空き家の行政代執行とはどういうもの?解体費用は誰が払うの?

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空き家の行政代執行とはどういうもの?解体費用は誰が払うの?

2015年5月に、空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空家特措法)が施行されて3年が経ちました。
この法律は、適切な管理を行わず自治体の注意にも従わなかった所有者の空き家を、行政が強制的に処分すること=行政代執行ができるようになった点が、大きなポイントの一つです。
そして法律の施行後、全国各地で代執行が実施され、改めて日本の空き家問題の深刻さが浮き彫りになりました。
今回は、空き家対策の一つとして盛り込まれた代執行とは何か、その概要やポイント・注意点をご紹介します。

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空き家を処分するための代執行とは何?

代執行とは、建物や土地の所有者に代わって行政が処分する権限と行為で、行政代執行とも呼ばれます。
空家特措法の施行後は、「危険度の高い空き家は行政判断で処分して良いですよ」と認められたため、全国各地で代執行が進められています。
ただし、いくら法律で認められたからといっても、行政なら全ての空き家を自由に処分できるわけではありません。
まずは所有者が誰なのか確認後注意を行い、それでも従わなかった場合のみ代執行を行うことができます。
いくら危険性が高くても、所有者が分かっている以上はその人の財産(空き家)を勝手に取り壊すことができないので、実際に処分するまでかなりの時間がかかってしまうのです。
「うちの近所にも今にも倒れそうな空き家があるのに、どうして自治体は何もしてくれないの?」
「法律で危険な空き家は壊して良いってことになったんでしょ?それなら早く壊してほしい」と思う人もいるかもしれませんが、取り壊すまでには長い道のりが必要です。

空き家処分の代執行が行われるまでの流れとは

空き家の代執行は、以下の流れで行われます。
1.所有者の把握
最初は、空き家の所有者が誰なのかを確認するところから始まります。
中には、所有者が既に亡くなっていたり、誰かに相続されたものの所有者移転登記などの手続きがきちんと行われておらず、正式な所有者がはっきりしないケースも珍しくありません。
2.行政措置を行うための準備
所有者が判明したら、現地の立ち入り調査や関係する行政機関へ、情報提供を行います。
なお、所有者は立ち入り調査を拒むことができず、仮に拒否した場合は罰金を科せられてしまいます。
3.所有者への注意
立ち入り調査や関係行政機関への情報提供後は、空き家所有者に対して注意をおこないます。
この注意は3段階に分かれており、助言・指導→勧告→命令の順で注意の内容が重く、厳しくなります。
4.行政代執行の実行
最終通告である命令にも従わず放置されたままの空き家は、ついに行政代執行が実行されます。
この段階で「ちゃんと管理するから取り壊さないで!」とお願いしても、代執行を撤回することはできません。
さらに、解体にかかった費用は所有者へ請求されます。

空き家が代執行された場合の解体費用はどのくらい?

先ほど、代執行が実行されるまでの流れで「空き家の解体費用は所有者へ請求」と説明しましたが、実際はどのくらいかかると思いますか?
解体費用の総額はケースにもよりますが、神奈川県横須賀市の事例では約150万円、大分県別府市の事例では約510万円、北海道室蘭市の事例ではなんと約800万円もかかったそうですよ!
なお、所有者が行政の注意に従って自分で空き家を解体した場合、これより安く済むこともあります。


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もちろん、建物の構造・面積・劣化状態など色々な条件によって見積金額や実際の解体費用は変わります。
しかし、行政代執行は『これまで何度も注意したのに従わなかった』ことへのペナルティなので、その分かかった費用が上乗せされるのは当然と言えるでしょう。

空き家の代執行にかかった解体費用を支払えない場合は?

空き家を行政代執行で処分した場合、解体費用は所有者が支払わなければいけませんが、こんなに高いお金を一括で支払える人はほとんどいません。
では、かかった解体費用はどうやって回収するのでしょうか?
その答えは、『財産の差し押さえ』です。
空き家の所有者が解体費用の支払いを拒否した場合、現在住んでいる家や持っている車などの財産は、全て自治体が差し押さえて強制徴収されます。
この厳しいルールも法律で認められているので、どんな理由があろうとも差し押さえを止めることはできません。

空き家の行政代執行事例をご紹介

ここで、空家特措法に基づく行政代執行がおこなわれた事例をご紹介しましょう。
一つ目は、平成29年12月に実施された北海道旭川市での行政代執行事例です。
こちらの事例では、平成20年ごろ、外壁が破損しているなど、管理が不十分と思われる空き家があるとの通報が近隣住民より寄せられました。
これを受けて、旭川市は平成20年より断続的に、所有者に空き家の除去など必要な措置をとるよう指導・勧告を出しましたが、所有者は経済的理由によりを放置、平成29年3月に積雪により屋根の一部が崩落しました。
市はこのまま放置されれば、積雪による建物倒壊の可能性が極めて高いと判断し、平成29年12月に建物の除去の行政代執行を実施しました。
除去にかかった費用は410万円で、この費用は不動産の差し押さえと公売により改修される予定です。
次にご紹介するのは、埼玉県坂戸市で平成30年1月に実施された行政代執行の事例です。
この事例では、平成25年に草木の繁茂について、さらに平成26年に屋根の剥落の恐れがあることについての通報が近隣住民から寄せられていました。
これらの通報を受けて、坂戸市は所有者に対し、平成25年より複数回行政指導をおこない、平成28年には助言・指導、平成29年には勧告、命令および命令違反者の氏名公表を実施しました。
所有者はこれらの行政指導に従わず、危険な状態を放置したため、平成30年1月、市は屋根の剥落・飛散防止としてメッシュシート掛けをおこない、さらに繁茂した草木を剪定する行政代執行を実施しました。
この措置にかかった費用は約65万円で、空き家の所有者に対し請求されたとのことです。
このように、危険な状態の空き家を放置し、行政措置にも従わずに行政代執行となった場合、周辺の住民の迷惑となるだけでなく、物件が差し押さえられる、または多額の費用が請求されることになるのです。

空き家の行政代執行を免れるための方法とは

空家特措法はかなり厳しいルールが設けられていて、法律に従わない所有者にとっては何一つメリットを生みません。
そんな代執行を免れるための方法には、以下のポイントがありますよ。

●適切な管理を行う
代執行の対象となるのは、適切な管理が行われず倒壊や景観・治安・衛生環境の悪化が心配される空き家です。
そのため、きちんと管理を行って、周辺地域に悪影響を及ぼす危険性を低くすることができれば、取り壊される心配はありません。

●早めに解体の相談をする
自分で管理をすることが難しくなったり、今後誰も住む予定も明確な活用法も決まっていなかったりするなら、早めに解体の相談をしましょう。
自分で解体業者を探して相談することで、代執行による解体費用より安く抑えることができる可能性が高まります。

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まとめ

空家特措法の施行後、行政代執行へ踏み切る自治体は徐々に増えています。
しかし、実行されるまでにはある程度の猶予期間が設けられているので、その期間中にきちんと対応することが重要です。
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「あの時、ちゃんと対応していれば良かった…」と後悔する前に、ぜひご活用・ご相談ください。
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