に上り、3~4戸に1戸は空き家になるとの試算がでている状態です。(株式会社野村総合研究所「日本の総住宅数・空家数・空家率」より)
また、5年ごとに行われる「住宅・土地統計調査」の最新データでは、2018年の空き家率が13.6%と発表されています。
このまま手を打たなければ、空き家は現在の2倍以上に膨れ上がるのです!
02海外の空き家事情
海外では、空き家率13.5%の日本とは異なり、その割合は下記のように低いです。※アメリカの割合は国土の広さが影響して、11%と比較的高い数値がでています。
<主な国の空き家率>
アメリカ:11%
イギリス:2.5%
ドイツ:1%
シンガポール:5%
国土の広さや人口などの差はあるものの、いずれも日本より空き家率が低いのが現状です。
それにしても、どうして海外ではこんなに空き家率が低いのでしょうか?
その答えは、「中古住宅の流通」です!
海外では、住宅取引のメインは「中古住宅」で、その割合は70~90%を占めています。
対する日本はわずか10%半ばといわれており、その差は歴然ですね!
この数値には住宅の「質」が大きく関係しているようで、海外の住宅は一般的に寿命が長いとされています。
アメリカは約44年、イギリスは約75年もの住宅寿命がありますが、我が国においては平均30年程度です。
住宅寿命の短さの背景には、高度成長期における住宅の大量供給が考えられ、質より量の家がたくさん建てられたからといわれています。
また、日本は新築好きのお国柄で、まだまだ住める住宅であっても需要が低い傾向も原因の一つでしょう。
一方、海外では中古住宅に抵抗のない人が多く、質の良い家を受け継いでいく風潮があります。
住宅を投資対象として考える傾向も、空き家率の低さに関係しており、家が長期にわたって使用され続けていく循環につながっているようです。
03海外の空き家再生の例 ドイツの「ハウスハルテン」とは?
ここで、ドイツのライプツィヒで起こった空き家問題の解決例をご紹介します。旧東ドイツのライプツィヒは、第二次世界大戦や「ベルリンの壁」崩壊を経て、大きな社会問題として人口減少と空き家増加が浮き彫りになったエリアです。
空き家率は市の全体で20%弱、一部地域ではなんと50%を超える悲惨な状況となり、景観を整えるべく街を緑地にする案が上がりました。
しかし、ライプツィヒには築100年を超えるような歴史的価値の高い住宅が多かったので、街のアイデンティティを後世に残すべく、市民が「ハウスハルテン」を設立しました。
ハウスハルテンは、住宅の「使用による保全」を目指し、誰かに利用してもらって必要最低限の建物管理を継続していくプログラムを推進します。
当時のライプツィヒでは不動産市場がすでに破綻しており、リノベーションなどで空き家の活用を図っても投資回収は不可能な状態でした。
その点ハウスハルテンでは、使用者は建物損害における修繕責任を負いますが、通常5~10年の期限内であれば、原則家賃負担なしでセルフリノベーションできて原状回復義務なく家を使用できます。
しかも、リノベーションに必要な工具や工事ノウハウも提供無償です!
所有者は維持管理費なしで家をキープでき、利用者は家賃負担なし・リノベーションサポート無料で場所の提供を受けられるので、Win-Winの関係によって住宅を守れる画期的な取り組みといえるでしょう。
こうしてハウスハルテンを推し進めた結果、ライプツィヒには若者やクリエーターが多く集まり、2000年を境に人口が増えだしたそうですよ。
04ほかにもある!海外での空き家活用の主な3例
続いて、海外の主な空き家の事例活用を3つご紹介します。(1)売手がリフォームして売却
海外では、リフォーム後のきれいな物件の方が高く売れるため、売主が家を改修して売却します。日本ではリフォームをせずに売るケースが大半なので、この点は海外との大きな違いでしょう。
(2)フリッパーによる売却
アメリカには、フリッパーと呼ばれる不動産会社がいます。空き家所有者はこのフリッパーに住宅を買い取ってもらい、フリッパーはリフォームして家を売ります。
フリッパーは「どんなリフォーム済の物件が売れやすいか」を熟知しているので、自分でリフォームするのは手間だという人にはオススメの方法かもしれません。
(3)ドミトリーやシェアハウスなど賃貸にする
海外では、空き家を一つの部屋に複数人が寝泊まりするドミトリー(宿泊施設)やシェアハウスとして利用するケースも多いです。ドミトリーやシェアハウス利用者は、建物の築年数や内装より利用時の料金を重視する傾向があるので、古いけれど数日滞在する分には問題ない程度に管理されている空き家なら参考にできる活用例かもしれません。
05まとめ
海外との空き家事情の違いは、社会や文化の異なりといえるでしょう。しかし、海外の事例でも工夫すれば転用できそうなアイディアがありそうです!
今空き家で悩んでいるのであれば、ぜひ参考にしてくださいね。
そして空き家の管理や活用についてプロに相談したい人は、全国空き家管理ナビをご利用ください!
空き家管理や活用について熟知しているプロが、皆さんのお悩みをきっと解決してくれますよ!
「とりあえず相談だけ…」という人も、ぜひご活用ください。