実家の空き家を相続した際は、名義変更の手続きが必要です。
以前までは、相続による登記所での名義変更は任意となっていましたが、2021年の法改正により、2024年4月1日から義務化されることが決定しました。
義務化によって「誰も住んでいないから」と空き家の名義変更をせずに放置している所有者には、10万円以下の過料が課される可能性もあります。
そこで今回は、これから空き家の名義変更をする方のために、手続きの流れとかかる費用、申請期限について解説いたします。
ぜひ、参考までにご覧ください。
01空き家の名義変更の流れとは?
空き家の名義変更は、空き家の所在地を管轄する法務局で手続きをおこないます。手続きは、窓口申請のほか、郵送やオンラインでも申請可能です。
手続きの際は、登記申請書と必要書類を提出する必要があります。
相続における名義変更の流れは以下のとおりです。
1. 登記所にて登記簿謄本(全部事項証明書)を取得
2. 役所にて戸籍謄本や住民票などを取得
3. 固定資産評価証明書を取得
4. 相続登記申請書類を作成
5. 管轄の法務局へ登記申請書と必要書類を提出
まずは、管轄の登記所にて最新の登記簿謄本を取得し、現在登記されている名義人を確認しましょう。
現在の登記名義人が誰になっているかによって、用意する必要書類が変わってくるからです。
たとえば、実家を相続して名義変更をしようと登記簿で名義人を調べてみると、父ではなく祖父名義のままだった、なんてことは珍しくありません。
このようなケースでは、父ではなく祖父の相続人全員、つまり父方の祖母や父の兄弟姉妹全員分の書類や印鑑が必要です。
次に、役所で被相続人(元所有者)の出生から死亡までの戸籍謄本一式や住民票の除票、法定相続人全員の戸籍謄本と新たに名義人になる相続人の住民票を取得します。
そして、名義変更をする年度の固定資産評価証明書も取得します。
固定資産評価証明書は、空き家が所在する市区町村の窓口か、東京都23区内の場合は都税事務所で取得できます。
もしも、相続人のうち1人だけ空き家を譲り受けるなどの遺産分割協議をした場合は、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書も必要となります。
以上が主な必要書類となりますが、ケースによっては別の書類を用意することもありますので、すべての書類をそろえるのに2週間はかかるでしょう。
必要書類がそろったら、登記申請書を作成します。
登記申請書の作成例については、法務局のホームページでご覧いただけますよ。
最後に、管轄の法務局へ登記申請書と必要書類を提出します。
申請後は1~2週間の審査期間を経て、提出書類に問題がなければ名義変更完了です。
空き家の名義変更は、順調な場合でも1か月ほどかかるでしょう。
02空き家の名義変更にかかる費用とは?
空き家の名義変更にかかる費用は、登録免許税と各種手数料になります。登録免許税は、法務局で登記申請する際に納税し、登記の目的によって税率が異なります。
相続の場合の税率は、空き家の固定資産評価額の4/1000なので、評価額が1,000万円の空き家なら登録免許税は4万円になります。
各種手数料とは、役所と法務局で必要書類を取得する際にかかる手数料です。
書類ごとの手数料は以下のとおりです。
必要書類とその発行手数料
●戸籍謄本一式:1通450円~750円
●住民票・住民票の除票:1通200円~400円
●固定資産評価証明書:1通200円~400円
●登記簿謄本(全部事項証明書):1通480円~600円
戸籍謄本の手数料は1通450円ですが、除籍謄本や改製原戸籍は750円かかります。
相続人の戸籍謄本は1通で良いのですが、被相続人の戸籍は出生から死亡までの連続した戸籍をそろえる必要があるため、婚姻や転籍回数が多い方は通数が増える分手数料がかかるでしょう。
相続人の住民票や住民票の除票の発行手数料は、市役所によって異なる場合があります。
住民票は種類によってはコンビニエンスストアで取得することができ、手数料が安くなりますよ。
登記簿謄本についても窓口で受け取る場合は1通480円、郵送で受け取る場合は1通500円ですが、オンラインで請求すると手数料が安くなります。
相続での名義変更後は、遺産の額によって相続税がかかる場合もあるため、なるべく手数料は安く抑えたいところですよね。
以上が空き家の名義変更にかかる費用ですが、司法書士に依頼して手続きする場合は、依頼手数料もかかります。
自分で名義変更の手続きをおこなうこともできますが、前述の「名義が祖父のままだった」など、相続が数回にわたって発生している場合は、手続きも煩雑になり時間がかかるでしょう。
また、遺産分割がある場合は遺産分割協議書の作成も必要です。
すべての書類を揃えて法務局へ申請しても提出書類に不備があると、また法務局へ出向かなくてはなりません。
相続における空き家の名義変更をする際は、ケースによって必要書類や手続きも異なるため、一般的に司法書士に依頼する方が多いです。
司法書士に相続登記を依頼した場合の手数料の相場は6万円~10万円となりますが、自分ですべておこなう手間を考えると依頼するほうが楽でしょう。
「時間に余裕がある」「複雑な相続関係ではない」という方については、自分で手続きをおこなったほうがかかる費用を抑えることができますよ。
03空き家の名義変更に期限はあるのか?
結論から申し上げると、現在においては空き家の名義変更に期限はありません。ただし、冒頭でも述べたとおり、2024年4月1日からは相続登記が義務化されます。
相続登記が義務化されると、これまで空き家だからと名義変更をせずに放置していた方にもペナルティが課されます。
そのため、現在空き家を相続した方についても、名義変更をしておいたほうが良いでしょう。
「利用予定のない空き家の名義変更に費用と手間をかけたくない」などの理由で、亡くなった所有者の名義のまま不動産を放置しておくケースも多いですが、名義変更をしないと、後々さまざまな手間がかかります。
たとえば、長年名義変更をせずに放置していたことによって、相続が複数回にわたって発生していた場合などがあります。
現行の法律では、前章でも述べたとおり関わる相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書が必要となり、手間と時間がかかります。
親戚関係が良好で住まいも近かったり、兄弟姉妹が少なかったりすれば、さほど労力はかかりませんが、付き合いが疎遠になっていれば連絡を取るだけでも大変でしょう。
また、相続人である兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その次の相続人である甥や姪の書類と印鑑が必要となり、甥や姪が未成年なら兄弟姉妹の配偶者に相談しなければなりません。
このように、名義変更のタイミングを逃して時間が経ってしまうと、空き家の相続に関わる人数が増えて手間も増加してしまうのです。
そして、基本的に空き家は名義人でなければ売却することができません。
「もう住まないから空き家を売ってしまおう」と思っても、名義変更に手間取って時間がかかると、売却のチャンスを逃してしまうことも考えられます。
リスクを避けるためにも、名義変更はなるべく早めに済ませておきましょう。
なお、2024年4月1日以降は「相続により不動産を取得したことを認識した時点から3年以内」に相続登記をしなければならないと定められています。
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04まとめ
今回は、これから空き家の名義変更をする方のために、手続きの流れとかかる費用、申請期限について解説いたしました。空き家の名義変更をする際は、まずは現在の登記簿を確認し、必要書類を揃えてから、空き家の所在地を管轄する法務局に申請します。
かかる費用は、登録免許税と各種手数料です。
相続登記は2024年4月1日から義務化されるため、空き家の名義変更がまだ済んでいない方は、早めに手続きをおこなっておきましょう。
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