空き家活用の方法の1つとして、賃貸物件として運用する方法があります。
空き家を賃貸物件として運用すると、家賃収入を得られるうえに人が住むことで自然と管理が行き届き、家が劣化しにくくなるというメリットがあります。
空き家を賃貸物件として活用したときの節税対策には「減価償却」が重要となります。
減価償却は、確定申告の際に節税につながる必要経費の1つです。
これから空き家を賃貸物件として活用したいと考えている方は、節税対策として減価償却のポイントを押さえておきましょう!
空き家を賃貸物件として活用!節税となる減価償却費とは?
減価償却費とは、会計処理における勘定項目の1つで、建物や機械などの固定資産の価値が減少した分を経費として計上できる費用項目のことです。
費用といっても実際に支出する費用ではなく、経年劣化によって下落する価値をあらかじめ耐用年数や償却率に応じて算出し、帳簿に経費として計上できます。
一般的な経費は、経費処理をする際に領収書などから詳細な支出内容を帳簿に記録し、確定申告をしますよね。
その点、減価償却費の場合は、取得した固定資産における購入金額を申告すれば、毎年一定額を経費処理することができます。
減価償却の対象となる固定資産とは?
減価償却の対象となる資産とは、事業などの業務のために用いられる物で、年数に比例して価値が減少し、かつ購入価格が10万円以上の固定資産を指します。
たとえば、以下のようなものが減価償却資産となります。
●建物
●建物附属設備
●機械装置
●器具備品
●車両運搬具
空き家を賃貸物件として活用したときも、減価償却資産に該当します。
しかし、空き家を賃貸物件として活用しても土地に関しては減価償却対象外です。
基本的に減価償却資産は、年数の経過とともに価値が減るものを対象としています。
そのため、建物と違って経年劣化をしない土地は、年数と価値が比例しないため、対象外となるわけです。
同じく借地権などの土地に関する権利も対象にはなりません。
減価償却費は申告が必要?
減価償却費は毎年、確定申告が必要です。
確定申告の際は、自営業者の多くが利用する「青色申告」を選び、青色申告の10万円の基本控除も一緒に受けましょう。
青色申告は、青色申告承認申請書を1枚追加するだけで申請でき、給与所得との収入合算ができますよ。
ただし、減価償却費を経費として申告できるのは、法定耐用年数の期間のみです。
法定耐用年数を超えた後は、減価償却費を計上できないためご注意ください。
空き家を賃貸物件として活用!減価償却のメリットとは?
空き家を賃貸物件として活用したときに減価償却費を計上するメリットは「月々の支出がないにもかかわらず、支出があるものとして確定申告時に控除が受けられる」点です。
もちろん、建物の構造や築年数などによって計上できる金額は変わってきますが、減価償却費を申告することで賃貸物件の収益にかかる税金を軽減することができます。
そして減価償却費の対象は、物件の取得費用だけでなくリフォーム費用を含む場合もあります。
資産価値が上がるようなリフォーム内容であれば減価償却費として計上でき、賃貸収益にかかる税金を抑えることができますよ。
空き家は、そのまま活用せずに所有していても、毎年固定資産税や都市計画税などの維持費が発生します。
また、建物が傷まないように定期的に管理するのにも費用がかかりますよね。
その点、空き家を賃貸物件として活用すれば、賃貸収益が得られるだけでなく、減価償却費を経費として計上して節税もできるため、メリットが大きいでしょう。
とはいえ、賃貸物件として活用していた空き家が一時的に空室となった場合も減価償却費を計上できるのか気になりますよね。
たとえば、借主と定期建物賃貸借契約を結んで空き家を貸し出した場合は、契約で定めた期間が満了すると、借主が退去し空室となります。
その場合、次の借主が見つかるまでの減価償却費はどうなるのか気になるところでしょう。
実は、借主がいない場合でもいつでも貸し出せるように建物の管理をしていれば、空室期間中でも減価償却費を計上することができます。
ただし、空室期間中も減価償却費を計上するには、管理をしていたことを客観的に証明する必要があるでしょう。
そこで、適切に管理していたことを証明するためにも、空室期間中は空き家管理をおこなう不動産会社に入居者の募集や管理の依頼をすることをおすすめします。
本来、減価償却費は不動産所得などの収入が生じる資産に対して計上できる経費です。
そのため、空室期間中も減価償却費が計上できるかどうかは、空室の期間や理由、家屋の状態によっても判断が分かれます。
また、管理方法によっても減価償却対象として扱われるかどうかは変わってくるため、詳細は国税庁や税理士にご確認ください。
空き家を賃貸物件として活用!減価償却費の計算方法とは?
空き家を賃貸物件として活用し、減価償却費を計上するメリットがわかったところで、どのくらいの金額を経費として計上できるのかも気になるところでしょう。
減価償却費の計算方法は、不動産の取得日や利用用途、建物構造によって異なります。
減価償却の計算方法の種類
減価償却費の計算方法は定額法と定率法の2種類あり、それぞれの計算式は以下のとおりです。
●定額法:取得価格×耐用年数に応じた定額法の償却率
●定率法:未償却の残高×耐用年数に応じた定率法の償却率
定額法は、上記の計算方法で毎年一定の金額を減価償却費として計上します。
対して定率法は、不動産の取得費用からこれまで計上した減価償却費の累計額を差し引いた金額に、毎年一定の割合をかけて減価償却費を計算します。
どちらの方法で計算するかは不動産の取得日によって異なり、基本的に平成10年4月1日以後に取得した建物は定額法で計算します。
事業用の不動産の減価償却
空き家を賃貸物件として活用する場合は、事業用不動産として減価償却を計算します。
事業用不動産の減価償却の計算方法は、取得日によって以下のように異なります。
●平成19年3月31日以前に取得 :建物取得価額×0.9×償却率×業務に供された月数÷12
●平成19年4月1日以降に取得:建物取得価額×償却率×業務に供された月数÷12
ちなみに、償却率は法定耐用年数によって異なり、また平成19年3月31日以前か、4月1日以降かによっても異なります。
耐用年数ごとの償却率については、国税庁のホームページでご確認ください。
減価償却ができる期間
前述のとおり、減価償却は法定耐用年数の期間内におこなうことができ、耐用年数を経過後は費用計上できません。
法定耐用年数は建物の構造によって異なり、年数は以下のとおりです。
●木造住宅:22年
●鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造住宅:47年
●れんが造・石造・ブロック造住宅:38年
減価償却ができる期間を経過していて物件も古くなっている場合は、売却を検討するのも良いでしょう。
この記事も読まれています|空き家を放置すると税金が高くなる?特定空き家と固定資産税の関係を解説
まとめ
今回は、空き家を賃貸物件として活用した場合の節税対策として、減価償却とは何か、メリットや計算方法を解説しました。
空き家を賃貸物件として活用すると、固定資産税などの維持費を家賃収入で賄えるほか、管理の手間が省けます。
さらに、減価償却費を計上することで家賃収入にかかる税金を節税することもできます。
ぜひ、この記事を参考に空き家を賃貸物件として活用することをご検討ください。
全国空き家管理ナビでは、空き家管理に関するご相談を受け付けている不動産管理会社を検索できます。
今空き家管理でお困りの方は、ぜひ全国空き家管理ナビを利用して、自分に合う専門業者を探して相談しましょう!
弊社へのお問い合わせはこちらをクリック↓